議決第41号
(原田特別支援教育室長)
議決第41号島根県立出雲養護学校の分教室の設置についてお諮りする。
資料1の1をご覧いただきたい。主に虐待などで心理的な外傷を受けた児童生徒が入所し、治療や教育などの総合的な支援を受ける情緒障害児短期治療施設が、この4月に県内で初めて出雲市に設置される。
この施設は、小学生、中学生を対象とした定員20名の施設であり、医師や心理療法を担当する職員を配置して、虐待等で心に傷を受けた子どもたちを総合的にケアをする施設である。現在、全国25道府県に32施設があるが、中国地方でこの施設がないのは島根県のみであった。島根県の子どもたちは、県外の情緒障害児短期治療施設あるいは県内の児童養護施設で支援を受けていた。
このたび、県内で児童虐待の相談件数が年々増加していることも踏まえ、出雲市内で知的障害児の施設さざなみ学園を運営している社会福祉法人親和会が、この施設を運営することになった。既に名前も「児童心理療育センターみらい」と決まっている。この施設ができることに伴い、入所する児童生徒の学校教育のあり方について早急に検討することとして、平成21年10月に情緒障害児短期治療施設入所児童生徒の学校教育に関する検討委員会を設置し、3回にわたって検討を行い、2月8日に同委員会から教育長に対して検討委員会のまとめが提出された。教育委員会としてこのまとめを踏まえて、次のようにまとめている。
まず、教育を実施するに当たって、手厚い教員配置体制の必要性がある。1の2をご覧いただきたい。市町村立特別支援学級と県立特別支援学校の設置を比べた場合、いわゆる標準法により、教員の配置に対して特別支援学校の方に優位性がある。つまり、市町村立特別支援学級は、小1から小6まで8人で1学級という大きな括りになっているのに比べて、県立特別支援学校は、学年ごとにクラスができるので、学級の最大数を考えると、4学級と9学級という違いが出てくる。
それから、専門性の高い教員の配置の必要性について、市町村立特別支援学級の場合は、どうしても経験年数の少ない先生や講師配置が多いことに比べて、県立特別支援学校では、特別支援教育の専門性のある教員が確保でき、手厚い教員配置が可能である。このような優位性から、特別支援学校設置の方が望ましいと考えている。
次に、特別支援学校でどの学校にするかについては、施設に隣接する出雲養護学校の利便性を考えた。緊急時の組織体制や施設みらいとの日常的な連携、あるいは本校から中学部の教科指導にあたる教科指導者の協力を得られるなどの利点がある。
更に、対象となる児童生徒については、様々な環境要因によって情緒の表れ方が偏っていたり、その表れ方が非常に激しかったりするなどの情緒障害があり、不安定な状態に置かれている子どもたちである。このような子どもたちには、教育と福祉と医療の3つの部門の連携のもとに、総合的な医療的ケアを提供することが重要である。継続的な治療とカウンセリング等の医療的ケアや規則正しい生活リズムの確立等の生活指導が必要となり、そういった意味で教育、医療、福祉が一体となって取り組んでいく必要がある。
以上を踏まえて総合的に検討した結果、県立特別支援学校の出雲養護学校に小・中学部の病弱部門を開設し、分教室を設置することが適当と判断している。
今後のスケジュールは、4月には施設が開所される予定である。分教室はまだ建設されていないので、施設みらいの一部をお借りして、職員室や教室を設け、4月から教育をスタートする予定である。8月に分教室が竣工予定であるので、準備を進め、9月からは新しい分教室の施設で教育を始める予定としている。
(石井委員)
資料の中に子どもたちの平均入所期間が1.9年とあり、今回は2年が想定されているようだが、それで大丈夫なのか。また、定員の20名というのは、具体的に想定できる数なのか。
(原田特別支援教育室長)
入所期間については、児童相談所が2年程度で治療が可能な子どもを措置するということである。全国的にも治療は大体2年程度と聞いている。定員については、青少年家庭課の資料によると、現在、児童養護施設等にいる子どものうち、虐待を含め、入所の可能性のある子どもは40名程度ということである。そのうち、今年度は18名の子どもが対象であると聞いている。将来的に足りないということはないと考え、今回20名としている。
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