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明日の島根のための地域集会(平成16年8月)その3

【主な質疑応答】

出雲会場(8月22日)

Q:優先施策16本は抽象的であり、具体的に事業内容や予算額を示すべきである。

A:これまでは、課題の解決策を考えるに当たって、個々の事業や活動をどうするのかという視点が中心となっていたものを、今後は、政策課題を解決する手段としての施策をどう進めていくのかという視点を重視していく必要があります。言い換えれば、「施策の選択と集中」を徹底するということであり、そのために16本の優先施策を決定しました。施策に基づき具体的な事業をどう組み立てるかは今後の予算編成を通じて確定させていくことになります。

Q:公共事業は今の時代においては悪者扱いされがちであるが、島根県にとって公共事業はまだまだ必要である。どういう目的で行うのかを示すべきである。

A:公共事業についても、どのような政策課題を解決するために行うのかを整理し、明確にしていく必要があると考えています。

Q:8月20日の全国知事会の決定内容も踏まえた改革内容となっているのか。

A:全国知事会が決定した「国庫補助負担金等に関する改革案」は、今後国と地方の協議機関による議論を経て「三位一体の改革」への反映が検討されることとなっており、中期財政改革基本方針の中には織り込んでいません。ただし、地方財政計画が今後も減少傾向であることは十分に踏まえています。

Q:10年後はどのようになっているのかという将来像が見えてこない。

A:総合計画に掲げた「自立的に発展できる快適で活力ある島根」を本県の目指すべき将来像として、5つの政策の柱((1)活力と働きの場を生み出す産業が力強く展開する島根の国造り、(2)それぞれの地域で安全安心な生活ができる島根の国造り、(3)豊かな環境のもとに快適な生活ができる島根の国造り、(4)新しい時代を切り拓く人材を育む島根の国造り、(5)産業・交流・連携を支える島根の国造り)を立てました。具体例として、国依存型の財政構造から脱却するため、新産業の創出や産業構造の転換を図ることにより、県の自立的な発展を目指します。

Q:市町村合併により県行政のあり方が変わるのではないか。

A:市町村合併による新たな市町村のエリアと権限の拡大により、県はこれまでの補完機能は縮小し、広域的機能はさらに重要になると考えられます。こうしたことを踏まえ、特に地方機関については、県民の利便性と業務の現場性に配慮しつつ簡素な体制に再編することとしています。

Q:市町村合併により公共事業発注に空白期間が生じることが予想される。そのようなことがないよう配慮してもらいたい。

A:公共事業の目的を踏まえたうえで、そのようなことにも配慮していく必要があると考えています。

Q:定員削減の具体的な見通しはどうか。

A:定員削減は退職と採用の差の結果ですが、今後3、4年は退職者が非常に少なく、その後相当増える見込みです。そのような状況ですが、ただ漫然と待つのではなく、早期退職特例の拡充や再任用制度の一時停止などにより、定員削減が前倒しで実現できるよう取り組みます。

Q:地方の権限が現状と今後ではどのように変わるのか。具体的に教えてもらいたい。

A:例えば、教員や警察官の数は国の法令で定められており、道路や各種施設の設置基準など国が定めている場合が数多くあり、非常に縛られています。そういった基準が地方に合致しない場合も多々あり、効率的な執行や整備が阻害されていました。例示した事項が委譲されるかどうかは不明ですが、このように権限が地方に委譲されることにより、それぞれの地方に見合った執行や整備が可能となります。

Q:経済対策が税収や公債費に与える影響について教えてもらいたい。

A:バブル崩壊以降、景気回復のために国の経済対策に呼応して、数多くの事業を実施してきました。これは、起債により公共投資を積極的に行うことにより、経済を活性化させ、景気が回復し、その結果税収アップにつながるという、かつての経験則に沿って行ってきたものですが、現在は思うように景気回復につながっていないことから、県税収入がなかなか増えず、一方で公債費が増大しているという状況になっています。

Q:総合計画と予算の関連について教えてもらいたい。

A:任意性の高い一般施策については半減することとしていますが、すべて一律に半減するのではなく、総合計画における施策の優先度に沿って予算上のメリハリを付けていきたいと考えています。


浜田会場(8月29日)

Q:今回の集会はホテルでなく、合同庁舎を使用すれば十分ではないか。

A:財政状況が厳しいことを御理解いただくための地域集会であるため、当初は経費を掛けずに合同庁舎を使用するよう検討しておりましたが、参加者の方を合同庁舎会議室に収容し切れないかもしれないという懸念や公共交通機関を活用される参加者の方の利便性などを考慮し、ホテルの会議室を使用することとしました。

 

Q:これからの人口減少に対する対策をどう考えているか。

A:総合計画に掲げているとおり、少子化対策や雇用・就業対策に力を入れることにより、人口減少に対応していきたいと考えています。

 

Q:国の地方切捨ての動きと同様に、島根県も県庁から遠隔にある地域が切り捨てられるのではないか。

A:本県は、多くの中山間地や離島を多く抱えており、行財政運営の基本としてそのことを念頭に置いた上で、効率的・効果的な執行方法を検討していかなければならないと考えています。

 

Q:地財ショックに続いて県版地財ショックが市町村に及ぶのではないか。

A:現在の厳しい財政状況を踏まえると、これまでと同様の予算規模の支援を維持することは困難であり、迷惑をかけることもありますが、財政再建団体になれば、公債費の抑制のみが優先され、県独自の施策がほとんどできなくなり、より一層迷惑をかけることになりますので、御理解をいただきたいと思います。なお、今後は財政的支援だけでなく、職員のマンパワーを活用した支援・協働など、知恵と工夫を凝らしていきたいと考えています。

 

Q:島根県は公共事業依存型であり、産業構造の転換が必要であると思うが、その具体例を教えてもらいたい。

A:県自らが牽引役となり県独自の新しい「材料」や「技術」を開発し、県内で応用製品の製造を図ることで新たな産業群の形成を目指しています。具体的には、新機能材料開発(電子部品・電子機器に用いる新機能材料を開発)・新エネルギー応用製品開発(有機太陽電池の商品化技術の開発)・健康食品産業創出(県産農林水産物等を使った機能性食品の開発)・プラズマ利用技術開発(プラズマ利用技術の実用化を目指した開発)・バーチャルリアリティ技術開発(現有技術を発展させ3次元化等の製品を開発)の5つのプロジェクトを展開しており、特に新機能材料・新エネルギー応用・健康食品関連では2012年度に向けて、製造出荷額1,000億円、5,000人規模の雇用創出を目指して取り組んでいます。
一方で、既存企業の活性化策として、電気・機械・金属工業に代表される一定の集積のある企業群や独自の技術を持つ企業等で、経営の革新に意欲を持つ企業に対して、技術力・経営力・販売力を高めるために重点的に支援を行っています。
また、地域資源にもう一度光を当てることによりそれぞれの地域を活性化させていきたいという観点から、地域ビジネスやコミュニティビジネスにも取り組んでいるところです。

 

Q:福祉関係の県単独補助金の見直しの方向性を教えてもらいたい。

A:見直しは例外なくすべて行います。なかなか従来どおりとはならないかもしれませんが、県民生活に直結し真に必要な分野については、再構築の上、所要の額を確保するよう今後具体的に検討してまいります。

 

Q:障害者施設を運営している。今後は、我々障害者も受身ではなく一消費者となるくらいの気構えである。我々も行政と一緒になって頑張って努力し今の厳しい状況を乗り切っていきたい。

A:行政だけですべてのサービスを行っていくことには限界があり、今後は、様々な主体と協働しながら取り組んでいく必要があります。我々としても皆さんと一緒になって頑張っていきたいと考えていますのでよろしくお願いします。

 


 

松江会場(8月29日)

Q:優先施策選定の手法を教えてもらいたい。

A:(1)県民ニーズや施策水準からその施策を展開することの「必要性」の視点で、県民アンケートや行政関係指標の全国比較から判断しました。(2)市町村との役割分担、県民との協働の推進などを踏まえて県がその施策を展開することの「妥当性」の視点で、県民アンケートや市町村職員意識調査・県職員意識調査から判断しました。(3)総合計画の「時代の動きと基本認識」を踏まえ、将来への布石として早急にその施策を展開すべきかどうかの「緊急性」の視点で、政策企画局内で議論して判断しました。(4)施策を実施した場合の効果や成果を予測する「有効性」の視点で、政策企画局内で議論して判断しました。(5)本県の実情等から、他の施策よりも限られた行政資源を優先的に配分すべきかどうかの「優先性」の視点で、三役や部局長など県幹部で構成する政策企画会議のメンバーにより判断しました。以上の5つの視点で評価し、それぞれ数値化して最終的に優先施策を選定しました。70本の施策はすべて重要な事柄ですが、厳しい財政状況を踏まえ、あえて相対的な優先順位を付けることにより、施策の選択と集中を徹底したいと考えています。

 

Q:公共事業が半減することによる失業対策はどうするのか。

A:現在、公共事業削減の影響緩和のための建設産業対策及び雇用対策を具体的に検討しているところであり、今後なるべく早く具体策をお示ししたいと考えています。

 

Q:予算を消化しないと翌年度の予算が確保できないという意識が職員の中で強くて無駄が多いのではないか。

A:確かに10年前くらいまではそのような意識があり、その結果として旅費問題や需用費問題などが顕在化しました。しかし、既に現在は、不要なものは残すという考え方に変わっています。

 


Q:福祉関係の予算が今後どうなるのか心配している。また、施設の設置基準など県から分厚い資料がそのまま送られてくることがある。経費節減の観点から、所在ほど明確にしておけばよいものもあるはずである。

A:福祉関係といえでも、なかなか従来どおりとはならないかもしれませんが、県民生活に直結し真に必要な分野については、再構築の上、所要の額を確保するよう、今後具体的に検討してまいります。資料送付のあり方については確かに配慮すべき事項であり非常に参考になりました。今後はITの活用などにより工夫していきます。

 

Q:県税収入に占める建設業関連の割合はどうなっているか。公共事業削減により税収減になるのではないか。

A:法人事業税と法人県民税の合計177億円のうち、建設業のウェイトは約10%となっています。確かに公共事業削減による税収減の影響はあるかもしれませんが、現在の財政状況や公共事業規模からすると、削減は避けて通ることはできません。税収面においては、新産業創出、企業誘致、県産品販路開拓・拡大、観光などに力を入れることにより、安定的確保を目指し、自立的に発展できる島根を築いていきたいと考えています。

 


 

西郷会場(9月19日)

Q:隠岐は公共事業への依存度が高く、地域の基幹産業と言ってもよい。今後、公共事業を机上の計算で削減することなく、地域性を考慮してもらいたい。

A:公共事業の削減については、これから具体策を検討していくこととしていますが、地域によって大型事業のあるか否かにより影響の程度に違いが予想されるなど、地域性は重要な観点であり、今後十分踏まえていくべきであると考えています。また、各地域単位で、公共事業削減の影響と地域経済活性化の方向を考えることにしていますので、地域の皆様にもそういう場に参画して、共に知恵を出して頂くことをお願いしたいと思います。

 

Q:地方交付税を12%削減した地財ショックをひどいやり方だと言われるが、公共事業を半減というのも、劣らずひどいやり方ではないのか。隠岐は国直轄事業もなく、県の公共事業への依存度が極めて高い。地域の経済・雇用に与える影響を考えて、公共事業量を確保する努力をお願いしたい。

A:仮に県が再建団体になると、公共事業は極めて限られたものしか執行できなくなり、県経済に非常に強い衝撃を与えることになるので、そうした事態を避けるためのやむを得ない手段であることをご理解頂きたいと思います。また、現在の公共事業についての世論には、必要性、効率性などを見極めるべきとするものなど厳しい見方がある他、既に出雲空港の滑走路延長も見送っている厳しい財政状況であることに、併せてご理解をお願いします。なお、一般施策経費は2年間で半減することとしていますが、公共事業費については、雇用・経済への影響を考慮して2年間で30%減としているところです。

 

Q:国のソフト事業で、何か雇用につながるものがあれば導入してもらいたい。例えば、松食い虫対策などは考えられないか。

A:国の事業で可能なものは利用したいと考えています。なお、地域の経済・産業をどう考えていくのかについて、その地域の特性に応じて地域全体で一緒に知恵を絞っていくことが重要であると考えています。国が、構造改革特区、地域再生といったメニューを示しているので、地域で力を合わせてこうしたところに積極的に挑戦することも効果的な手法と思われます。

 

Q:医療については、財政が苦しくても先送りにすべきではないと思うがいかがか。

A:医療については、施設整備に加えて人材確保についても優先すべき課題であると考えています。

 

Q:三位一体の改革による税源の移譲は、本県にとって本当にメリットはあるのか。

A:三位一体の改革による税源移譲については、県の収入が量的に増えることを期待するものではなく、地方自治体の自主性や主体性を高めていくところに意義があると考えています。

 

Q:水と緑の森づくり税(仮称)は、もっと県民に負担を求めて、森づくりに積極的に取り組んではどうか。

A:新税によって県民に新たな負担を求めるにあたっては、ワンコインすなわち五百円が一つの目安と考えたところです。

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