島根県の財政は、非常に厳しい状況にあり、財政の健全化は「待ったなし」の課題となっています。

　この状況を県民の皆様に分かりやすく説明し、そして皆様のご意見を幅広くお聴きするため、本年５月に有識者で構成される「改革推進会議」を設置しました。

　この会議では、３回の公聴会を含め精力的に審議が進められ、８月８日に私に対して「県財政の健全化のための提言」が提出されました。

　また、８月９日には、県庁の若手職員有志のグループが、「財政改革のための提言」を取りまとめて提出してくれました。

　私どもは、こうした提言を踏まえ、また、様々なチャンネルを通じて県民の方々からお聴きした多くのご意見を参考にしながら、財政健全化のための基本方針の作成作業を進め、８月20日には、県としての「財政健全化基本方針（案）の骨子」を発表しました。

　そして、この「骨子」に対して、９月３日には県議会財政健全化調査特別委員会からご提言をいただき、またホームページ等で県民の皆様のご意見も伺ったところです。

　これらの提言・意見を踏まえて「骨子」を具体化したものが、今回の「基本方針（案）」です。

　今後、９月の定例県議会での議論を経て、10月末までに基本方針を最終決定する予定です。

　財政健全化を進めていく上では、事務事業の見直しによる歳出の削減を行わざるを得ません。歳出削減は、県民の皆様の暮らしや、企業活動に影響を及ぼすことになりますので、その進め方には十分配慮をしてまいります。

　事務事業を見直す中で、総人件費の抑制や外郭団体の見直しなど、行政の効率化・スリム化に徹底して取り組み、必要な財源の確保に努めます。

　また、活力に満ちた島根を築いていくため、真に必要な施策については、予算の重点配分を行ってまいります。

　島根県は、県税などの自主財源に乏しく、地方交付税など国からの収入に依存しているため、財政基盤が大変脆弱です。

　近年の県財政の急激な悪化は、地方歳出の抑制という国の政策転換に大きな原因があります。島根県のような税源に乏しい県が、真に安定した財政基盤を確立するためには、地方交付税などの一般財源の確保・充実が必要です。財政健全化に向けた我々の努力を前提とした上で、国に対しては、地方交付税などの一般財源の確保・充実を強く働きかけてまいります。

　今後の財政健全化の道のりは厳しいものですが、島根県全体の活力を失わせるものであってはなりません。このため、今、私どもは財政健全化のための作業と並行して、産業活性化・雇用確保のための具体策を、やはり民間委員からなる「産業活性化戦略会議」で検討しています。11月には成案を得て、１地域産業の強化、２県外企業の誘致、３情報産業の育成、４雇用拡大と人材の育成、５県産品の販路拡大、６観光振興などを積極的に推進してまいります。

　また、島根の発展を支える基幹産業である農林水産業の活性化も極めて重要です。今年度中には、生産者や消費者などの意見を十分聴きながら、各地域ごとに今後の農林水産業・農山漁村振興の基本となる計画を策定し、売れる商品作りや担い手確保などに取り組んでまいります。

　こうして「財政の健全化」と「活力あるしまね」の両方を実現しつつ、県民の皆様が「安心して暮らせるしまね」と、次代を担う青少年をはじめとした県民にとって「心豊かなしまね」の実現を目指してまいります。

　そして、島根が目指すべきこうした将来の全体像をお示しするため、「島根総合発展計画」を今年度末までに策定する作業も行っています。

　私は、県民の皆様の総力を結集しながら、活力に満ちた島根を築いていくために全力を尽くしてまいります。財政の健全化は、そのためにまず始めなければならない課題です。

　何卒、皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。