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III 改革のための具体的施策

 県財政は、自主財源が乏しいこともあり、短期的には一般財源の大幅な増加は期待できないため、多額の収支不足を解消していくためには、まずはその多くを歳出の削減によらざるを得ません。これまでの改革により歳出削減の余地は狭まってきていることから、義務的な経費、任意性の高い経費を問わず、徹底した歳出の削減をする必要があります。

 また、歳入面では、安定した財政運営のために、使途が特定されない財源である一般財源をどれだけ確保するかが重要です。

 具体的には、以下の改革を進めていきます。

 

1 行政の効率化・スリム化

 県民サービスに充てる財源をできるだけ確保するため、行政の効率化・スリム化に徹底して取り組みます。そのために、知事を本部長とする行政改革推進本部を設置し、また、改革推進会議に行革に関する専門委員会を置き、外部の意見もよく聴きながら進めていきます。

 

(1) 総人件費の抑制 

ア 職員定員削減計画の上乗せ

 平成15年4月から平成24年4月までの10年間で、教員・警察官等を除く一般行政部門の職員を中心に1000人を削減する計画に取り組んでいます。

 事務事業の見直しによる業務量削減や組織の見直しにより、今後10年間で、更に500人程度の追加削減を行うことを目標(*3)にして計画を見直します。

 

*3  事務事業の削減や、人口当たり職員数の類似団体の平均等を勘案して目標を設定

 

イ 手当の見直し

 時間外勤務手当の縮減を図るとともに、特殊勤務手当などの手当について見直します。

 

ウ 給与の特例減額の継続

 給与の特例減額(給与カット)は、平成20年4月以降、概ね10年後において収支均衡を達成するまでの間行います。なお、減額率は、集中改革期間は次のとおりとし、集中改革期間後は、収支の状況等を勘案して対応します。

 県の幹部職員が率先して財政健全化に取り組むため、知事など特別職及び管理職の職員について従来より更に厳しい給与の特例減額を行います。

 

 □ 集中改革期間の給与の特例減額率

○ 特別職(期末手当も連動減額)

             ・知事 ................................................... 25%〔従前20%〕

             ・副知事 ................................................ 20%〔従前15%〕

             ・常勤の監査委員、教育長、病院事業管理者 ... 18%〔従前15%〕

         (注)出納長職は、平成20年3月22日以降廃止

○ 一般職(期末手当をはじめとする諸手当も連動減額。管理職手当は上乗せ減額)

             ・部次長級 ......  10%、管理職手当のみ25%〔従前10%〕

             ・課長級   ......  8%、管理職手当のみ20%〔従前8%〕

             ・その他   ......  6%(若年層の諸手当連動は3%)

 

エ 知事等三役の退職手当の見直し

 知事等三役については、給与の特例減額に加えて退職手当の引き下げを行います。

 

 □ 退職手当の見直しの内容

   平成18年12月に特別職の退職手当を引き下げたところ(知事等三役平均▲16%)であるが、更に退職手当を次のとおり引き下げる。

○ 引下率

 ・知事 .................. 10%〔平成18年12月の条例改正前と比較して約25%〕

 ・副知事 ............... 5%〔             同            約20%〕

 ・出納長 ............... 5%〔             同            約20%〕

○ 適用

 ・平成19年4月30日から

 

(2) その他

ア  組織の見直し

 合併による市町村の規模、能力の拡大に伴い、県に求められる役割、機能の変化への対応や、簡素で効率的な執行体制の整備を図る観点から、組織のフラット化・グループ化(*4)や、地方機関の統廃合等の見直しを進めてきました。

 今後とも県の組織については、時代の変化に対応した簡素で効率的な体制に見直します。

 

*4 迅速な意思決定や事務処理ができる柔軟で機動的な組織にするため、フラット化・グループ化を導入しました。

  ・フラット化:中間の職を廃止し、決裁の階層を少なくすること。

  ・グループ化:従来の係を大括りにし、人員の配置と所掌事務を柔軟にすること。

 

イ 内部管理経費の縮減

 次に掲げるものをはじめとする内部管理経費を削減します。

  ・ 情報通信システムにかかる維持管理費

  ・ 清掃などの庁舎等の維持管理費

  ・ 臨時職員の雇用経費

 

ウ 外郭団体の見直し

 外郭団体については、「島根県が出資する法人の健全な運営に関する条例」(平成14年12月公布)に基づく点検・評価・公表や、「島根県外郭団体指導監督指針」(平成16年3月策定)による統一的な取り組みを進めるとともに、「中期財政改革基本方針」において県出資割合50%以上の団体(22団体)について、団体数の3割程度の削減を目標に掲げ、団体の統廃合、県の財政的・人的関与の大幅縮減に取り組んできたところです。

 社会経済情勢の変化や事務事業の見直しを踏まえ、引き続き各団体の自主的な経営努力を促すとともに、人員の削減等による団体のスリム化など、民営化を含め団体のあり方について見直しを進めます。

 また、県関与の必要性を十分検証し、県の委託・補助について事業費の縮減を図るとともに、役員への就任(代表者には原則就任しない)、県職員派遣、県OB職員についても最小限となるよう漸減するなど、更に県の財政的・人的関与の縮減に取り組みます。

 

エ 公の施設の見直し 

 公の施設(*5)の管理運営にあたり、平成17年4月から他県に先駆けて指定管理者制度を導入し、サービスの向上、コスト縮減を図るとともに、施設全般について県立施設としての必要性等を検証し、廃止や民間等への移管を進めてきたところです。

 社会経済情勢の変化や事務事業の見直しを踏まえ、公共性、広域性、代替性、有用性、緊要性などの観点から、廃止・譲渡を含めた抜本的な見直しをします。

 

*5  住民が利用するために地方公共団体が設置する施設で、住民の福祉を増進させることを目的とするものです。学校、美術館、図書館、ホール、体育館、県営住宅や公園などが該当します。なお、県庁舎や合同庁舎などの行政事務を行うための施設は該当しません。

 

2 事務事業の見直し

 「中期財政改革基本方針」に基づく改革では、県の判断で事業の実施を任意に決定できる経費については、原則概ね半減とするなど、厳しい事務事業の見直しを行いました。

 今回の改革においても、経費の性質に応じ、徹底的な見直しを行うこととします。

 

(1) 一般施策経費

 今回の改革においても、奨励的な補助金をはじめとするソフト事業などの一般的な施策にかかる経費は、県の判断で事業の実施を任意に決定できることから大幅な削減をすることとし、平成23年度の一般財源総額を平成19年度の概ね50%に削減します。

 

(2) 公共事業費

 国からの補助を受けて行う公共事業及び県が単独で行う公共事業の事業費(注1)について、平成23年度の事業費を平成19年度の概ね70%に削減します。(平成20年度においては、平成16年度比半減相当の事業費とします(注2)。)

 災害復旧事業費、国直轄事業負担金、その他性質上シーリング方式による削減になじまない事業については、個別に所要額を精査して予算措置をします。

 

 (注1) この場合の事業費とは、財源のうち国庫補助金等を除いた、一般財源と地方債を合わせた県費負担額のことをいいます。

 (注2) 「中期財政改革基本方針」では、公共事業費については、「平成20年度までに事業費を(平成16年度比で)半減することを目途」とされていました。

 

(3) 経常経費等

 施設の維持管理費など毎年度決まって支出される固定的な経費についても見直しを行い、平成23年度の一般財源総額を平成19年度の概ね90%に削減します。

 

(4) 特別な需要に基づく経費

 年度間変動が大きい学校校舎の老朽化に伴う建替費や大規模システム改修費など、臨時又は特別な需要に対応する経費については、新規事業を極力抑制するほか、既存の継続事業であっても、個別に徹底した見直しをします。

 

(5) 義務的な経費

○ 法令や契約等に基づき執行が義務づけられている経費等については、その根拠である制度等にまで立ち返って、個別に徹底した見直しをします。

○ 企業会計・特別会計について情報開示を徹底し、事業毎に合理化・効率化を図ることによって、一般会計による負担のあり方を見直します。

 

(6) 見直しの留意点

○ 公共事業をはじめとする公共投資は、県の発展や県民生活のために真に必要であって、緊急に実施すべきものについて重点的に行います。また、質的水準に配慮しつつ、コスト縮減により、効果的な実施に努めます。

○ 特に、新たな施設の建設事業については、財政健全化の見通しが立つまでは、既存施設の老朽化や再編に伴うものなどを除き、原則として行わないこととします。

○ 地方債については、後年度において公債費が財政を圧迫する要因となることから、新規分の借入れはできる限り抑制します。

 

3 財源の確保

(1)  県税収入の確保

ア 課税自主権の活用

水と緑の森づくり税、産業廃棄物減量税、核燃料税などの県独自の課税について、財政需要を勘案しつつ、今後の税率や課税期間のあり方を検討します。

 

イ  経済活性化による増収

地域産業の強化、県外企業の誘致などの税源かん養に資する産業の活性化・雇用の創出のための施策を推進することによって、経済を活性化させ、税収の増加を図ります。

 

ウ 滞納額の縮減

滞納処分の早期着手やインターネット公売などによる差押物件の換価を推進し、未収金の縮減や徴収率の向上に努めることにより、負担の公平と財源確保を図ります。

 

(2) 使用料、手数料などの受益者負担の適正化

 社会経済情勢の変化にあわせ、使用料、手数料などの受益者負担の適正化を図ります。

 

(3) 県有財産の売却や有効活用の促進

○ 未利用財産の売却を推進するほか、戸建ての職員宿舎などで現在利用中の財産についても、県が所有する必要性が低いものは売却します。

○ 財産の売却に当たっては、インターネットによる売却システムなど多様な手法を導入するほか、宅地建物取引業者による媒介制度などの活用を検討します。

○ 公共施設、印刷物、ホームページ等を広告媒体として提供する広告事業の導入を進めます。

 

(4) 特定目的基金等の活用

○ 特定の事業目的のために積み立てた基金を活用し、事業費への充当を拡充します。

○ 特別会計の経営の合理化、効率化を図り、これにより捻出される資金を一般会計へ繰り入れます。

 

(5) 執行節減等決算段階での財源の確保

 執行段階での徹底した節減や予算を上回る歳入の確保に努めます。

 

(6) 地方税・地方交付税の充実に向けた国に対する働きかけ

 一般財源収入の柱は、地方税・地方交付税であり、安定した財政基盤の構築のためには、これらを充実させていくことが必要です。

 平成18年12月に地方分権改革推進法が制定されたところであり、分権型社会への転換を目指し、国と地方の役割分担や地方の税財政基盤の確立に向けた検討が各方面で行われています。

 現在、法人2税(法人県民税及び法人事業税)を中心とした地方税収の伸びが大都市圏に集中し、自治体間の財政力格差が拡大しています。このような状況を踏まえ、国においても、財政力格差の是正の議論が高まるなど、ようやく地方の厳しい実情が注目されつつあります。

 分権型社会に向けて、島根県のように自主財源が乏しい団体にあっても、標準的な行政サービスの提供に支障を生ずることがないよう、地方税・地方交付税など一般財源の確保・充実について、国に対して、更に積極的に働きかけていきます。

 


お問い合わせ先

財政課

島根県総務部財政課
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