• 背景色 
  • 文字サイズ 

I 財政の現況

1 危機的な状況にある県財政

 島根県では、毎年度、多額の収支不足が生じています。平成19年度は、歳入が歳出に対して136億円足りないため、その分は家計で言えば貯金にあたる基金を取り崩さなければなりません。

 県財政は、今後も200億円台後半の収支不足が見込まれる危機的な状況です。このままの財政運営を続ければ、今は500億円以上ある基金も3年後の平成22年度にはなくなり、決算で赤字額が生じてしまいます。

 決算で一定以上の赤字額が生じた場合には「財政再建団体」に転落してしまいます(*1)。財政再建団体となると、国の監督下で強制的な再建を余儀なくされます。この場合には、福祉、教育、公共事業などの分野で県が独自に行っている事業を行うことが極めて困難になります。このように島根県の自治が大幅な制約を受ける事態となることは、何としても避けなければなりません。

 

*1  島根県の場合、決算で赤字が約130億円以上になると「財政再建団体」に転落することとされています。平成21年度からは新制度に移行し、「財政再生団体」制度となりますが、財政再生団体となる基準は、現行制度の運用等を勘案して、今年末までに決定されます。

 

2 財政状況が悪化した原因

 県財政は、歳入面では、県税などの自主財源に乏しく、地方交付税をはじめとして収入の多くを国に依存する財政構造にあり、財政基盤が大変脆弱です。

 近年では、県税が伸び悩み、また国の地方財政政策の転換により地方交付税が大幅に削減され、一般財源(*2)は大幅に減少しました。

 一方、歳出面では、本格的な高齢社会を迎える21世紀初頭までの期間を高い公共投資水準を維持し得る最後の貴重な期間と位置づけ、国の経済対策にも呼応し、遅れている社会資本の整備や県勢の発展に資する戦略的プロジェクトの推進に積極的に取り組んできました。これにより、道路や下水道などの生活基盤をはじめ、医療・福祉、産業、教育文化など将来を支える各方面の社会基盤の水準は相当程度向上しました。

 しかしながら、このような地方債(地方公共団体が行う借金)を財源とした積極的な公共投資により、類似県と比較してかなり高水準の地方債残高となり、公債費(地方債の元利償還金)が増大し、今後も高水準で推移することが見込まれます。

 

 (図:公債費が一般財源に占める割合の推移)(PDF:62kb)

  

 このような歳入・歳出両面の原因により多額の収支不足が生じています。特に、国の地方財政政策の転換による地方交付税の削減によって、地方交付税への依存度が全国的にみて極めて高い本県の財政は大きな影響を受けることとなり、財政運営上極めて困難な状況に陥っています。

 

*2  国からの補助金のように使途が定められ、他の用途に流用することができない「特定財源」に対して、県税や地方交付税などの使途が特定されず、どのような経費にも使うことができる財源を「一般財源」といいます。

 

3 これまでの財政健全化に向けた取組

 これまでも財政の健全化に向けた取組として、「財政健全化指針」(平成14年12月策定)や「中期財政改革基本方針」(平成16年10月策定)に基づき、全国的にみてもトップレベルの厳しい改革を行ってきました。特に、平成16年度の約210億円もの地方交付税の削減を受けて策定した「中期財政改革基本方針」では、中期的な構造的収支不足額を450億円と見込み、このうち300億円程度を解消することを目標として改革を進めました。その結果、平成18年度までで309億円の収支改善が達成できました。

 しかしながら、現在国が進めている国・地方を通じた歳出改革の取組に伴い、今後も更なる地方交付税の削減が見込まれることなどにより、一段と厳しい財政運営を余儀なくされています。

 

4 容易でない財政健全化への道のり

 平成19年度一般会計予算(6月補正後)の一般財源は3188億円ですが、今後見込まれる200億円台後半という収支不足額は、歳入面では、県税収入総額694億円の4割弱に相当し、県民税228億円よりも大きな額です。

 一方、歳出面では、義務性・任意性別にみると、職員の給与費と公債費に一般財源の約3分の1ずつを充て、残りも社会保障費のような義務的な経費に多くを使っています。県の判断で事業を決定したり、支出額を増減できる任意性の高い経費は、全体の12%、387億円に過ぎません。

 この任意性の高い経費の中にも、施設の維持管理費などの大幅な削減が難しいものが含まれています。したがって、収支不足額の全てを任意性の高い経費の削減だけで対応することは、非常に難しい状態です。

 

 (図:平成19年度予算(6月補正後)の一般財源3,188億円の内訳)(PDF:16kb)

 

  このように、収支不足の200億円台後半という額は、県財政にとって大変大きな負担となっています。このため、財政健全化への道のりは大変厳しく、決して容易なものではありません。

 財政健全化に向けて、歳入の確保とともに、歳出全般についてもう一段踏み込んだ改革努力が必要です。また、真に安定した財政基盤の確立を図るため、国に対しては、わが県自身の努力を前提とした上で、地方一般財源の確保・充実を働きかけていく必要があります。

 


お問い合わせ先

財政課

島根県総務部財政課
〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
TEL 0852-22-5035
FAX 0852-22-6264
zaisei@pref.shimane.lg.jp