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輝々(キラキラ)しまね・つくるはぐくむ地域ブランド8

全国に誇るホッケーの町(奥出雲町)

小櫻和裕(こざくらかずひろ)さん:島根県ホッケー協会副理事長
児島史朗(こじましろう)さん:島根県ホッケー協会競技部長
安部隆史(あべたかし)さん:ホッケー日本リーグ「セルリオ島根」総監督


地域の魅力を磨き上げ、キラキラと輝く島根のブランド。全国から注目を浴びる県内の取り組みを紹介します。


奥出雲町から世界の舞台へ・世代を超えて握るスティック

「地元であんな大歓声が起こったことはなかったですね。夢中でプレーしました」。1982年、奥出雲町(当時は仁多町・横田町)で国体のホッケー競技が開催されました。今でこそ全国に誇る「ホッケーの町」ですが、かつては選手はおろか、競技を知る者もない全くの「未普及地」。そんな町に沸き起こった歓声を、当時少年男子チームの主将として出場した安部隆史さんは懐かしそうに話します。


「次の地元国体では天皇杯を」と語る安部さん(後列左から3人目)、小櫻さん(同4人目)、児島さん(同5人目)の写真
奥出雲町では小学生から高校生、社会人、マスターズまで幅広い世代が選手や指導者として活躍。
「次の地元国体では天皇杯を」と語る安部さん(後列左から3人目)、小櫻さん(同4人目)、児島さん(同5人目)


ホッケー「未普及地」

同町がホッケー会場に決まったのは、国体開催の9年前でした。当時は町内にも県内にもチームなどありません。そこで町は、ホッケーを“町技”と位置づけて競技の普及から始めます。当然、ルールを知る人もいません。最初に取り組まなければならなかったのは、指導者や審判員の養成でした。翌年には町内に県ホッケー協会も結成します。

もちろん、最も重要なのは選手の育成です。ジュニアを育てようと、協会が町内の小学生を集めて全国スポ少大会に派遣したこともありました。安部さんも「高校生になった時に国体がある。そのときに選手になりたい」との思いで参加。しかし、未経験者ばかりのチームでは全く試合にならなかったといいます。

国体開催が決まって2年後には、地元の中学校や高校にホッケー部や同好会が誕生しました。しかし、指導体制の整備はなかなか追いつきません。国体を3年後に控えて横田高校女子部の監督となった小櫻和裕さんは「ルールや戦術、監督としての知識はゼロでしたね。最初は、とにかくボールを追いかけて低い姿勢で走らせるばかりでした」と振り返ります。

日一日と国体が近づくにつれ、指導者も選手も練習に熱が入ります。やがてその熱は、町全体に広がっていきました。そうして迎えた国体本番。島根県チームは、成年女子が3位決定戦で惜敗したほかは、すべて2回戦で敗退しました。しかし、それまでの9年間をホッケーと向き合ってきた町の人たちは、町内で繰り広げられる他県同士の試合にも熱心に足を運び、町はホッケーで大いに盛り上がったのです。


国体後も冷めない熱

国体が終わって関係者が危惧したのは「町内のホッケー熱が、泡沫のごとく消えてしまわないか」ということでした。

そうさせないためには、何としても競技力の向上が必要。そう考えた協会のメンバーは、地元で次々にホッケー大会を開催し、選手の活躍の場をつくります。まず開催したのは「全日本女子実業団選手権」。翌年には、「中国小学生ホッケー交流大会」を新設しました。

こうしてホッケーが根付きつつあるなか、大きな転機が訪れます。横田町合併30周年記念として誘致した「全日本中学校選手権」。当時横田中学校の監督だった児島史朗さんは「町を盛り上げるには全国優勝しかない」と猛練習でチームを鍛え上げたといいます。その結果、男女とも見事優勝。その後、選手たちは高校でも全国優勝し、大学や社会人となっても活躍しました。その姿に触発され、ジュニアの競技人口も拡大。毎年のように全国大会で活躍し、やがて「高校3冠」達成や、4人のオリンピック選手輩出へとつながっていったのです。


2度目の島根国体で天皇杯を

今では、10人を超える地元出身選手が来年の東京オリンピックの代表候補に名を連ねます。そして小櫻さんたちが「さらにステップアップする好機」と期待を寄せているのが、2回目となる島根国体。「良い指導者も、選手もたくさん育っている。ここで止まるわけにはいかない。次の地元開催の国体ではぜひ天皇杯を!」。大きな目標が、町をさらに熱くしています。


再生のキーワード

  • 未普及競技を“町技”に位置付け、核となる協会を設立
  • 将来を担うジュニアの育成
  • 強い選手たちの輩出が地域の盛り上がりに

北京オリンピック代表に決まった地元2選手の壮行式の写真
北京オリンピック代表に決まった地元2選手の壮行式


横田高校男子チームが高校3冠を達成(2008年)の写真
横田高校男子チームが高校3冠を達成(2008年)


町内が国体歓迎ムード一色になった写真
町内は国体歓迎ムード一色に


島根国体ホッケー競技の開始式の写真
島根国体ホッケー競技の開始式



●問い合わせ先
奥出雲町体育協会(TEL:0854・52・2672)



お問い合わせ先

広聴広報課

島根県政策企画局広聴広報課
〒690-8501
島根県松江市殿町1番地   
【電話】0852-22-5771
【FAX】0852-22-6025
【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp