小さな拠点づくり
県土の約90%を占める中山間地域では、住民が皆で知恵を出し合い、地域の課題解決に取り組む「小さな拠点づくり」が進められています。
人をつなぎ、地域を未来へつなぐ/五箇(ごか)こぞって会
(隠岐の島町五箇地区)
料理などを楽しみながら交流する「サロンこぞって」
交流深める「サロンこぞって」
隠岐の島町の北西部に位置する五箇地区。住民組織・五箇こぞって会(田中井敏勝代表)が開く「サロンこぞって」には、地区内12集落の子どもからお年寄りまで、さまざまな世代が集まります。健康体操や四季折々の郷土料理、昔ながらの遊びなどを楽しみつつ、生活の困りごとを話し合うなど住民同士の交流を深めています。
薄れるつながり
活動のきっかけは、少子高齢化により集落ごとでの行事が難しくなったり、お互いの祭りに行き来することも少なくなったりと、集落や住民同士のつながりが薄れつつあったことです。そこで人と人とのつながりをつなぎ直そうと、平成25年から通所介護施設「ふれあい五箇」の職員や産直市を運営する幸(さち)の島(しま)協議会のメンバーが、町や県の担当職員も交えた協議を重ね、翌年立ち上げたのが「こぞって会」です。
まず行ったのは、地元商店や事業所、ふれあい五箇の利用者らを対象にした日常生活アンケートでした。「高齢で跡継ぎもいないし店を閉めようかと考えている」「地区内での移動手段がなくなるのではないか」などの切実な声に田中井代表らは「いま何とかしなければ」と強い危機感を募らせ、「地域のつながりづくりへ、できることから」と行動を開始。産直市やふれあいショップ、移動商店を開くなど試行錯誤を続けました。
地域を知って計画づくりへ
そんな中、外の視点を取り入れようと取り組んだのが学生インターンシップの受け入れです。学生たちは、地元の農業や漁業を体験し、伝統行事にも参加。こうした活動を通じて、既存施設や地域資源の活用等の提案をしてくれました。
この提案を生かして活動を行うため、県中山間地域研究センターのサポートを受けながら、何度も協議を重ね、昨年春に活動計画を策定。あわせて地域性を明確にするため、会の名称を「五箇こぞって会」に改名しました。この計画では、地域を知るための「島おこし実践塾」、集落や世代のつながりを深める「なんでも発表・交流会」、地元住民が集まり困りごとなどが話せる場「サロンこぞって」の3つを活動の柱に据えています。
気軽に立ち寄れるカフェとしてのサロンの定着に加え、地産地消の特産品の開発も目指しています。田中井代表は「運営資金や高齢者の移動手段確保など課題はありますが、住民や区長会とも手を携え、生活支援や周辺環境の充実を図りたい」と意欲を見せています。
「小さな拠点づくり」をサポートしています
県では、「小さな拠点づくり」に向けて、先進事例を紹介したり話し合いの進め方を助言したりするなど、市町村の職員と連携して住民の皆さまをサポートしています。
五箇地区の特徴
●2018年4月時点人口1,744人、高齢化率41%
(2048年推計人口952人、高齢化率45%)
※しまねの郷づくり応援サイトより(2013年と2018年の年代別人口変動が今後も続いた場合の推計)
●働き手の地区外流出や少子高齢化で人口が減少
●農林水産業や宿泊業は担い手不足により衰退傾向
↓
住民同士のつながりを創出することで活力ある地域の構築を目指し、住民有志で「五箇こぞって会」を結成。サロンの開催や集落交流会などの取り組みを進めている
健康体操を楽しむ参加者
●問い合わせ先
しまね暮らし推進課(TEL:0852・22・5065)
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