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輝々(キラキラ)しまね・つくるはぐくむ地域ブランド2

極上!A級グルメのまち(邑南町)

寺本英仁(てらもとえいじ)さん:邑南町食と農産業戦略室係長


地域の魅力を磨き上げ、キラキラと輝く島根のブランド。全国から注目を浴びる県内各地の取り組みを紹介します。


100年後に残る「永久」こそ「A級」

食の学校で「耕すシェフ」と打ち合わせをする寺本さんの写真
食の学校で「耕すシェフ」と打ち合わせをする寺本さん(右)。「耕すシェフが実践を通して経営を学ぶ場として、ショッピングセンター内にカフェも作りました」


40%を超す高齢化や人口減少によって停滞する地域経済を活性化するため、「A級グルメ構想」を平成23年に掲げた邑南町。食と農を切り口にした独自の取り組みが奏功し、現在は観光入り込み客数が年間90万人を上回るなどの成果をあげています。その成功の陰には、構想に至るまでの5年の助走期間がありました。


関心はある、だけど取引しない

邑南町がまず目指したのは、都会地に販路を開拓して“外貨”を獲得すること。産直市や通販サイトの設立・運営に実績のあった町職員・寺本英仁さんを切り込み役として、平成19年頃から都会地への売り込みを始めました。

「地方の上質な食材にこだわるシェフがいると聞けば、どこのホテルやレストランでも出掛けました。しかし関心は持ってもらえても、ほとんど取引には結びつかない」、そんな時期が数年続いたと寺本さんは振り返ります。

問題は、都会の旺盛な消費に応える量が確保できなかったこと。味や品質に自信のあった石見和牛でさえ、年間200頭の生産量が少なすぎたために仕入れてもらえないこともありました。

「単なる国産和牛としてなら、販路が開拓できたでしょう。それで町の経済は潤う。けれど、地域の誇りである石見和牛のブランド名は失われてしまいます。都会の基準に認められるより、『200頭の限定生産』という新たな価値をつけ、町から発信していこうと方向性を改めました」

この発想の転換により生み出されたのが、A級グルメ構想でした。


町で完結する究極の6次産業

目指したのは、ここにしかないA級グルメを求めて邑南へ来てもらうこと。町で生産したものを町で調理・加工し、町で消費してもらおうという、究極の6次産業化でした。「A級」とは「高級」ではなく、100年先の子どもたちに伝えたい「永久」の価値あるもの、という思いを込めました。

その象徴としてオープンさせたのが、石見和牛やキャビア、ハーブなど、A級グルメ食材をふんだんに使った本格イタリアンを提供するレストラン「AJIKURA」です。またA級グルメに関心を持つシェフを育成する「食の学校」も設立しました。

「A級グルメを取り入れてくれる店やシェフがいないなら、自前で作ろうという発想です。AJIKURAの料理長や食の学校の学校長は、セールスを通じて、A級グルメに共感してくれた方が引き受けてくれました」と寺本さん。

販路拡大に思うような成果が上がらなかったここまでの5年間は、町の“売り”とは何かを見つめ直し、人脈を築き、飛躍への足場を固める「助走期間」になりました。


「A級グルメの一員に」

いま、食の学校を拠点に地域おこし協力隊員「耕すシェフ」が料理や経営を学び、町内で飲食店経営に乗り出したり、農業研修施設・農の学校で「アグリ男子・女子」が知識・技術の習得に励んだりしています。

農家の跡取りたちのUターンもあるといい、寺本さんは「20〜30代の若い世代に、A級グルメの一員として何かに挑戦したいと言ってもらえるようになりました」と喜びを見せています。


再生のキーワード

  • 町が率先してセールス
  • 都会地への大量供給ではなく、町への観光誘客を目指す
  • 構想づくりの前に助走期間

地元の食材を豊富に使ったAJIKURAの料理の写真
地元の食材を豊富に使ったAJIKURAの料理


本格イタリアン店「AJIKURA」の写真
本格イタリアン店「AJIKURA」。観光協会直営から、利益を追求できるよう、独立を果たした


「食の学校」の写真
食の継承や6次産業創出のため町が設立した「食の学校」


イベントに出掛け、A級グルメを提供するキッチンカーの写真
イベントに出掛け、A級グルメを提供するキッチンカー



●問い合わせ先
邑南町食と農産業戦略室(TEL:0855・95・1116)



お問い合わせ先

広聴広報課

島根県政策企画局広聴広報課
〒690-8501
島根県松江市殿町1番地   
【電話】0852-22-5771
【FAX】0852-22-6025
【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp