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「子育てしやすく活力ある地方の先進県」を目指す・島根県総合戦略

わが国の人口は、2008年をピークに減少に転じており、島根県の人口も、将来的な減少が見込まれています。

島根県では、出生率を向上させ出生数を増やし、若者の転出による人口減少を減らすため、次の4つの大きな柱により施策を展開しています。


(1)若い人たちが安心して住み、子育てができるような職場を増やすため、産業の振興と雇用対策を進めること

(2)そうした中で増える若い人たちの結婚、出産、子育てを支援していくこと

(3)島根への定住、あるいはUIターンを促進し、地域を担う人づくりを進めること

(4)県内でも早くから人口減少が進んだ中山間地域・離島においても、住民の方々が自分の地域で暮らせるように「小さな拠点づくり」などを行うこと


「子育てしやすく活力ある地方の先進県」を目指し、島根の総力を結集して進めていきましょう。


島根県の人口推移と今後の見込みのグラフ


1955年頃から始まった高度経済成長期に、島根など地方から多くの若者たちが大都市に働きに出ていきました。

東京、大阪など大都市が発展し、日本は世界第2位の経済大国となりましたが、この過程には、将来の日本の人口にも関わる大きな副作用がありました。

大都市では若い人が増えているのに、多くの家庭では1人か2人の子どもを育てるのが精一杯で、出生率が低下し、子どもの数そのものが減っていきました。

一方、地方は、子育てはしやすいのですが、子どもを産み育てる若い人が少なくなり、全体として子どもの数が減ってきました。

地方の若者が子育ての難しい大都市に吸引される状況を放置すれば、日本全体も人口減少のスパイラルから抜け出せません。

島根県では、近年、自然減(出生と死亡の差)で約4千人、社会減(転入と転出の差)で約1千人、合計約5千人の人口減少が進んでいます。

こうした傾向に歯止めをかけて、2040年までに、一人の女性が生涯に産む子どもの数を平均2.07まで引き上げ、若者の転出による社会減が少なくなるように雇用を増やして、社会減をゼロにすれば、一定のレベルで人口を安定させることができます。


基本目標1:しごとづくりとしごとを支えるひとづくり

島根には、優れた技術を持つものづくり産業やIT産業の集積があり、外国人を含む観光客の増加なども、新たな雇用につながっています。

豊かな自然の中で働きたい、農林水産業に従事したいという若い人も増えており、県内で安心して働けるよう産業振興を進めています。


品質向上重ね「目標はF1」

エンジンの温度を一定に保つ冷却装置(ラジエーター)などの熱交換器を製造する大和ラヂヱーター工業(浜田市金城町)は、平成20年から県産業技術センターや大学等と研究を重ね、顧客の要望に応えられる製品の性能等を提案できるシステムづくりに取り組んでいます。

「精度の高い実証実験や予測ができるようになり、性能・技術力の向上につながりました。公的機関との協働なので、機密保持の点でも安心です」と経営管理部の八幡(やはた)国臣次長は話します。

現在は、技術を応用して医療機器など新規分野への参入や、顧客の様々な要望に対応する製品性能等を提案することで共同開発に発展させるなど、従来の下請け型以外の事業が増加。ラジエーターの軽量化・高性能化が要求されるレース用自動車にも製品が採用され、「技術を磨き上げ、いつかF1に参戦したい」と夢を描きます。


処遇改善や雇用拡大も実現

また同社は、事業の発展に合わせ、研究開発者の昇格や、新規プロジェクトへの士気向上を狙った一時金の支給など社員の処遇改善、雇用拡大に取り組んでいます。地元高校生を対象とした就職説明会にも積極的に参加し、社員が誇りを持って働ける「島根のオンリーワン企業」としての魅力をアピールしています。


県内企業の発展・事業承継を支援

県では、県内企業と一緒になって先進的な技術の研究・開発と、県内企業への技術移転を支援しています。

また、しまねの産業を担う人材確保のため、進学希望の高校生を対象に県東部・西部で企業セミナーを開催するなど、高校生や県内外の大学生等に県内企業の魅力を発信しています。

県経済と雇用の中心的な担い手である県内の中小企業の安定した雇用の維持・確保に向け、事業承継への支援も強化しています。


製品の情報交換をする研究開発者と営業スタッフの写真
製品の情報交換をする研究開発者と営業スタッフ


活気づく工場内の写真
活気づく工場内


いわみ魅力と仕事発見セミナーの様子の写真
いわみ★魅力と仕事発見セミナー(浜田)


基本目標2:結婚・出産・子育ての希望をかなえる社会づくり

島根には、結婚したい、子どもを持ちたい皆さまが多くおられます。

結婚、妊娠・出産・子育てまで、切れ目のない細やかな支援策を設け、企業や地域の皆さまと一緒になって、こうした希望をかなえられる社会づくりを進めています。


病児保育に救われて

奥出雲町で今年4月に開設された病児保育施設「ほっとすてい」に、一通のはがきが届きました。差出人は、同施設を利用した母親。初めて接する保育士にわが子がすぐ懐いて安心したこと、保育中の詳しい経過記録を受け取って感激したこととともに、「このような施設ができたことをありがたく、幸せに思います」とつづられていました。


セーフティーネットが安心感に

病児保育とは、病気の回復期等の子どもを病院や保育所の専用スペースで一時的に保育するものです。高まるニーズを踏まえ、病児保育施設の整備を進め、現在は14市町に設けられています。

「ほっとすてい」は、1歳から小学3年までを対象に、医師の判断に添ってけがや病気の子どもを受け入れています。保育士の景山ゆかりさんは「お子さんが不安なく過ごせることが、保護者の安心につながります。お迎えの時に一日の様子を報告すると『助かりました』と感謝の言葉をいただきます」と話し、働く親などのセーフティーネットとして機能していることを実感しています。


切れ目ない相談・支援へ

若い世代が抱える妊娠・出産・子育ての負担や不安を解消し、希望どおりに子どもを産み、育てることができるよう、県と市町村が一緒になって、切れ目のない相談・支援体制づくりをしています。

保育所待機児童の解消に向け、認定子ども園や保育所の整備、保育士等の人材確保に取り組んでいます。3歳未満児の保育料の負担軽減にも取り組んでおり、特に第1子・第2子の保育料軽減については、全国トップクラスの取り組みです。

企業や関係団体とも連携を深め、子どもを産み育てながら働き続けることができる環境整備を官民が一体となって進めています。


県内の保育所で元気に遊ぶ子どもたちの写真
県内の保育所で元気に遊ぶ子どもたち


奥出雲町病児保育施設「ほっとすてい」の様子の写真
奥出雲町病児保育施設「ほっとすてい」


基本目標3:しまねに定着、回帰・流入するひとの流れづくり

島根の魅力ある仕事や、自然に恵まれたゆとりある生活、子育てしやすい環境に関心を持つ若い人が増えてきています。

島根の魅力について、ふるさと教育などにより地域の子どもたちに伝え、また様々なチャンネルを通じて情報発信することで、定住やUIターンにつなげています。


15年ぶりにふるさとへ

知夫村で子牛の繁殖経営に取り組む福山康太さんは平成27年、県外の高校に進学して以来約15年ぶりにふるさとへUターンしました。

きっかけは、帰省した際に知人から“弟子入り”を誘われたこと。それまで畜産とは無縁でしたが、未知の世界に好奇心を刺激され、挑戦を決めました。


弟子入り制度を活用して独立

畜産農家の後継者育成のため、知夫村ではUIターン者が希望する就農スタイルに合わせて支援を行っています。福山さんも、ふるさと島根定住財団や県の助成事業の紹介を受けたり、ベテラン農家への弟子入りを調整してもらったりして就農をスタート。牛の扱い方や牛舎の管理を実地で習得し、昨年秋に独立に踏み切りました。

「牛の世話はもちろん、生活安定に向けた経営プランの立て方を、経験者から学べた意義は大きい」と福山さん。飼育中の6頭に今秋2頭追加し、規模の拡大を目指しています。


“オール島根”で定住推進

知夫村のような地域の特性を生かした定住推進策は、県内の各自治体で行われています。県とふるさと島根定住財団は、市町村と一体となって、情報発信から相談、体験、受け入れ、フォローアップまで切れ目のないサポートをしており、全国の先進例として注目されています。

東京・大阪・広島でUIターンフェアを開催したり、定住アドバイザーの配置、UIターンの先輩による個別相談を行ったりするなど、総合的できめ細かな移住・定住支援を推進しています。

また、地域を担うひとづくりにもつながるよう、小中学生を中心に地元への愛着や誇りを育む「ふるさと教育」や、中山間地域・離島における魅力ある教育環境づくりなども進めています。


福山さんが管理する親牛の写真
福山さんが管理する親牛


福山康太さんの写真
福山康太さん


基本目標4:地域の特性を活かした安心して暮らせるしまねづくり

島根の中山間地域・離島は、過疎化・高齢化が早くから進んでいますが、先人たちの手によって今日まで大切に受け継がれてきたかけがえのない財産です。

魅力あふれる地域を将来にわたり維持し、今後も安心して人々が住み続けることができるよう、より広域的に日常生活を支える仕組みづくりなどを進めています。


ドアまで送迎、付き添い

高齢化率が40%を超す美郷町別府地区では、県のモデル事業で車両を借り受け、平成21年度から交通弱者の移送サービスを開始しました。

平成24年には、住民がNPO「別府安心ネット」を設立。翌年から有償運送を開始しています。以前は自宅からバス停までの送迎でしたが、バスの乗り降りが負担になる高齢者が多いことから、送迎車を3台に増やして目的地までを往復。病院やスーパーなどでは付き添いも行っています。別府安心ネットの樋ケ(ひのけ)昭義理事長は「電球交換やごみの搬出など、日常生活のサポートもしています。独居の高齢者も安心して暮らし続けられる地域を、自分たちでつくりたい」と話します。


若い世代の将来を見据えて

別府地区ではこのほか、住民が気軽に交流できるサロンの運営や耕作放棄地の管理など、地域の課題解決にむけて自治会や女性部、青年部などの住民団体が連携して取り組んでいます。

「住民活動の活性化は高齢者対策だけでなく、中高年の生きがいづくりや、子育て世代の雇用の場の創出も目的」と樋ケ理事長はいい、若い世代の定着にも意欲を燃やしています。


「小さな拠点づくり」を推進

過疎化・高齢化が進み、地域コミュニティーの維持や日常生活に必要な機能・サービスの確保が難しい集落が増える中で、地域の現状や将来像を住民自らが考える取り組みが進んでいます。

中山間地域や離島では、公民館エリアを基本に生活機能を維持し、生活交通を確保するための地域運営の仕組みづくりや、特産品開発などの産業振興を住民と市町村・県が一緒になって進めています。

また、それぞれの地域で安心して暮らしていけるよう、医師・看護師の確保対策や、在宅医療と介護の連携に取り組む市町村を支援しています。


美郷町別府地区の送迎サービスの様子の写真
美郷町別府地区の送迎サービス


にぎわう交流サロンの写真
にぎわう交流サロン



●問い合わせ先
政策企画監室(TEL:0852・22・6322)
詳しくは、島根県のホームページをご覧ください
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お問い合わせ先

広聴広報課

島根県政策企画局広聴広報課
〒690-8501
島根県松江市殿町1番地   
【電話】0852-22-5771
【FAX】0852-22-6025
【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp