しまね通vol.2
各分野のプロフェッショナルが、ゆかりの深い島根について語ります。
元競泳女子日本代表・浜田PR大使・千葉すずさん
ちば・すず
昭和50年生まれ、仙台市出身。競泳女子自由形の元日本代表。平成3年の世界水泳選手権で銅メダルに輝き、平成4年のバルセロナ五輪6位、平成8年のアトランタ五輪8位に入賞した。現在は全国で水泳指導に携わり、浜田市三隅町のスポーツ施設「アクアみすみ」イベントアドバイザー、浜田PR大使、ユネスコ無形文化遺産石州半紙PR大使などを務める。奈良県在住。
地元のネットワークが引力
島根との縁が始まったのは平成14年、講演や水泳指導に招かれて浜田市三隅町を訪れたことからです。人から人へと結ばれる地元の方のネットワークに引き寄せられ、その後も呼んでいただけるようになりました。
人柄が温かくて奥ゆかしく、美しい景色やおいしい食べ物があることが島根の魅力です。今では毎月のように島根へ来ているので「おかえり」と迎えてもらい、古里のような居心地の良さを感じています。
さまざまな「水」と出合う
現在は、アドバイザーを務める「アクアみすみ」や「浜田市三隅B&G海洋センター」を中心に、各地で水泳指導などをしています。
プールでは小学生から大人まで、さまざまな年代の方と接します。指導の際は大会で1位を取ることや「もっと速く、うまく、強く」なることだけを目指すのではなく、私が経験を通して学んだ「努力を積み重ねることの尊さ」を伝え、水泳を人間的に成長するきっかけにしてほしい、と思っています。
一方、私自身は、島根でさまざまな「水」と出合いました。
毎年参加している益田の高津川水泳マラソンでは、透明度の高い清流の美しさや、魚が目の前を泳ぐ川の豊かさを全身で感じています。この素晴らしい環境で育つのが、最高の天然鮎。地元の方の振る舞う鮎をゴール後にいただけたのはほかにはない貴重な体験でした。
PR大使を務めている石州和紙は、紙すきなどの製作工程に水が欠かせません。しなやかで温かな風合いがある石州和紙は、ミシンで縫っても破れないほどの強靭(きょうじん)さ。バッグやドレスを制作したところ、紙であることに驚かれ、「いいね」と関心を持ってもらえました。
競技から離れても水とかかわりがあることは感慨深く、「現役選手の頃はプールの水しか知らなかったな」と世界が広がったことを実感しています。
アーティスティックな石見
また、石見地方では、伝統的な文化や芸能が日常に息づいていることに驚かされました。石州和紙もそうですが、代表的なのが石見神楽。見るのも舞うのも生活の一部になっていて、これまでに接したことのないアーティスティック(芸術的)な土地柄に刺激を受けています。
(談)
浜田市内で水泳指導を行う千葉すずさん
千葉さんが制作した石州和紙のバッグ
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