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杉原通信「郷土の歴史から学ぶ竹島問題

第21回鬱陵島友会報は語る−(1)明治37、38年の鬱陵島−


先般、鳥取県米子市在住の奥村平治氏から奥村氏の祖父と父上の写真と、『鬱陵島友会報』を拝見させてもらいました。

奥村氏の祖父平太郎氏は、鬱陵島や朝鮮半島の馬山市に缶詰工場を建設、経営しており、昭和13(1937)年に鬱陵島で死亡後、平治氏の父の亮氏(平成元年米子市で死亡)が引き継いで経営していました。

また、戦後、鬱陵島で生活した人達が「鬱陵島友会」という会を結成し、昭和39(1964)年から機関誌「鬱陵島友会報」を年1回発行していました。その6年分を奥村氏から見せてもらいました。すでに別の年の会報1冊が島根県隠岐郡西ノ島町でみつかっており、これで7年分みつかったことになります。今回はそれを読んで感銘を受けたことをまとめてみたいと思います。

まず、当時島根県庁総務課の職員であった田村清三郎氏が、会報に「先人の足跡(明治三十七・八年の記録)」と題する寄稿文を発表されているのに気づきました。氏は『島根県竹島の新研究』(昭和40年)という、竹島や鬱陵島の歴史をまとめる重要な著書を残されています。

明治37(1904)年といえば、竹島で2年間のアシカ漁を試み、事業として成り立つと確信した中井養三郎が、上京して内務省、外務省、農商務省に「領土編入並貸下願」を提出した年です。翌明治38年は、1月に明治政府が閣議で竹島の島根県所属を決定し、2月には島根県知事がそれを告示の形で県民に示し、また、同年5月には折りからの日露戦争の中で両国の海軍が鬱陵島や竹島近海で激突する、いわゆる日本海海戦があった年です。

さて、田村氏が集めた資料によると、明治39年2月段階で、鬱陵島には日本人が303人居り、世帯数96戸だったそうです。出身県別にみると、島根県が218人・64戸と断然多く、続いて鳥取県が28人・12戸、3位は佐賀県が13人・8戸です。ただ佐賀県は男12人、女1人なので恐らく世帯といえるのは1所帯で、出稼ぎの男達か独身者の寄り合いの家が7戸あったと思われます。次が和歌山県の7人・3戸、兵庫県7人・2戸となります。

明治43(1910)年に日韓併合で鬱陵島が日本の島になると、人数も戸数も倍増しますが、明治37、38年でも想像以上に日本人の進出があったことがわかります。住んでいた場所は181人・51戸の道洞(トドン・江戸時代は浜田浦と呼ばれていました)、南陽洞、通九味、竹岩洞、台霞洞、沙洞、苧洞等でした。職業は漁夫34人、船乗り24人、木挽17人、仲買人13人、輸入商13人、大工9人、官吏は3人で、すべて警察官でした。お医者は1人、後にかなりの人数が存在した学校の先生は、この当時は皆無でした。

鬱陵島へ進出した日本人達は、明治35年6月には外務省の釜山理事庁の認可を得て自治の共同体を結成しています。共に拠出金等を負担することを決めた「日商組合」の「規約」には、新しい大地での希望と躍進の決意が感じられます。後になると鬱陵島島司(とうし)という隠岐島と同じようなリーダーの役職もできますし、朝鮮本土の慶尚北道道会議員も誕生しています。

産業については、田村氏は「漁業は日本人の独占であって、韓人は漁業を知らない。和布(わかめ)の採取だけが韓人の独占であった」とし、明治37、38年のするめ、乾しアワビ、海のりの輸出量を記しています。そして、アワビの缶詰の輸出が明治38年から開始されたことも記録しています。奥村平太郎氏の缶詰工場が稼働しだしたのです。明治38年度には、10箱96円分にとどまりましたが、1箱4ダース入りとして1缶20銭の相場になると計算されています。輸出総額は明治37年が35,467円、明治38年が71,685円で、日本からの白米、清酒、塩、砂糖、醤油、たばこ、石油、布等消費物資の輸入総額は、明治37年が16,407円、38年が25,480円となっています。大幅に輸出総額が上回っており、島民の新天地での開拓魂と一致団結しての躍動が伝わってくるような2年間でした。

なお、田村氏がこの寄稿文に使用された資料は、奥原碧雲氏の『竹島及鬱陵島』の鬱陵島の部・第11項「本邦移住民」のものと一致します。

鬱陵島友会報(写真)

鬱陵島友会報


(主な参考文献)

・田村清三郎「先人の足跡−明治37・38年の記録−」『鬱陵島友会報第3号』昭和40(1965)年11月

『竹島及鬱陵島』奥原碧雲明治40(1907)年


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