前年に引き続き島根県内の医療機関において患者材料(便)及び健康人材料(便)から検出された58例の Salmonella について血清型別を実施した（表23）。その結果、多く検出された血清型は、S.Enteritidis の20例(34.5％)、 S.Infantis の5例（8.6％）、 S.Typhimurium の3例（5.2％）等で、 2003年も 昨年同様S.Enteritidis が最も多く検出された。
　月別検出状況では例年、細菌性食中毒が多発する5月から9月の暑い時期に多発するが、2003年は冷夏の 影響のため7月及び9月の検出が激減している（図16、17）。
　過去10年間のSalmonella 血清型の推移は、629例で、多く検出されたのはS.Enteritidis、 S.Typhimurium、S.Infantis 等であった(表24)。
　感染症新法の二類感染症病原体であるS.Paratyphi A は1例検出された。海外での感染事例であった。 S.Typhi については2003年は検出されなかった。
　なお、食中毒事例におけるSalmonella 患者分離株は本集計結果に含まれていない。
　昨年は冷夏の影響を受け、7月と9月のSalmonella 分離株の検出が減少した。過去10年間（1994年〜2003年） における月別の検出数と25℃以上だった日数、30℃以上だった日数（松江市を基準とした） を比較すると、医療機関がSalmonella を検出して当所に送付されるのに時間差があるため、分布が少しずれているが、 相関があった。
　2003年は7月が高温の日が例年より少なかったため、検出数も7月は極端に少なくなったと思われる。