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島根県農業試験場研究報告第21号(1986年3月)p1-105

ブドウの適正収量に関する研究

 


 


高橋國昭


摘要

 ブドウの適正収量について検討するため、第2章では主として積み上げ法によるブドウの乾物生産力と果実生産力について概観し、第3章では葉面積の簡易測定法と葉面積の拡大の問題を、第4章では新梢と樹の物質生産の過程について、第5章では最適葉面積指数の問題を、第6章では着果量と果実品質の関係を、そして第7章において適正収量の指標を試算した。

 

  • ブドウの乾物生産力と果実生産力
    ブドウの乾物生産力と果実生産力を物質生産の観点で解析するため、1978年から1982年にかけて、鉢栽培や農家栽培園の'巨峰'とジベレリン処理無核'デラウェア'63本を積み上げ法によって調査した。

 

  • 葉面積の推定法及び葉面積の季節変化
    野外において葉長及び葉幅からブドウの個葉面積を、そして新梢の長さからその葉面積をそれぞれ推定する方法について検討し、個葉及び新梢の面積の拡大の状況を調査した。

 

  • 物質生産の季節変化
    ブドウの物質生産の季節変化過程を明らかにするため、1979年から1982年にかけて'デラウェア'と'巨峰'の結果枝及び樹を、時期を追って採取あるいは堀取って調査した。

 

  • 最適葉面積指数
    平棚栽培におけるブドウの最適LAIを明らかにするため、庇陰された個葉の光合成速度をガス法で実験し、棚下に誘引した結果枝のNARを測定した。また、5年生'デラウェア'園の棚下に鉢植えの3年生'デラウェア'を持ち込んで、果実肥大第1期から成熟期までのNARを測定し、基部を環状はく皮した側枝のNAR、CGRも測定した。さらに、ガラス室において鉢植えの4年生'デラウェア'の密度(LAI)と着果量を変えて、果実の諸形質に及ぼす影響を調べるとともに、NARとCGRを測定した。

 

  • 着果量と果実品質
    果粒の発育を乾物重の動きから解析し、適正収量を判断する指標について検討した。また、作型を考慮しつつ結果枝のNARについても検討した。さらに、樹冠拡大中と成園状態のブドウ園における適正収量についても検討した。

 

  • 多収園の実態
  • 適正収量における指標の試算
    ブドウ果実の物質要求量は果粒軟化期から急増するので、この時期以後の新梢生長は果実生産にとってマイナスに働くと考え、この時期における新梢長とその密度から適正収量を決めるのがよいと考えた。そして、樹冠拡大中でLAIがNARに及ぼさない程度の場合には、着果量は新梢の長さを基準に決めるのがよいと考えられた。
    また、成園の場合には新梢の長さと密度から純生産を、新梢長から果実乾物量を計算し、果実乾物率で除して適正収量の指標を試算した。
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