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島根県農業試験場研究報告第20号(1985年10月)p61-85

密植促成桑園における枝条、葉の垂直展開に関する研究

桑品種および栽植密度の影響

 


 


谷田穂、斎藤肇


摘要

 密植栽培桑の枝条、葉の垂直展開について、桑品種別および栽植密度別に検討しつぎのような結果を得た。

 

  • 枝条垂直展開の桑品種間比較では、しんいちのせ、みなみさかりには、直立性の太くて長い枝条が比較的少数生育しており、大島桑とはほぼ逆の傾向を示し、一ノ瀬はこれら両者の混合あるいは中間タイプにあった。

 

  • 葉身部性状の桑品種間比較では、みなみさかりは、表面発育度が小さく含水量の多い、かつGM値のやや小さい葉を比較的多く着生しており、大島桑とはほぼ逆の傾向にあった。一ノ瀬、しんいちのせでは、これらの性状は、概してみなみさかりと大島桑のタイプの間に位置した。ただし、一ノ瀬は葉面積重では、他の品種区に比較して最大値を示すことが多かった。また、これらの性状は各収穫時期により、それぞれ特徴が観察された。

 

  • 枝条垂直展開の栽植密度別比較では、概して、十分に生育、繁茂した時期には、栽植密度の高い区ほど枝条垂直展開における分段化傾向が顕著になるものと考えられる。

 

  • 生産構造の栽植密度別比較の場合、全般的に生産構造は栽植密度別に顕著なー定の特色を示さず、各収穫時期における生育状況により、生産構造の栽植密度別の傾向がそれぞれ異なった。しかし、収穫時期別には、生産構造は顕著な特徴を示した。すなわち、春期を除いた他(夏期、初秋期、晩秋期)の収穫時期では、生産構造は基本的にはイネ科型類似構造とみなすことができ、かつ、各収穫時期における生育状況に応じて、生産構造はそれぞれ特徴がみられた。また、春期収穫時期の生産構造は、広葉型にやや類似の構造を示した。なお、群落内相対照度の低下は、全般的には、上層では比較的緩やかであるが、中層以降やや急であった。

 

  • 葉身部性状の栽植密度別比較では、概略的には、栽植密度の高い区はと、葉面積重および対葉面積含水量が小さいので表面発育度は大きく、かつ、葉面積指数が大きい傾向にあった。また、これらの性状は、各収穫時期によりそれぞれ特徴を有し、さらに,層位別の推移においても、上層から中層および中層から下層にかけてはそれぞれ特徴ある変化を示した。
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