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島根県農業試験場研究報告第20号(1985年10月)p1-11

 


トマト白ぶくれ症の原因とその発生


村井保、石井卓爾


摘要

 

  • トマト白ぶくれ症の再現試験および被害発現観察の結果、ヒラズハナアザミウマ雌成虫がトマトの子房に産卵し、その結果として産卵部周辺が白ぶくれ症となることが明らかとなった。また、白ぶくれ部分には吸汁加害による唾液鞘や表皮組織の破壊は認められなかった。

 

  • ヒラズハナアザミウマ雌成虫の寄生花率(Arcsin百分率1/2変換値,X)と被害果率(Arcsin百分率1/2変換値,Y)との間には高い相関が認められ、その回帰式はY=1.453X−14.893(r2=0.8368)となった。また、ヒラズハナアザミウマの10花当たり寄生虫数(対数変換値,Ln(X+1)と白ぶくれ症果率(Arcsin百分率1/2変換値,Y)との間にも高い相関が認められ、その回帰式はY=17.659Ln(X+1)+0.284(r2=0.8786)となった。

 

  • トマト白ぶくれ症は我が国では北は北海道から南は沖縄県まで広範囲に発生分布していることがわかった。その発生は1970年以降に確認されたところが多く、発生時期は5−8月であった。また、被害果率の年次変動は大きく30%以上の発生が認められたところもあった。

 

  • 4株当たりの白ぶくれ症果数はランダム分布の傾向を示し、果実当たりの被害痕数は著しい集中分布を示した。このことから、原因となるヒラズハナアザミウマのトマト圃場内の分布様式は、株当たりではランダム、花当たりでは集中分布することが示唆された。
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