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島根県農業試験場研究報告第15号(1977年12月)p58-66

 


島根県における肉用子牛生産経営の成立条件


今岡陽吉、藤原建比古、佐藤孝之、出川正幸


摘要

 

  • 島根県の肉用牛飼養は子牛生産が主体であり、2才以上めす牛頭数では全国の4.1%を占め、県別順位では第7位である。県内における農業粗生産額に占める肉用牛粗生産額の割合は6.3%であり、米に次ぐ重要作目である。島根の肉用牛飼養は、全国より3年早く1953年にピークに達し、その後の増減傾向は、子牛価格の影響による面が大きい。

 

  • 中国地域の肉用牛飼養は、東北、九州に比して飼料基盤が弱く、その結果として飼養規模が小さい。

 

  • 島根県における肉用飼養は、出雲南部山間地帯に集中し、この地帯が肉用牛飼養の重要地域となっている。

 

  • 島根県における1975年現在の子牛生産多頭経営の平均飼養規模は11.9頭であり、粗飼料の生産利用は1頭当り生草換算9,55lkgである。

 

  • 島根県の子牛価格は、4−6年の周期をもって次第に振幅を増しながら上向している。おす価格がめす価格より相対的に高くなると、全体的に子牛価格は上昇し、約3か年後に子牛価格はピークとなる。

 

  • 子牛生産経営の収益性は、一般的に低位、不安定である。多頭経営においても平均的には高収益を得る段階にいたっていないが、経営内容の優れた上位農家では高収益となり、企業的にも成立っている。

 

  • 子牛生産経営の生産性は一般的に低く、多頭経営においても平均的には低いが、上位農家においては、酪農、水稲に比肩する生産性となっている。
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