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島根県農業試験場研究報告第15号(1977年12月)p1-13

 


高冷地における生育後期窒素施肥法の相違が米質に及ぼす影響


新田英雄、名古洋治、三島茂


摘要

 島根県の高冷地の水稲、特にその早生種(日本晴級)はしばしば秋冷のため登熟が阻害され、米質が悪化するとともに収量が低下する。これの生産安定に資するため、生育後期窒素施肥が特に米質に及ぼす影響について検討した。得られた結果は次のとおりである。

 

  • 幼穂形成期追肥:乳白米および死米歩合が高く、米質を悪化しやすい。

 

  • 減数分裂期直前追肥:この期の追肥は千粒重を増したがそれに比較しては粒厚の発育が十分でなく、腹白米が多く米質は劣った。しかし収量への影響が大きく、収量向上の面からは不可欠と考えられた。施肥量は0.1kgでは効果が少なく、0.2−0.3kgを必要とすると考えられる。

 

  • 止葉期追肥:単独追肥では米質に及ぼす影響は比較的少なかった。しかし減数分裂期直前追肥プラス止葉期追肥では0.1kgの少量でも腹白米歩合を高め、米質を悪化した。

 

  • 穂揃期迫肥:単独追肥では米質に及ぼす影響は比較的少なかった。減数分裂期直前追肥では腹白米が減少し、また光沢を増し米質を向上した。特に低温年でもその効果が認められ、また収量にも好影響を及ぼした。施肥量は0.1kgでは効果が少なく、0.2−0.3kgを要すると考えられる。ただこの期追肥は茶米を若干多くする場合があり、この点については今後の検討が必要である。
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