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島根県農業試験場研究報告第11号(1973年12月)p41-51

 


ヤクヨウニンジン斑点病に対する薬剤防除について


広沢敬之、尾添茂、多久和達雄


摘要

 島根県におけるヤクヨウニンジン栽培地、八束郡八束町で普遍的に発生し、とくに長雨の場合の重要病害である斑点病の薬剤防除法について検討した。

 

  • 供試農薬中、本病菌分生胞子発芽阻止効果が最も高かった農薬はTPN水和剤、ダイホルタン水和剤、マンネブ水和剤であり、キャプタン水和剤、ポリカーバメート水和剤、トリアジン水和剤、ポリオキシン水和剤などがこれに次いだ。

 

  • 本病菌侵入に対して防止効果が最も高かった農薬はダイホルタン水和剤、ポリオキシン水和剤であり、次いで効果が高かったのはマンネブ水和剤、マンゼブ水和剤、ポリカーバメート水和剤であった。

 

  • ほ場試験の結果、ポリオキシン水和剤の効果が最もすぐれ、ダイホルタン水和剤がこれに次ぎ、ジネブ水和剤の効果よりすぐれていた。

 

  • 薬剤の効果の持続期間はダイホルタン水和剤がかなり長かったが、ポリオキシン水和剤は雨などの影響をうけやすくダイホルタン水和剤より短かかった。

 

  • 本病菌が感染し潜伏期間中に薬剤を散布した場合、ポリオキシン水和剤は病斑出現を著しく抑制し、また,病斑がすでに出現したのちに散布した場合にも病斑の拡大を抑制して治療効果が高かった。

 

  • 両農薬の散布濃度はともに1,000倍くらいで実用性があり、散布間隔は7−10日程度が適切と思われる。ただし、降雨の多い時期のポリオキシン散布は濃度を高めたり、散布間隔を短かくする配慮が必要であろう。
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