病原菌：Aciculosporiumtake。糸状菌（俗にいうカビ）の１種。

　病枝は著しく多数の節をもったつる状になる。多数の病枝が集まってほうき状または鳥の巣状になり，節には小葉を着生する(写真2,3)。

　桿（かん）および竹林全体が衰弱する。桿（かん）が早期に枯死するとの調査例もある。

　病原菌の分生胞子は主に梅雨時期に，葉鞘先端部に形成された白色の子座（写真４）に形成される。また，子のう胞子が主に夏季，葉鞘基部に形成された赤褐色でいぼ状の子のう殻子座に形成される。これら胞子（写真5）は白色，糸状で，雨滴によって分散しやすい。伝染は降雨が多く、多湿となりやすい梅雨頃が主な時期となる。

　同化作用が衰え地下の茎の貯蔵養分が減少して，タケノコの発生が減少する。罹病竹は強度的に弱く，竹材生産の支障となり，また雪害を受けやすくなる。病巣の下垂，葉の褐変，桿（かん）の枯死，雪圧等による桿の折損により，景観がはなはだしく損なわれる。

　罹病竹および老齢竹を伐採焼却処分する。これにより，竹林の風通しが改善され伝染しにくい環境となり，また伝染源が除去され，被害が軽減する。場合によっては，適切な本数に間引いたのち，堆肥・肥料を与えることも本病予防に効果がある。

　かつて，マダケやハチクは竹材・タケノコ生産に不可欠でした。当時，てんぐ巣病の発生が問題になっていたようですが，適切な管理された竹林では，罹病竹が間引かれるなどして，被害はある程度まで抑えられていました。しかし，近年，竹材製品やタケノコは石油製品や安い輸入品に置き換わったため，竹林はあまり利用されなくなりました。こうした社会情勢の変化によって，竹林が放置され本病が蔓延した、と考えられます。

写真２罹病枝（川本町，２月上旬）。

枝がほうき状となり，奇形を呈している。

写真３罹病竹（津和野町，６月上旬）。

多数の病巣が形成されている。枯死した病巣も目立つ。

写真４葉鞘の胞子形成器官（分生胞子子座，６月上旬）。

内部に多数の胞子が形成される。

写真５病原菌の分生胞子。

白色，糸状，大きさ約50×２μm。

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