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事例7低密度植栽は下刈り作業を省力化するか

 

島根県東部農林振興センター出雲事務山中啓介

島根県中山間地域研究センタ岩田若奈

 

キーワード

 

スギ、低密度植栽、下刈り、坪刈り

 

 

調査地

 

島根県雲南市吉田町吉民有林

標高:500m年平均気温:12.1年平均降水量:1,742mm

積雪:多地質:花崗土壌型:褐色森林土

 

 

施業履歴

 

 2007年

スギ人工林を伐採

 

 2008年4月

スギ2年生挿木苗を1,000本/ha(1,000本植栽)、2,000本/ha(2,000本植栽)、3,000本/ha(普通植栽)で植栽した

 

 2009年8月

普通植栽は全刈りのみ、1,000本植栽は坪刈りのみとし、2,000本植栽は全刈りと坪刈り(半径1.0m)を実施した。作業は50代の元森林組合のベテラン作業員1名が担当した

 

 2010年9月

2009年と同様の方法、同じ作業員で下刈りを実施した

 

 

 

調査結果の概要

 

・単位面積当たりの下刈り作業時間を図1に示した。全刈りの作業時間は2,000本植栽、普通植栽とも約16〜18時間/ha/人と同程度の作業時間であった。

・2,000本植栽よりも1,000本植栽の方が坪刈りの作業時間が短かった(図1)。また、2009年より2010年の作業時間が短かった(図1)。

・2009年の2,000本植栽区では、刈り払い実面積が小さい坪刈りの方が、全刈りよりも作業時間が長くなった(図1)。これは、移動空間を確保するために本来刈り残す部分も一部刈り払う必要が生じたこと、また、刈り残し部分の雑草木が植栽木に覆い被さらないように、刈払機を振り上げて雑草木の枝条を刈り払う必要が生じたことなどが要因と考えられる(図2)。

 

 

今後の施業への示唆・留意点

 

・坪刈りによる下刈り作業の省力化は1,000本植栽では認められたが、2,000本植栽では作業時間が掛り増しになる場合もあった。したがって、低密度植栽と坪刈りの組み合わせは必ずしも下刈りの省力化にはならず、施工地毎に雑草木の状況を勘案して下刈り方法を決定する必要がある。

・本調査地ではクマイチゴなど有刺植物やツル性植物が多く繁茂していた。坪刈りで刈り残す部分にもこれらが生育しているため、坪刈りを繰り返すとこれらの植物が成長し、今後の下刈りや森林管理に悪影響を及ぼすことが懸念される。

 

 

発表成果

 

山中啓介(2011)平成22年度低コスト育林高度化事業報告書、林業機械化協会、38-50

 

 

図表

 

(図)

1単位面積当たりの下刈り作業時間

 

 

 

(写真)

22,000本植栽地における坪刈り後の状態

 

 


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