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事例2.コンテナ苗は植え方が大事
島根県中山間地域研究センター岩田若菜
島根県東部農林振興センター出雲事務所山中啓介
林野庁林政部経営課川部真也
キーワード
スギ、コンテナ苗、獣害、丁寧植え
調査地
島根県大田市川合町民有林
標高:300〜350m年平均気温:12.6℃年平均降水量:2,088mm
地質:安山岩土壌型:褐色森林土積雪:多い
施業履歴
2010年以前
アカマツと広葉樹の混交林
2010年3月
2年生実生の宮城県産コンテナ苗(コンテナJFA150cc、苗高約41cm)、宮城県産普通苗(苗高約37cm)、島根県産普通苗(苗高約38cm)を1,000本/haで植栽した。普通苗は丁寧植えとした
2011年以降
下刈りを毎年実施した(坪刈り)。成長休止期に成長調査を行った
調査結果の概要
・植栽から1か月後では、コンテナ苗は20%の個体が倒伏していたのに対し、普通苗で倒伏した個体はなかった(表1)。また、コンテナ苗では幹が傾いていた個体が30%であったのに対し、普通苗は約3%であった。これはコンテナ苗の樹高と地際直径の比率(樹高/地際直径)が74であり、普通苗宮城が47、普通苗島根が66と比較して値が高かったためだと考えられる。
・根が露出した個体はコンテナ苗が30%であったのに対し、普通苗ではほぼみられなかった。今回の植栽では通常のクワを使用しており、コンテナ苗の根系直径より植栽穴が大きくなったことと、踏み固めが不十分だったことが原因と推察される。
・1成長期後の活着状況について、コンテナ苗は獣害(イノシシによる掘り起し)が原因で枯死した個体が20%あった(表2)。一方、普通苗では自然枯死と獣害を合わせてもコンテナ苗と同程度か、より低い枯死率であった。今回の調査では普通苗の枯死率が低かったため、コンテナ苗の活着の優位性は認められなかった。
・コンテナ苗は両普通苗と比較して、3成長期後の樹高平均値が低かったが有意な差はなかった(図1)。また、両普通苗に樹高成長の差はほとんど認められなかった。
・植栽から3成長期までの地際直径の成長量は、いずれの苗木もほぼ同程度であった。
今後の施業への示唆・留意点
・今回の調査では適期に植栽を行ったため、成長、自然枯死率ともにコンテナ苗の優位性は認められなかった。今後は時期別植栽を行い、活着率を調査する必要がある。
・今回使用したコンテナ苗は、地際直径と比較して樹高が高い徒長苗であった。そのため倒伏が多く発生したので、苗木の規格について検討する必要がある。
・コンテナ苗ではイノシシによる掘り起し被害が多かった。コンテナ苗に使用されている培土(ココピート)に誘引された可能性があるが、今回の調査では原因を特定することはできなかった。今後はコンテナ苗植栽時にイノシシ対策を検討する必要がある。
・コンテナ苗は根鉢の露出が多かったことから、正しく植栽する必要がある。
・今回は、苗木経費や労務費といったコスト面の調査を行わなかった。今後コンテナ苗を使った植栽を行う場合には、コストの評価を行う必要がある。
引用文献
山中啓介・川部真也(2012)応用森林学会発表要旨63:54
図表
表1植栽から1ヶ月後の状況
表21成長期後の活着状況
図1植栽から3成長期までの成長の推移
お問い合わせ先
中山間地域研究センター
島根県中山間地域研究センター 〒690-3405 島根県飯石郡飯南町上来島1207 TEL:0854-76-2025 FAX:0854-76-3758 Mail:chusankan@pref.shimane.lg.jp