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事例15低密度植栽と坪刈りによる省力化

 

島根県東部農林振興センター出雲事務山中啓介

島根県中山間地域研究センタ岩田若奈

 

キーワード

 

ヒノキ、低密度植栽、坪刈り、下刈り、誤伐、刈り残し

 

 

調査地

 

島根県安来市広瀬町布民有林

標高:300〜350m年平均気温:12.1年平均降水量:1,742mm

積雪:多地質:花崗土壌型:褐色森林土

 

 

施業履歴

 

 2007年以前

コナラなどが侵入している壮齢アカマツ人工林

 

 2008年12月

山火事の跡地を地拵え後、ヒノキ2年生実生苗を1,000本/ha(低密度)、3,000本/ha(普通)で植栽した

 

 2009年8月

植栽を行った作業班が初回下刈りを実施した。普通植栽は全刈りのみとし、低密度植栽では全刈りと坪刈り(半径0.5m)を行った。普通植栽-全刈りと低密度植栽-坪刈りは調査プロットを2つずつ設けた

 

 2010年8月

植栽、初回下刈りと異なる事業体が2009年と同様の方法で下刈りを実施した

 

 

 

調査結果の概要

 

・単位面積当たりの下刈り作業時間を図1に示した。全刈りは2009、2010年とも低密度植栽よりも普通植栽の時間が短かった。これは、低密度植栽では植栽木の間隔が長いため、植栽木の確認に時間を要したことが原因であると考えられる。

・低密度植栽の坪刈りは、事業体に関わらず全刈りの30%程度の作業時間となり、植栽初期における下刈り作業は効率化されたといえる。

・誤伐と刈り残しの状況を図2に示した。誤伐は低密度植栽地の全刈りで多かった。これは、植栽木が確認し難いことが大きな原因であると考えられる。

・刈り残しは低密度植栽地の坪刈りで多かった。刈り残しは植栽木が確認し難い棚のかげや造林地の境界付近で多く発生する傾向があった。

・坪刈りは植栽木を確認してから刈り払うので、低密度植栽地の坪刈りでは誤伐が少ない傾向にあった。低密度植栽地では全刈りよりも坪刈りの方が効率的でかつ誤伐が少なく、作業方法として適切であると考えられる。

 

 

今後の施業への示唆・留意点

 

・植栽初期における下刈りでは坪刈りの作業省力効果が認められたが、刈り残した部分の植生が今後の下刈り作業に影響を与える可能性があるので、経過を観察する必要がある。

・低密度植栽では全刈りでは誤伐、坪刈りでは刈り残しの可能性が高くなる。これらを防止するために、植栽木を等高線に沿って植栽する、植栽木が確認し難い部分では植栽木に標識テープを付けるといった工夫が必要となる。

 

 

発表成果

 

山中啓介(2011)平成22年度低コスト育林高度化事業報告書、林業機械化協会、38-50

 

 

図表

 

(図)

1単位面積当たりの下刈り作業時間(一人当たり)

 

 

 

(図)

2誤伐と刈り残しの状況

 

 

 


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