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文芸作品入賞作品紹介

今年も皆様からたくさんのご応募をいただき、ありがとうございました。

応募点数と入賞作品を、次のとおり紹介します。

〇応募点数

計2,293点

 

(内訳)

一般の短歌365点、俳句446点、川柳442点、詩15点、散文18点
ジュニアの短歌359点、俳句296点、川柳134点、詩211点、散文7点

〇知事作品と選評

●一般の知事賞

 

【短歌】

老舗なる時計屋にありしぼっち馬閉店のあと行方を知らず新谷国子

 

 「ぼっち馬 」というのは飾り時計でしょうか。古い時計店の看板代わりに親しまれていたのか、それとも〈私〉が心の中でいつも気に掛けていた時計の一つなのかもしれません。その時計店が閉店したあと、〈私〉はその行方に思いを馳せます。読者にも、ぼっち馬がひとりでとぼとぼと(あるいは飄々と)どこかに歩いて去っていったように思われ、〈私〉とおなじような寂しさを感じさせます。ぼっち馬の方がわれわれを置き去りにして去っていったかのような。背景にあるだろう過疎の町の状況も含めて、こういうふうに読者を一首の物語のなかに巻き込む歌の力を改めて感じます。

 

【俳句】

産声は村の元気よ鯉幟廣澤幣子

 

 過疎高齢化、少子化、農業の担い手不足など日本を取り巻く現状は大変厳しいものがあり山陰地方はこのような波を諸に受けている。そうした中にあって、一人ひとりは日々持ち場持ち場で懸命に生きている。掲句、産声は村の元気よと村の宝・子供の誕生を祝う心持が季語の鯉幟とよく響き合いすっきり詠まれている。故郷の応援歌である。

 

【川柳】

甲子園終わればそこに小さい秋小林延子

 

 夏の甲子園で、大社高校が、九十三年ぶりに八強入りの快挙。県民も熱狂的で、爽やかさを提供して話題になった。加熱気味だった「サウスポー」の応援曲と、飛び跳ねる姿も勇気と感動を与えたが、ふと気付いたら秋風が、過熱気味のあの夏は終わったのです。

 

【詩】

『嘘をついたら駄目だがね』(内田厚子)

 

 父に結婚を反対されたときの思い出がリアルに描かれていて、その成り行きに引き込まれます。題になったこのフレーズには亡夫君の誠実さと愛情が溢れていて、姿勢を正される思いです。後半がやや緩みますが、素直な心情が充分伝わる作品です。

 

【散文】

 「ロングインタビュー」(塩田直也)

 

 書店の閉店。紙本の読書愛好家にとってはショッキングな出来事だが、現実に起きている。不登校の過去を背負いながら人気漫画家として活躍する主人公が、地元の書店を救うストーリー構成が素晴らしい。また、それを記者とのインタビューで紡ぐ表現手法に作者の工夫がみられる。昨年度受賞された作品の連作、或いはスピンオフ作品としても楽しく読める。書き続けてほしい。

〇ジュニア大作品と選評

●ジュニアの大賞

 

【短歌】

「うるさい」と言った私が大きな穴母の器は私の倍だ(川上羽起)

 

 〈 墓穴(ぼけつ) を掘る〉という言い回しを連想しました。自分が母親に「うるさい」といったけれど、かえって母親の器の大きさを思い知った、というところでしょうか。あらためて、まだまだかなわないなぁという尊敬の気持ちが、とてもよく伝わって来ます。

 

【俳句】

秋晴れやお米たちたる炊飯器(齋藤彩芽)

 

 晴れ渡る秋の一日、今新米がほくほくと湯気を立て炊き上がる。収穫の喜び、爽やかな秋天を愛でる景をよく詠まれている。きっと温かなご家庭であろう。幸せが零れ落ちそうな一句である。

 

【川柳】

スイミングしんきゅうテストがんばるぞ 臼井小弥

 

 川柳は自分の思いを、自分の言葉で、素直に読むことが大切。しんきゅうテストに、まっすぐ向かう姿勢が表れていて、とっても良い作品に仕上がりました。

 

【詩】

まだまだ』(石原蒼将

 

 題が素敵ですね。作品の中でも二回使われていますが、「まだ」を重ねて独立した一行にしたところが大正解です。金魚とトンボを愛情を持ってよく観察しているようすが窺えます。

 

 【散文】

『僕と教頭先生』(驛場大輔)

 

 作者が通う小学校の教頭先生との、心の交流が描かれている。ハートウォーミングな作品だ。日々の何気ないやりとりの中に、真の師弟関係が潜んでいることに気づかされる。文章の丁寧な記述ぶりにも、好感が持てる作品である。

 

〇入賞者一覧(一般の部)

第22回文芸作品募集入賞者(一般の部)

文芸作品入賞者
種目 作者名 住所
短歌 知事賞 新谷国子 松江市
金賞 下崎文枝 出雲市
銀賞 石橋美和 邑南町
井田玲子 江津市
銅賞 熱田一俊 雲南市
西村鴻一 出雲市
俳句 知事賞 廣澤幣子 松江市
金賞 難波英子 雲南市
銀賞 中山静枝 益田市
木幡花人 出雲市
銅賞 岸良子 出雲市
福間浩 出雲市
酒井由紀 美郷町
川柳 知事賞 小林延子 雲南市
金賞 上岡唐茄子 出雲市
銀賞 伊藤寿美 出雲市
大福利彦 出雲市
銅賞 木村孝夫 浜田市
芝原恵子 松江市
渋谷妙子 益田市
知事賞 内田厚子 松江市
金賞 彩子 出雲市
銀賞 恩田寿美子 松江市
多田納力 雲南市
銅賞 徒花 松江市
横木早苗 雲南市
田中蒼空 浜田市
散文 知事賞 塩田直也 出雲市
金賞 澁谷幹雄 浜田市
銀賞 優遊千鳥 松江市
永堂出雲 出雲市
銅賞 木村悦子 出雲市
中村香都奈 出雲市
高尾彬 出雲市


 

〇入賞者一覧(ジュニアの部)

第22回文芸作品募集入賞者(ジュニアの部)
種目 作者名 学校・学年
短歌 大賞 川上羽起 江津市立青陵中学校・中2
優秀賞 山藤颯真 大田市立大田西中学校・中2
優秀賞 澁谷一徹 益田市立高津中学校・中2
優秀賞 植田悠太 津和野町立津和野小学校・小5
俳句 大賞 齋藤彩芽 益田市立東陽中学校・中3
優秀賞 田中遥斗 江津市立青陵中学校・中3
優秀賞 秋田郁斗 雲南市立大東中学校・中3
優秀賞 氏家健人 松江市立第一中学校・中3
川柳 大賞 臼井小弥 江津市立桜江小学校・小5
優秀賞 三代結斗 出雲市立国富小学校・小3
優秀賞 佐藤凛音 松江市立古志原小学校・小4
優秀賞 小村竜樹 松江市立古志原小学校・小1
大賞 石原蒼将 松江市立八雲中学校・中1
優秀賞 橋目美咲 江津市立青陵中学校・中2
優秀賞 内田光 奥出雲町立仁多中学校・中1
優秀賞 阿妻元治 浜田市立金城中学校・中1
散文 大賞 驛場大輔 邑南町立市木小学校・小6
優秀賞 小松原昇生 浜田市立弥栄中学校・中2

〇【島根文芸第57号】販売中!

島根文芸表紙

 

 第22回島根県民文化祭文芸作品公募の各部門の入賞・入選・招待作品等を集めた作品集を、島根県文芸協会事務局(島根県庁東庁舎3階)で販売しています。冊数に限りがありますので、完売の際はご了承ください。

  • 価格:1冊1,000円(税込み)
  • 購入方法:
    • 【直接購入】島根県文芸協会事務局(島根県庁東庁舎3階)で購入できます。(代金引換)
    • 【郵送希望】こちら(注文用紙)をご覧ください。郵便またはメールにて注文できます。
  • お問い合わせ
  • 「島根県文芸協会」事務局(島根県文化国際課内)

TEL:(0852)22ー5586

 


お問い合わせ先

文化国際課

島根県環境生活部文化国際課
【住所】
〒690-8501島根県松江市殿町1番地
【電話】
○国際交流係/0852-22-6493
○多文化共生係/0852-22-6462
○多文化共生推進スタッフ/0852-22-6470
○文化振興室/0852-22-5878
○島根県パスポートセンター/0852-27-8686
【FAX】
○国際交流係・多文化共生係・文化振興室/0852-22-6412
○島根県パスポートセンター/0852-25-9506
【E-mail】
○国際交流係・多文化共生係 bunka-kokusai@pref.shimane.lg.jp
○多文化共生推進スタッフ tabunka-kyousei@pref.shimane.lg.jp
○文化振興室 bunkashinko@pref.shimane.lg.jp
○島根県パスポートセンター  passport@pref.shimane.lg.jp