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文芸作品入賞作品紹介

今年も皆様からたくさんのご応募をいただき、ありがとうございました。

応募点数と入賞作品を、次のとおり紹介します。

〇応募点数

1,953

 

(内訳)

一般の短歌280点、俳句393点、川柳434点、詩20点、散文14点
ジュニアの短歌274点、俳句298点、川柳114点、詩123点、散文3点

〇知事作品と選評

●一般の知事賞

 

【短歌】

はじめての蛍の光を見るような辞書では引けない言葉を探す(坂下杏子)

 

 見立てがとても良い。画家が心の目で見た色をパレットで作りだし描くように、自分の言葉で表現したいと模索する苦悩が伝わります。始めての蛍の光を見るような上句と、辞書では引けない言葉をさがすの下句が呼応し、意外な暗喩法が活きました。言葉の選択は短歌の肝といえます。

 

 

【俳句】

畦に立つ主に似たる案山子かな(中島かやの)

 

 昨今案山子の姿態や顔の表情も様変わりしている。「へのへのもへじ」の顔から似顔絵的なものまで出現し、それに伴い被り物や着衣にも工夫が見られ麦藁帽子から案山子の顔の表情やヘアースタイルまで工夫され見る者を楽しませている。
掲句は案山子の服装が少し前まで田圃の持ち主が着ていた物の払い下げを着ていたので、田圃で本人が働いていると見間違えた驚きがそのまま表現されている。

 

 

【川柳】

ミサイルを飛ばす空にも月は出る(妹尾福子)

 

 ロシアのウクライナ侵攻の激化をきっかけに、世界の分断が進んでいる。パレスチナ自治区ガザでも100万人以上が住居を追われたり、多数の犠牲者も出ている。この現状を神様はどの様に感じられるだろうか。下五の「月は出る」が切なる作者の平和祈願だろう。

 

 

【詩】

『土を想うということ』(三日月幸太郎)

 

 前半と後半とでは内容も語り口も異なっていて少し戸惑いましたが、前半でくり返し自問していることの「答え」のようなものを、自然の中でリラックスして〈土を
見つめる〉ことで心の中に落ち着かせようとしている様子が見て取れます。前半部分の自答の連続が少しくどいようにも感じられますので、精査が必要かも知れません。後半部分で、〈草花には朝露が、落ちついている〉などの詩的な表現も効果的で、感情を抑制した締めくくり方も好感できます。

 

 

【散文】

『黒板の絵』(塩田直也)

 

 勉強より絵が得意な男子生徒や、本好きな引きこもりの女生徒の、隠れた才能と個性を見抜き、能力を存分に発揮させ、不登校や落ちこぼれの危機を超える。徹夜で文化祭の黒板のチョーク絵を描く様子を、先生も共に見守るシーンなど、教育の在り方、生徒と先生の心の交流をテーマに、大きな感動を呼ぶ第一級の作品である。

 

〇ジュニア大作品と選評

●ジュニアの大賞

 

【短歌】

空の色がオレンジ色になった頃全校みんなでパプリカおどる(加藤大翔)

 

 何か学校の催し物があったのでしょう。全てを計画通りに終えた充実感と昂揚の中みんなでパプリカを踊っているのです。一日の終わりを表す上句は素晴らしいと思います。パプリカを踊るみんなの顔もオレンジ色に染まっていたことでしょう。

 

 

【俳句】

最後までエース投げ抜く炎天下(山崎慧武)

 

 中学校の野球大会の様子であろう。連日の炎天下の暑さの中での野球大会では投手と捕手だけが一球ごとに神経をとがらして試合を進めている。
他の七名は一球ごとに声を出して常に二人を励ましているのである。そしてたまに飛んでくる打球を追いかけて捕球しては試合を進めているのである。
あらためて七回を投げ切る投手の偉大さに感動を覚えるのである。優勝投手が将来にわたって長持ちする工夫を皆んなで考えてもいいかもしれないね。本当に投手は偉大である。

 

 

 【川柳】

けんか中ハートがバリンわれちゃった(吉村優空)

 

 けんかは本当にかなしくて、つらい事だろうと思いますね、ハートまでバリンとわれるぐらい、かなしくなります。(ハートがバリンと)になっていましたが、ここは中七が大事ですから『と』はとりました。バリンの音のひびきの表現には感心しました。

 

 

 【詩】

『私は』(三宅穂波)

 

 将来合にイメージを追いかけていますが、後半では〈お医者さん〉〈お花やさん〉〈本屋さへの夢を語っています。前半では〈ワカメ〉〈空とぶ鳥〉〈大きな木〉という具ん〉となって、具体的な職業が現れます。空想から現実(?)へと思い悩む作者ですが、最後の一行が素敵な結論ですね。

 

 

 【散文】

『バニラの私とチョコの君』三宅穂波

 

 冒頭から、若さいっぱいの文体に惹かれた。思春期の揺れ動く心情を、初々しく綴っている点は秀逸である。登場人物の「蓮と莉菜」の異性に対する気持ちの表現、会話文は、特に好感が持てた。文章の流れも素敵であり、これから更に筆力が増す予感のする秀作である。

〇入賞者一覧

・一般の部はこちら

・ジュニアの部はこちら


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○国際交流係・多文化共生係 bunka-kokusai@pref.shimane.lg.jp
○多文化共生推進スタッフ tabunka-kyousei@pref.shimane.lg.jp
○文化振興室 bunkashinko@pref.shimane.lg.jp
○島根県パスポートセンター  passport@pref.shimane.lg.jp