令和２年８月７日は、銚子ダムの２回目のサーチャージ越となりました。

１回目は１９年８月３１日でした。

　８月６日日本海を東北東に進んだ低気圧は、７日には北海道付近に達して、その低気圧からのびる前線が、日本海北部から隠岐付近を通って朝鮮半島に停滞しました。この前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、前線の活動が活発となったため、隠岐地方の島後では、明け方から激しい雨が断続し、昼前には非常に激しい雨が降り、５０年に一度の記録的な大雨となりました。その後も、９日にかけて日本海に前線が停滞したため、隠岐地方を中心に断続的に雨が降りました。この大雨のため、隠岐の島町西郷で日降水量２８１.０ミリ（速報値）、隠岐空港で日最大1時間降水量６３．０ミリ（速報値）を観測し、観測開始以来第1位を更新しました。６日２３時の降り始めから９日４時までの降水量は隠岐の島町西郷で３２７．５ミリを観測しました。

　この大雨の影響で、隠岐の島町で床上浸水５棟、床下浸水２０棟の住家被害の他、非住家で浸水被害が４棟発生しました。

雨雲レーダー（８月７日８時、９時、１０時、１１時）

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令和２年８月７日９時の天気図

８月７日・・４：２０・大雨警報発令ダム警戒体制開始

・・・・・・５：４０・洪水量（２０ｍ３／Ｓ）到達

・・・・・・９：１０・流入量６７ｍ３／Ｓ（計画最大流量９５ｍ３／Ｓの７０％）

・・・・・・９：５０・最大流入量１４３．６ｍ３／Ｓ（放流量６．９ｍ３／Ｓ調節量１３５．６ｍ３／Ｓ）

・・・・・１０：１０・非常用洪水吐越流予告通知、下流へ警報活動開始（１０時４５分まで）

・・・・・１２：１５・非常用洪水吐越流（洪水時最高水位６５．６０ｍ）

・・・・・１３：５０・最高貯水位６６．１７ｍ、最大放流量３５．０ｍ３（計画最大放流量９ｍ３／Ｓ）

・・・・・１４：４５・洪水量（２０ｍ３／Ｓ）を下回る

８月９日・・３：３８・大雨警報解除

・・・・・・３：４０・ダム警戒体制解除

計画２４時間雨量２３０ｍｍ超過確率年１／５０

累計雨量３６５ｍｍ（８月７日１時から８月８日３時）

最大日雨量３０５ｍｍ（８月７日１時から８月８日１時）

最大１時間雨量７１ｍｍ（８月７日９時から８月７日１０時）

銚子ダム貯水池の様子・・・・・・・・・・・・・・・・・銚子ダム越流の様子

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ダム下流銚子川の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・八尾川（銚子川合流前）

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　８月７日４時２０分に大雨警報が発令後すぐの５時４０分には洪水量（２０ｍ３／S）に到達しました。６時のダムの水位５８．９５ｍで雨が徐々に強くなり、９時は時間雨量４８ｍｍ降り、９時５０分には１４３．６ｍ３／ｓの最大流入量が入り込み、ダムの水位は６０．６５ｍと急激に上昇しました、

　さらに１０時には時間雨量７１ｍｍの強烈な雨となりましたので、サーチャージ水位に到達する可能性が高いと判断し、１０時１０分には非常用洪水吐越流（洪水時最高水位６５．６０ｍ）予告を役場や警察に通知と下流へ警報活動を行いました。１１時にはダムの水位は６４．４２ｍとなり、その後も水位は上昇を続け、１２時１５分から非常用洪水吐きからの越流がはじまりました。（現在の予測技術では１１頃にサーチャージ越えの１時間前である予告通知を出すことはできません）１３：５０には最大放流量が３５ｍ３／ｓ（計画９ｍ３／ｓ）となりましたが、幸いにサーチャージ越えの後は徐々に雨も弱まり、１４時頃には一端やみました。その頃には矢尾川の流量も減りはじめており下流河川の被害はありませんでした。

　梅雨前線の影響により、銚子ダム上流域では降り始め（8月7日2時）からの総雨量が8月7日16時までに305ｍｍに達しました。この出水により、銚子ダムでは洪水調節を行い、最大143.6m3／ｓの洪水に対し136.6m3／ｓの流量をダムに貯めることで、下流の八尾水位局では、ダムがなかった場合に比べ約87ｃｍの水位低下ができたものと考えられます。

　また、8月7日の12時15分より非常用洪水吐から越流しましたが、下流河川への被害はありませんでした。

　なお、事前放流については、予測降雨量が基準降雨量に達しなかったため、実施しませんでした。