県内大学生による起業家情報の発信事業
県内の起業に関心を持っている方等に向けて、県内起業家の魅力などを情報発信するため、島根大学法文学部の学生10人と島根県立大学総合政策学部久保田典男研究室の学生12人の計22人により、起業家や創業者を直接取材し記事作成を行う事業を実施しました。
なお、この事業では、大学生が起業家や創業者への取材経験により、起業への想い、島根で起業する理由など、起業家マインドを学ぶ機会にもつながっています。また、記事作成にあたっては、ローカルジャーナリストの田中輝美様と本宮理恵様(株式会社MYTURN)に学生への指導、監修に携わっていただいたことも特徴となっています。
起業家や創業者のお話を伺い、学生が何を感じたのか、是非ご覧ください。
取材先
mr.kanso浜田店
経営者
松永稜太朗様
「学生」×「事業者」の二刀流
浜田市に大学生が経営するフランチャイズの缶詰バー「mr.kanso浜田店」があります。2017年7月、島根県立大学総合政策学部4年生の松永稜太朗さんが大学3年生の時にオープンさせました。今回は、地域課題の解決を目的として事業を行う「社会的起業家」であり、人のつながりで地域振興を盛り上げる「つながりを力に変える」ということを大切にしながら活動している松永さんに大学生で起業したきっかけや信念、苦労したことをインタビューしました。
■なぜ、缶詰バーをはじめられたのですか。
「mr.kanso」は好きな缶詰とお酒を楽しめるバーであり、フランチャイズ契約により営業しています。まず、「mr.kanso」というお店を知って興味を持ちました。そして、缶詰は腐りにくく食材ロスを抑えられるメリットがあることや浜田市は缶詰産業がかつて盛んだったため、缶詰バーとして再興させられたら面白いと思い、このバーを始めることを決めました。そしてフランチャイズ会社の専務と話し合い、意気投合してスタートに至りました。
■大学生でありながら起業されたきっかけを教えてください。
小学5年生から中学3年生まで大阪から引っ越してきて浜田で過ごして愛着を持ち、第二の故郷となりました。そして、都会と田舎の差を痛感し、浜田のためにできることをしたいと地域に興味を持ち、大学に入学してからは地域活動サークルの部長を務めましたが、ボランティアでは物足りなくなって学生が能動的に動けないかと思うようになり起業に至りました。起業は、大変だけど大学生という「若い力」があったからこそチャレンジ精神も旺盛になり壁を乗り越えることができました。また、浜田市で大学在学中に起業した前例がなかったため、初陣を切ることで学生のお手本になって環境を整えてあげたいという思いもありました。
■起業されて大変だったこと、苦労したことはなんですか。
一番大変だったのは資金を融通してもらうことでした。市の補助金を受けるときにある機関に相談しに行ったら、最初は門前払いされまてしまいました。事業計画書を何回も練り直して何回も通ってやっと担当者の方に信頼を得て資金援助してもらいました。他には、マネジメントの知識がなかったため、アルバイトを雇ったがオープン当初は自分に余裕がなくアルバイトを上手く教えられなかったり怒ったりしてしまいました。アルバイト生との関係やお客様への対応などに苦労し辛かったが、良い経験になりました。
■今後の目標を教えてください。
もっと世界に羽ばたきたいという思いもありますが、現在の浜田の店舗への思いも誰よりもあるからこの場所を何としても残していきたいです。今後は様々な人にいろいろな形で利用し、利用される空間にしたいと思っています。将来の夢は起業家として旅館の経営者にも携わっていきたいです。せっかく学生時代に社会的起業をやっているのだから将来的にも地域と関わって地域の課題を解決していくようなビジネスを変わらず行っていきます。
■会社概要
・開業年…2017年
・店名…mr.kanso浜田店
・経営者…松永稜太朗
・所在地…島根県浜田市紺屋町64
・業務内容
好きな缶詰とお酒が楽しめるバーであり、ポピュラーな缶詰から見たことのない缶詰、お店オリジナルの缶詰まで取り揃えている。また、浜田店では缶詰のまま提供するのではなく盛りつけをして提供している。
■取材後記
(島根県立大学)塚本妃美乃
取材させていただいている間、松永さんの行動力やチャレンジ精神に圧倒され、自分と同じ大学生のお話だと思えませんでした。特に「ボランティアだけでは物足りなくなった」という言葉に驚きました。そして、相手の心を開くのが上手な方だなと話し方や雰囲気から感じました。取材中も気さくに話してくださってとても楽しかったです。お年寄りの方も多く来店するとおっしゃられていたのですが、このような人柄だからこそお年寄りの方も足を運びやすいのだろうと感じました。
浜田市では大学生が起業した前例がない分、より多くの障壁があっただろうと思います。けれど、それを乗り越えて実際に起業された松永さんの諦めない熱意と浜田市への愛情が伝わってきて非常に凄い方だと感銘を受けました。
また、「つながりを力に変える」という言葉も心に響きました。ただつながるだけでなくそれをどう活かすかが大切。その通りだなと思いました。人のつながりを活用して自分たちがアクションを起こしていくことが地域活性化に必要なことなんだと気付きました。
お問い合わせ先
中小企業課
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