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県内大学生による起業家情報の発信事業

 県内の起業に関心を持っている方等に向けて、県内起業家の魅力などを情報発信するため、島根大学法文学部の学生10人と島根県立大学総合政策学部久保田典男研究室の学生12人の計22人により、起業家や創業者を直接取材し記事作成を行う事業を実施しました。

 なお、この事業では、大学生が起業家や創業者への取材経験により、起業への想い、島根で起業する理由など、起業家マインドを学ぶ機会にもつながっています。また、記事作成にあたっては、ローカルジャーナリストの田中輝美様と本宮理恵様(株式会社MYTURN)に学生への指導、監修に携わっていただいたことも特徴となっています。

 起業家や創業者のお話を伺い、学生が何を感じたのか、是非ご覧ください。

 

取材先

 株式会社石見麦酒

 工場長

 山口巌雄様

 

先を見据えてアンテナを張る

石見麦酒工場長

 

 石見地方で生産された大麦、柚子などの農産物を生かし、滋味豊か、バリエーションに富んだクラフトビール製造に取り組む石見麦酒。広島からIターンした夫婦が2014年の江津ビジネスコンテスト大賞受賞を機に9坪のブルワリー(醸造所)を開業しました。ビールの醸造、販売のみならず、醸造方法の販売、酒造免許の研修、独自の醸造方法「石見方式」が全国から見学者が出るほど注目されており、工場長の山口厳雄さんにお話を聞きました。
 

■どのような事業を行っておられますか?

 事業内容は主に2つあり、1つ目はビールの醸造、販売を行っています。和醸良酒(わじょうりょうしゅ)というお酒造りをする人が大切にしている言葉の意味である「人の輪、良酒は良い関係を産む」というようにお酒を通して江津が活性化することを期待しています。2つ目は150万円からできるビール造りを売りにした醸造方法のノウハウの提供も行っています。醸造方法の研修は基本無料で行い、常にオープンで情報提供を行っています。

 

■起業されたきっかけを教えてください

 将来の夢が酒蔵をつくることで、大学は菌類を専門に学び、大学院に進学しました。就職は日本酒メーカーを受けましたが、不採用となり、家業のたんす屋を手伝います。その仕事で訪れた江津のカフェ「風のえんがわ」のオーナーの誘いでビジネスコンテストに応募。大賞を受賞し、起業に結び付けることができました。大都市では役所、ビール評論家の批判が心配されましたが、当時、酒造りを行っていなかった江津ではおもしろく、人々に喜びを与えられると好評でした。

 

■起業されて大変だったことを教えてください

 開業するまでが大変でした。酒造免許取得までに約4ヵ月から長い人で1年かかります。免許取得の条件は経営力、資金力、技術力の3つの柱で成り立っています。免許は取得しましたが、技術力を証明することが困難で松江の酒造りの師匠のお墨付きをもらい課題を乗り越えました。また、事業計画はスムーズに組み立てられましたが、実行まで一歩踏み出すことが大変でした。この経験を活かし、新たに起業する人の支援をどんどん行っています。

 

■今後のビジョンを教えてください

 果実酒の免許を取得し、販売したいです。リンゴを使用した「シードル」が主にあります。オーストラリア、ニュージーランドで多くの人に飲まれており、東京オリンピックの開催による訪日客の増加で需要があると考えられます。先の情報にアンテナを張りビジネスを行うことは大切です。また、どぶろく、はちみつを原料とするミードの生産も行いたいです。将来は施設を拡大し、1部屋ごとに違う種類のお酒を醸造する複合施設を作り、多くの人に訪問してほしいです。

 

■会社概要

・創業年・・・2015年

・会社名・・・株式会社石見麦酒

・代表・・・山口梓

・工場長・・・山口巌雄

・所在地・・・島根県江津市黒松町1069-114

・業務内容

 江の川の恵みを受けた大麦、日本海の潮風に耐えた柚子などの地域の農産物を最大限に活かし滋味豊か、バリエーションに富んだ様々な種類のクラフトビールを製造する。醸造、販売以外にも移動販売による飲食店、イベント企画、運営も行う。

・HP・・・http://www.iwami-bakushu.com/(外部サイト)

 

■取材後記

(島根県立大学)日野裕貴

 起業するということは、失敗すれば大きな損失を被るので一歩踏み出すことは勇気のいることだと取材前から想像していました。しかし、人がやらないような面倒なことでも成功すれば、立派なビジネスになるという山口さんの言葉を聞き、私生活において面倒くさいなと渋るようなことでも一歩前に踏み出すことにより自分のため、そして周りの人を喜ばせることができるきっかけを生み出すことができるのではないかと感じました。

 「風のえんがわ」のオーナーに出会い、ビジネスコンテストに応募して大賞を受賞したことがきっかけで起業に結び付いたという話を聞き、人の縁は大切だなと思いました。私は走ることが趣味で練習中、居住している江津市の駅伝チームのコーチに声を掛けていただき、毎年12月に行われる浜田益田間駅伝(しおかぜ駅伝)の市の代表として走らせていただくことができました。私は県外出身で縁もゆかりもない土地で貴重な経験ができ嬉しかったです。地域において人のつながりが大切だとよく聞きますが、まさにその通りだと今回の取材を通して思いました。

 


お問い合わせ先

中小企業課

〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
・商業・サービス業支援係(起業・創業、大規模小売店舗立地法、地域商業等支援事業などに関すること)TEL:0852-22-5655
・金融係(県内中小企業に対する融資、貸金業法及び割賦販売法、信用保証協会などに関すること)TEL:0852-22-5883
・管理係(高度化資金などに関すること)TEL:0852-22-6203
・商工団体係(中小企業等協同組合法、事業継続力強化アドバイザー派遣事業などに関すること)TEL:0852-22-6554
・経営力強化支援室(事業承継総合支援事業、経営革新計画、中小企業・小規模企業振興基本計画などに関すること)TEL:0852-22-5288
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