県内大学生による起業家情報の発信事業
県内の起業に関心を持っている方等に向けて、県内起業家の魅力などを情報発信するため、島根大学法文学部の学生と島根県立大学総合政策学部久保田典男研究室の学生により、起業家や創業者を直接取材し記事作成を行う事業を実施しました。
なお、この事業では、大学生が起業家や創業者への取材経験により、起業への想い、島根で起業する理由など、起業家マインドを学ぶ機会にもつながっています。また、記事作成にあたっては、ローカルジャーナリストの田中輝美様と本宮理恵様(株式会社MYTURN)に学生への指導、監修に携わっていただいたことも特徴となっています。
起業家や創業者のお話を伺い、学生が何を感じたのか、是非ご覧ください。
取材先
株式会社島ファクトリー
代表取締役
青山敦士様
隠岐の観光業へ注ぐ熱い思い
日本海に位置する島根県隠岐郡海士町(あまちょう)。広がるきれいな海。島独自の時間の中での営み。約800年前には承久の乱に敗れた後鳥羽上皇が配流されたという歴史もあり、島外の人々を積極的に受け入れる気質がある。
2007年、この島に移住した青山敦士さん。出身地は北海道。「何が北海道出身の青山さんと海士町を結びつけたのだろうか?」私はこのような疑問を持ち、インタビューに臨んだ。
■事業内容を教えてください。
本土と行き来することに時間がかかる島の観光において、宿の存在はとても大切です。なので、その宿をプランニングして繁盛させることを大目的に、旅行業とリネンサプライ事業を行っています。リネンサプライ事業については、元々私たちが島内の宿と関わる中で必要性を議論した中で始めることになりました。観光協会の子会社として、島を繁盛させることを使命としている会社です。
■何が青山さんの出身地・北海道と隠岐・海士町を結びつけたのですか?
僕が東京の大学にいた時に、すごく信頼していた先輩の岩本悠さん(現島根県教育魅力化特命官)が海士町のことを知って、「めちゃくちゃ面白い島があるから一緒に行ってみようぜ!」と誘ってきたのが最初にここに来るきっかけでした。ただ、岩本さんも僕もこんなにいい場所だとは思っていなかったです。この島の面白さ・風土に自分はすごくマッチしたというか、大好きな島になりました。
■起業されて苦労したこと、大変だったことを教えてください。
昔に限らず、今でも大変ですね。すごく単純に言うと、お金をつくりだすこと、価値をお金に変えるということが難しいです。例えば島の洗濯屋にしても、すごく価値のあることをしているという自負はありますね。旅行業にしてもそうです。ホテルを存続させることそのものに価値があると思っています。一方で、その大切なことが持続可能にするためにビジネスモデルの構築そのものが自分にとっては大変でしたし、今でも難しいです。
■今後の目標と展望を教えてください。
僕は隠岐の観光業に深く関わる立場にいます。なので島を繁盛させるという役割において、観光業が機能する状況を生み出したいと強く思っています。今よりもあらゆる多様な顧客層がこの島に世界中から訪れるようになっていくというビジョンをつくっているし、その時に多様な受け入れ先ができて、自負と誇りを持って生きる人たちが増え続けるといった状況をつくっていきたいです。
■会社概要
・創業年・・・2013年
・会社名・・・株式会社島ファクトリー
・代表取締役・・・青山敦士
・所在地・・・隠岐郡海士町福井1365番5号
・業務内容
島根県隠岐郡海士町で旅行業の運営を行っている会社。隠岐神社の夜祈願、島ガイドと歩く夜の隠岐神社といった貴重な体験メニューの販売・提供など。町で唯一となるリネンサプライ事業も行う。「島宿」を中心とする「海士の島旅」のブランディングも行っている。島にある魅力を最大限に引き出し、発信している。
■取材後記
(島根大学)小柴貴路
お話しを伺う中で感じたのは、「ここにしかない魅力を伝えていくぞ!」という、島に対する強い思い。遠く離れた北海道出身の青山氏と海士町を結びつけたものは、島の人々の優しさに青山氏が惹きつけられたこともあるだろうと感じました。島にしかない、ここにしかない魅力を最大限生かしたツアーを提供する島ファクトリーの事業にもその思いはよく表れていると感じました。観光客から見える表向きのところだけでなく、バックヤードも固めることによって、自負と誇りを持つ島の方が増え続けていくことにつなげようという青山氏の思いにも触れることができました。今回取材した株式会社島ファクトリーの他に株式会社海士の経営も担い、島の玄関口・菱浦港のすぐ近くにあるマリンポートホテル海士の代表取締役も務めている青山氏。島の旅行業・リネンサプライ事業の運営と共に、宿泊業の運営も行っている青山氏の島への深い思いを感じることができました。
お問い合わせ先
中小企業課
〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 ・商業・サービス業支援係(起業・創業、大規模小売店舗立地法、地域商業等支援事業などに関すること)TEL:0852-22-5655 ・金融係(県内中小企業に対する融資、貸金業法及び割賦販売法、信用保証協会などに関すること)TEL:0852-22-5883 ・管理係(高度化資金などに関すること)TEL:0852-22-6203 ・商工団体係(中小企業等協同組合法、事業継続力強化アドバイザー派遣事業などに関すること)TEL:0852-22-6554 ・経営力強化支援室(事業承継総合支援事業、経営革新計画、中小企業・小規模企業振興基本計画などに関すること)TEL:0852-22-5288 FAX:0852-22-5781 E-mail:keiei@pref.shimane.lg.jp