県内大学生による起業家情報の発信事業
県内の起業に関心を持っている方等に向けて、県内起業家の魅力などを情報発信するため、島根大学法文学部の学生と島根県立大学総合政策学部久保田典男研究室の学生により、起業家や創業者を直接取材し記事作成を行う事業を実施しました。
なお、この事業では、大学生が起業家や創業者への取材経験により、起業への想い、島根で起業する理由など、起業家マインドを学ぶ機会にもつながっています。また、記事作成にあたっては、ローカルジャーナリストの田中輝美様と本宮理恵様(株式会社MYTURN)に学生への指導、監修に携わっていただいたことも特徴となっています。
起業家や創業者のお話を伺い、学生が何を感じたのか、是非ご覧ください。
取材先
OHANA工房
代表
吉田麻菜美様
シャクナゲで隠岐の魅力を島外へ
隠岐固有種「オキシャクナゲ」から抽出したエキスは肌を整え、ハリを与えるという効果を持つ。隠岐の島を拠点に活動するOHANA工房は、廃棄されていたオキシャクナゲの花を利用してフェイシャルソープを開発した。島の魅力を商品化して発信するほか、SNSを利用しての隠岐のPRや、島の魅力を再確認する隠岐高校の授業にも携わっている。2019年1月に起業したばかりのフレッシュな企業に、起業に至るまでの経緯や苦労を聞いた。
■シャクナゲに焦点を当てたのはどうしてですか。
もともとは地域おこし協力隊がきっかけで東京から隠岐に来たんです。花をテーマに地域おこしっていうのがミッションで、そのときに観光名所でもある村上隠岐しゃくなげ園で、夫婦二人で管理されているのをお手伝いさせてもらいました。そこで後継ぎがいないという話を聞いて、何かお手伝いできればと思って。摘まれたシャクナゲが廃棄されるのを見て、これを使ってお金を生む仕組みが作れないかなと思ったんです。オキシャクナゲは隠岐の島町の町花でもあるので。
■起業するに至ったきっかけは何ですか?また、その後押しになったものはありますか?
協力隊で第一弾として作った石鹸の売れ行きが思ったより良かったんです。それで、起業して続けるかこの一回で終わりにするかの選択になって、起業するかどうかっていうのは最後の最後まで悩みましたね。後押しになったのは地元の人ですかね、やっぱり。地元のことを誇りに思っていて、新しい商品を作ったことですごく喜んでくれたり、隠岐に越してきたときに助けてくれたりした地元の人たちにちょっとでも恩返しがしたいと思って。もうここは腹を括ってやろうと。
■実際に起業されてみてどんな苦労がありましたか。
この仕事だけでは生活していけないので今は地域の小さなスーパーで働いたりしています。そこで働きながら自分の商品のこともしないといけないので、二つの仕事をしながらの生活が大変です。最初は休みの日を全部自分のことに費やしてたんですけど2か月くらいでいっぱいいっぱいになってしまって。でも地元の人に相談したら、袋詰めを手伝ってくれたり、アドバイスをくれたり、「休むことも大事だから」という風に言ってくれて、ちょっと肩の荷が下りましたね。
■今後のビジョンはどのように考えていますか。
この仕事だけで生活できるようになりたいというのが一番ですけど、やっぱりもっと商品を増やしていきたいですね。ハンドクリームとか、フェイスマスクとかを企画中です。それからちょうど今、サザエの殻をもとに商品化できないか考えています。昔は焼いて粉にしていたという話を地元の方に聞いたので、それが安定してできるようになれば商品化も可能かなと思っています。シャクナゲ以外のものでも隠岐の魅力を商品化していきたいですね。
■会社概要
・創業年・・・2019年
・会社名・・・OHANA工房
・代表取締役・・・吉田麻菜美・
・業務内容
隠岐の固有種であるオキシャクナゲを使ったスキンケア商品の企画・開発、販売を行う。店舗は持っておらず、主に土産物店に置いて販売しており、ネット販売も行う。また、SNSや商品を通して隠岐の魅力をPRすることも行っている。地元の高校と連携した活動も行っており、隠岐の魅力を島外へ発信するだけでなく、島内で再確認する手助けも行っている。
■取材後記
(島根大学)森山優花
取材をさせていただく中で印象的だったのは、吉田さんの笑顔でした。とても明るく、素敵な笑顔で取材を受けてくださり、この笑顔が移住した土地で人間関係を作るのに一役買っているのだろうと感じました。吉田さんが地域おこし協力隊に参加されたそもそものきっかけは、お祖母さんの出身が隠岐の島であったことでした。また、商品開発のきっかけや、起業に踏み切った理由には「お世話になった地域の人たちへ恩返しをしたい」という気持ちがベースにあり、起業の後押しになったのも地域の方々でした。いろいろな偶然と出会いが重なりOHANA工房という企業を作っているように感じました。
起業するのはかなりエネルギーのいる決断のように思っていましたが、取材の中で「お世話になった人たちに恩返しがしたい」という吉田さんのやりたいことが、「誰かのため」に重なっていることが分かり、もしかしたらそれがエネルギーにつながっているのかもしれないと思いました。
お問い合わせ先
中小企業課
〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 ・商業・サービス業支援係(起業・創業、大規模小売店舗立地法、地域商業等支援事業などに関すること)TEL:0852-22-5655 ・金融係(県内中小企業に対する融資、貸金業法及び割賦販売法、信用保証協会などに関すること)TEL:0852-22-5883 ・管理係(高度化資金などに関すること)TEL:0852-22-6203 ・商工団体係(中小企業等協同組合法、事業継続力強化アドバイザー派遣事業などに関すること)TEL:0852-22-6554 ・経営力強化支援室(事業承継総合支援事業、経営革新計画、中小企業・小規模企業振興基本計画などに関すること)TEL:0852-22-5288 FAX:0852-22-5781 E-mail:keiei@pref.shimane.lg.jp