県内大学生による起業家情報の発信事業
県内の起業に関心を持っている方等に向けて、県内起業家の魅力などを情報発信するため、島根大学法文学部の学生と島根県立大学総合政策学部久保田典男研究室の学生により、起業家や創業者を直接取材し記事作成を行う事業を実施しました。
なお、この事業では、大学生が起業家や創業者への取材経験により、起業への想い、島根で起業する理由など、起業家マインドを学ぶ機会にもつながっています。また、記事作成にあたっては、ローカルジャーナリストの田中輝美様と本宮理恵様(株式会社MYTURN)に学生への指導、監修に携わっていただいたことも特徴となっています。
起業家や創業者のお話を伺い、学生が何を感じたのか、是非ご覧ください。
取材先
株式会社なつかしの森
代表取締役社長
本田裕基様
飯南町から、人と笑顔を繋ぐ芋づるが広がる
飯南町の山の中、ほっこり落ち着く森のカフェ。そんなラムネミルク堂には子どもから大人まで、色んなお客さんが来る。店頭には産地や美味しさにこだわった、何種類ものアイスと焼きドーナツ、季節限定商品が並ぶ。看板娘はヤギのこはるさん。本田さんは、このカフェを運営する株式会社なつかしの森を2016年に設立した。同社では「森の絹」と総称される、飯南の高糖度サツマイモの生産・販売も行っている。地元と農業の活性化に取り組む背景を本田裕基さんに伺った。
■事業内容についてお話しいただけますか?
1つがカフェ部門。アイス、コーヒーやドーナツとかの販売ですね。アイスやドーナツは卸販売もしてます。あとはアイスのOEMみたいな、他社ブランド製品の製造の部分をしてます。現地から材料を送ってもらって、うちで加工し、製品を送り返して現地で販売してもらうという流れです。もう1つ、サツマイモの生産・販売もしてます。自分と協力の農家さんで作って、それをうちで買い取り、出荷までの作業をするっていう仕事です。観光案内をする業務もあります。
■起業された経緯を教えてください
このカフェは以前、社会福祉関係の株式会社がアイスクリーム屋さんとして運営されてました。そこが社会福祉法人になる時にここを離すので、誰かやらないかとお声があって。そんな経緯で私が起業しました。その後、従業員にも新しい会社に移ってもらい、施設も買い取って始めました。「森のカフェ」というコンセプトもこの時決めて、お店の装いも変えました。自分はカフェで働いた経験があるわけでもないので、今も従業員に色んなこと教えてもらいながらやってます。
■カフェで様々なイベントを開催されていますが、どのようなものなのでしょうか。
元は夜カフェっていう企画だったんです。ここ田舎で夜集まる場所とか、普段催しもなかなか無くて。地元で歌ったり演奏している方々からすると発表する場が無いと。そこでお店の前にある公共空間で発表してもらったり、クラフト教室やってもらったりしてます。そんな方々とは知人の紹介で繋がりができることが多いかな。知り合いになるとOEMの相談もあったり、他の商談会で声かけてもらったりして。こういう繋がり作りのためにも積極的に外に出て行きますね。
■将来どんなお店・会社にしていきたいですか
2店舗目、3店舗目ができたらいいなと思ってます。オリジナルアイスやOEMも増やしたいですね。外に出て人とのつながりを広げることが販路の拡大にも繋がるのかなと思います。芋づる式に。あと誰からも「芋と言えば飯南町」「アイスといえばラムネミルク堂」と言われるお店にできたら良いと思います。会社は障害者を正規に雇用し、一緒に働く事務所にできたらなと。他県の人も農業体験とかをきっかけに、飯南町に来て芋作ってもらって、高齢化解決の1つになれば。
■会社概要
・創業年・・・2016年
・会社名・・・株式会社島なつかしの森
・代表取締役・・・本田裕基
・所在地・・・飯石郡飯南町花栗48
・業務内容
「あの商品、昔からあるよね、なつかしいよね」と50年、100年後も思ってもらえるような良いものを作るというメインテーマを掲げ、カフェ運営、地元・県内の良いものにこだわった商品の生産や販売を行う。農業体験、観光案内、人が集う場の提供、イベントの開催、「森の絹」の生産・販売など。自社だけでなく、県内外のオリジナルアイスの開発も行う。
■取材後記
(島根大学)大庭菜瑛子
サツマイモは私が幼い頃からよくお世話になった食べ物の1つです。現在でもサツマイモは好きでよく食べており、アイスクリームも当然好きなので取材にとても興味を持ちました。ラムネミルク堂に入った時、「お店に来た」というよりも「遊びに来た」という感覚になりました。お話を聞く前にあの場所でよくイベントが行われる理由が分かった気がします。
またお話を聞いた後、本田さんも昨年取材させていただいた大石さんも共通して「居心地の良い空間づくり」を行っていると気づきました。地域に還元していくこと、行っていることがどれだけ地域に根差しているかが、島根で起業し発展するポイントになっているのではないでしょうか。そうして見ると、個人が孤立している都会ではなく、人同士の結びつきが多い田舎は起業に向いているとも言えます。人とのつながりは本当に芋づる式と本田さんは仰っていました。私もつるを刈り取らずに他国出身の友人をつくる、積極的に海外に行くなど、国外にも伸ばしていきたいです。
お問い合わせ先
中小企業課
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