県内大学生による起業家情報の発信事業
県内の起業に関心を持っている方等に向けて、県内起業家の魅力などを情報発信するため、島根大学法文学部と島根県立大学総合政策学部久保田典男研究室の学生により、起業家や創業者を直接取材し記事作成を行う事業を実施しました。
なお、この事業では、大学生が起業家や創業者への取材経験により、起業への想い、島根で起業する理由など、起業家マインドを学ぶ機会にもつながっています。また、記事作成にあたっては、ローカルジャーナリストの田中輝美様と本宮理恵様(株式会社MYTURN)に学生への指導、監修に携わっていただいたことも特徴となっています。
起業家や創業者のお話を伺い、学生が何を感じたのか、是非ご覧ください。
取材先
有限会社真砂
代表取締役
岩井賢朗様
豆腐パワーで真砂の地域を元気に
島根県益田市の中山間地域、人口が少ない、いわゆる過疎地にあるお豆腐屋さん有限会社真砂。そこの社長である岩井賢朗氏は「会社の衰退を防ぐことはできないのがリアル」と話す。衰退を防げないことが分かっていながらも毎朝早朝から豆腐作りに打ち込んだり、中世の食を広めるプロジェクトを行ったり、時には豆腐のヒーロー「豆腐マン」に変身したり。絶えず色んなことに挑戦し続けるその姿の裏に潜む真意を探る。
■どのような事業を行っておられますか
地域の食材を使うことをコンセプトに、豆腐、豆腐を使った総菜・燻製、その他こんにゃくなどを販売しています。会社は、地域の出資者達の真砂を元気にしたい、活性化させたいという思いによって設立されました。始めは、地域の食材である梅干しや蕎麦なども販売していましたが、事業を進めていく中で豆腐が突出し、現在は豆腐の販売を中心としています。豆腐は地域に伝わる昔ながらの製法にこだわり、「真砂のおばあちゃんの手作りの豆腐」をイメージしています。
■この会社に入社された経緯について教えてください
有限会社真砂は2000年3月にでき、私は11月に入社しました。それ以前は、サラリーマンとして働いていましたが、会社の運営方法に従って働くことに違和感を覚え、33歳で退社という選択をしました。退社後、仕事を探していた際に起業直後にも関わらず危機的状況にあった有限会社真砂の存在を知り、自分が関わることで面白くなるのではと考えました。リスキーな選択だと分かっていた一方で、真砂の地には素材や歴史が全部あるため、過疎地の可能性を感じて決断に至りました。
■特に苦労されたことを教えてください
今も日々大変なことばかりです。一番は、大豆の不作によって休業を迫られた時です。しかし、県内のJAなどを始めとする、周りの助けによって事業を再開することができました。最初は、技術力不足から、130円で販売していた豆腐ですが、再開直後は、材料不足から価格を値上げせざるを得なかったため、豆腐の売れ行きを心配しました。しかし、それでもお客さんは買ってくれました。その時に、信頼してくれているお客さんの存在を強く感じました。
■今後に対する思いついて教えてください
人口減少や職人不足から、会社の衰退を防ぐことはできないのがリアルです。しかし、衰退と向き合う・寄り添う企業活動を模索していきたいです。会社が衰退しそうな状況でも、やり続けることに意味があります。それは地域が元気になるきっかけと成るからです。続けてみて、もしダメだったらその時はその時なのではないでしょうか。とにかく続けいていくことが大事なのです。絶え間ないチャレンジ、やり続けることに意味があります。
■会社概要
・創業年・・・2000年
・会社名 ・・・有限会社真砂
・住所・・・島根県益田市波田町イ753-1
・代表取締役・・・岩井賢朗
・事業内容
島根県益田市の山間部にある商社で食品の製造や販売を行っている。メイン商品の「真砂のとうふ」は島根県産大豆を使用し、風呂釜のような大鍋による人力の釜炊き製法にこだわったローテク豆腐となっている。食と農業をテーマに、持続可能なコミュニティを作ることを目的としている。
・会社HP・・・http://masagoplus.jp/(外部サイト)
■取材後記
(島根県立大学)坂口大和
話の中で何度も出てきた言葉があります。それは、「続ける」という言葉です。岩井氏は、取材中に「やり続けることに意味がある」、「続けていくことが大事」とよく口にされていました。これは、ありきたりな言葉に思えますが、「会社の衰退は防げない」と言い切っていながらも、「続ける」ことを大切にし、実際に行動に移している点が他の人には中々真似できないのではないでしょうか。岩井氏には、豆腐作りを中心とした有限会社真砂の事業を続けていくことで、地域の衰退と向き合い、地域が少しでも元気になるきっかけを作りたいというねらいがあるのだと思います。そして、これらの絶え間ない努力や挑戦は確実に現在と繋がっていて、「真砂の豆腐」という商品が全国から注目されるようなヒット商品になったことに結び付いているのでしょう。今回の取材を通して、岩井氏の豆腐作りにかける思いに私自身心を撃たれ、物事に対しての向き合い方について改めて考えることができました。特に私は、継続させるということを大切にしながら今後の大学生活を過ごしていきたいと思います。
お問い合わせ先
中小企業課
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