県内大学生による起業家情報の発信事業
県内の起業に関心を持っている方等に向けて、県内起業家の魅力などを情報発信するため、島根大学法文学部の学生と島根県立大学総合政策学部久保田典男研究室の学生により、起業家や創業者を直接取材し記事作成を行う事業を実施しました。
なお、この事業では、大学生が起業家や創業者への取材経験により、起業への想い、島根で起業する理由など、起業家マインドを学ぶ機会にもつながっています。また、記事作成にあたっては、ローカルジャーナリストの田中輝美様と本宮理恵様(株式会社MYTURN)に学生への指導、監修に携わっていただいたことも特徴となっています。
起業家や創業者のお話を伺い、学生が何を感じたのか、是非ご覧ください。
取材先
株式会社ヒューマンサポートジャパン
代表取締役社長
小菅扶温様
手厚いサポートで島根とベトナムを繋ぐ
主にベトナム人を対象に有料職業紹介事業を行う(株)ヒューマンサポートジャパン。2017年7月に神奈川県でスタートしました。現在は本社を東京都町田市に移し、江津市、松江市、ベトナムのハノイにも支店を置き、事業を展開しています。自身もベトナム人である小菅扶温社長は職業紹介を行うだけではなく、その後も一人一人にきめ細やかなサポートを行っています。今回は、同氏に外国人労働者に対する手厚い職業紹介事業を島根県で始めた経緯を聞きました。
■どんな事業を行っておられますか。
主な事業内容は「有料職業紹介事業」です。ベトナム人への職業紹介と人材のサポートを行っています。技術・人文知識・国際業務の資格をもつ方が対象でしたが、近年は特定ビザを持つ方への職業紹介も行っています。
また、機械オペレータや食品加工業などに多く人材を紹介しています。2017年の9月に有料職業紹介の資格を取得し、これまでに60数社の企業を紹介してきました。東京都町田市に本社を構え、江津市、松江市、ベトナムのハノイにも支店を置いています。
■島根県で起業された経緯について教えてください。
当初、農業をするつもりで参加した島根県の就農相談会で、江津市の森林関係の方と出会いました。その後、島根県を訪れた時に商工観光課の方から江津での起業を提案され、ベトナム人労働者の手助けをしようと思ったのがきっかけです。
また、私自身ベトナム出身で20年前日本の方と結婚し、沖縄県石垣島で一時期暮らしました。当時、周りの方々のおかげで日本語を少しずつ覚えて日本の社会に馴染めました。だから田舎が好きで貢献したい気持ちも大きかったです。
■江津のビジネスプランコンテストに参加された理由を教えてください。
外国人が突然人材紹介の仕事をするのは難しいので、事業内容を周りの方々に知ってもらうためです。具体的には、紹介する人材の生活をきちんとサポートすることや紹介する人材についてです。私たちは技術者を対象に人材紹介をしています。技術者は地域住民として暮らして税金や生活費などを払うので、技能実習生と比べて経済面で地域に貢献できます。また、外国人がどんな人間か知ってもらい、地域の方との距離を近づけるという目的もありました。
■将来はどんな風に考えておられますか。
私の夢は日本とベトナムの懸け橋になることです。ベトナムでは大学を卒業しても就職は厳しいですが、日本は人材不足です。だから、ベトナム人が技術を学んで日本の役に立ち、その技術を生かしてベトナムの若者を育てて欲しいです。
また、サポートへの信頼や感謝は大きなやりがいです。だから、日本全国に支店を置き、ベトナム人以外の外国人もサポートしていきたいです。また、農業をして自分たちの食材を使ったレストランをするのも一つの夢です。
■会社概要
・創業年・・・2017年
・会社名・・・株式会社ヒューマンサポートジャパン
・代表取締役社長・・・小菅扶温
・所在地
(本社)東京都町田市南大谷 1426 番地 189
(江津支社)江津市江津町954-36STアパートメント2号
(松江支社)松江市北陵町1番地テクノアークしまね本館3F
・業務内容
日本の企業とベトナム人技術者のマッチングを行っている。対象は技術・人文知識・国際業務のビザまたは特定ビザを持つベトナム人で、全職種の紹介に対応している。また、契約前には日本語教育、就労ビザの手続き、面接のサポート、生活面のサポートなどをし、契約後には企業・紹介技術者への面談などきめ細やかなサポートをしている。
・会社HP・・・http://hs-japan.co.jp/(外部サイト)
■取材後記
(島根県立大学)中本智美
話を聞き感じたのは小菅さんが人との縁を非常に大切にしているということです。今までに、ベトナムから来たばかりの頃の小菅さんを支えた石垣島の人々、同じ思いを持った仲間、江津市役所の方などとの出会いがありました。それらは全て手厚いサポートでベトナム人に職業紹介をする現在の事業に繋がっています。
小菅さんは出会い1つ1つを大切にし、困難に直面した時も誰かに支えられていることに感謝して挑戦する決断をすることで想いを実現していました。そのため、起業には熱意、仲間、周りのサポートの3つが必要だと思いました。
広島県出身の私にとって外国人の労働者は幼い頃から身近な存在で、外国人労働者の受け入れと共生の問題に関心があったので、この取材はとても参考になりました。人手不足の社会で一層の活躍が期待される外国人労働者に対して「人」として真摯に向き合いつつ受け入れを拡大して欲しいと思いました。そして、私達も助け合える温かい社会を築いていきたいです。
お問い合わせ先
中小企業課
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