県内大学生による起業家情報の発信事業
県内の起業に関心を持っている方等に向けて、県内起業家の魅力などを情報発信するため、島根大学法文学部と島根県立大学総合政策学部久保田典男研究室の学生により、起業家や創業者を直接取材し記事作成を行う事業を実施しました。
なお、この事業では、大学生が起業家や創業者への取材経験により、起業への想い、島根で起業する理由など、起業家マインドを学ぶ機会にもつながっています。また、記事作成にあたっては、ローカルジャーナリストの田中輝美様と本宮理恵様(株式会社MYTURN)に学生への指導、監修に携わっていただいたことも特徴となっています。
起業家や創業者のお話を伺い、学生が何を感じたのか、是非ご覧ください。
取材先
有限会社はんだ
代表取締役
反田孝之様
桜江の土を使った自然栽培で正しい生き方を
自分のやりたいことを仕事にするため、2004年から農業を始めた反田孝之さん。平均4年に1度は大規模な洪水被害に見舞われる現在の島根県江津市桜江町で、試行錯誤した後たどり着いた自然栽培という方法で、約18ヘクタールに及ぶ大規模な農業を行っています。色々なご縁があり戻ってきた反田さんの地元、桜江町の素晴らしい土によって作られるごぼうは絶品だと評判です。反田さんにこれまでの背景、これからの展望を聞かせて頂きました。
■どんな事業を行っておられますか。
自然栽培、有機栽培による農作物生産を行っています。自然栽培とは養分供給を一切しないことです。また、有機栽培とは化学物質は使わないが有機肥料は使う栽培のことです。ごぼう、大豆、米、の3つを中心に栽培しています。特にごぼうは桜江町の伝統的な作物であるため栽培をしています。2004年に(有)反田組の土木部に加え、農業部として農業を始めて、2010年9月から農業一本で経営を行っています。
■起業されたきっかけを教えてください。
農業の勉強をしている時、旧桜江町の産業課長から農業をやらないかとの電話があり、この機会を逃したらそう簡単には始められないと思い本格的に農業を始めることになりました。大学時代に1つのエピソードがあり、それがきっかけで経済は人間の健康と環境をむしばんで回るのが宿命であることを知り、少しでも正しい生き方をしたいなと思いました。そこで食べ物は汚染されているものが多く、当時から農業というものが頭にあったので、自然栽培にたどり着きました。
■起業されて大変だったことはなんですか。
もう、数えきれないですね。1番は、除草剤を使わない広大な土地の草取りです。春の作付けまでに草を取る方法を考えないといけないけど、人を雇うと赤字になるし、眠れない夜を過ごしました。そこで、ホームセンターで部品を集めて機械に取り付けたところこれが大ヒットして、草取りを現実的なものにすることができました。次の年もほとんど草を抑えることができました。これが人生最大の危機でしたね。この成功があり地元の人があんたはすごいと言って握手を求めてきました。
■将来のビジョンなど今後の目標を教えてください。
今、畑に面白いことがいっぱい起きています。近代農学では連作の限界は3年までと言われていますが、うちは自然栽培だから10年経った今でも連作できています。これが今後どれくらい続くのか知りたいです。もし何十年もできるのなら今まで自然栽培は無視されてきたけど、無視できない状況になります。良いものを消費者に消費してもらうことによって桜江の土の良さ、自然栽培で育つ食物のおいしさを知ってもらいたいです。
■会社概要
・創業年・・・2004年
・会社名・・・有限会社はんだ
・住所・・・江津市桜江町小田42‐4
・代表取締役・・・反田孝之
・事業内容
自然栽培及び有機栽培農産物の生産を行う会社。18ヘクタールという広大な土地で夫婦で農業を行っている。養分供給を前提としない「自然栽培」という方法でごぼう、大豆、米、を中心に農作物を生産する。「自然栽培」こそが本物の食糧を生み出す手段であるという確信を元に本物の食糧の普及への貢献を目指す。
■取材後記
(島根県立大学)川合幸穂
反田さんは自分が興味を持って取り組めることを実際に職業にし、成功されていて私も興味を持ちながらできる仕事ができれば理想だと感じました。人生最大の危機であった草取り、約4年に1回のペースの洪水被害、自然栽培が普及していないために理解されず大変だったことも、試行錯誤をして、揃えてもらえた広大な農地で桜江町の素晴らしい土を使って農作物を作っておられることに、純粋に忍耐力なども持ったすごい方だと思いました。
また、私はこのお話を聞く前は連作障害のことも知らず今普及している農業が1番良いものであると思っていましたが、人間にも環境にも連作障害に対しても自然栽培が良いということを知ることができたので、自然栽培の素晴らしさが全国に広まり、盛んになれば良いなと感じました。起業に対して、今まで思っていた通り大変であることには変わりはないが、本人の興味ややりたいという気持ち、ご縁も大切であることを知り少し身近に感じられるようになりました。
お問い合わせ先
中小企業課
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