県内大学生による起業家情報の発信事業
県内の起業に関心を持っている方等に向けて、県内起業家の魅力などを情報発信するため、島根大学法文学部の学生と島根県立大学総合政策学部久保田典男研究室の学生により、起業家や創業者を直接取材し記事作成を行う事業を実施しました。
なお、この事業では、大学生が起業家や創業者への取材経験により、起業への想い、島根で起業する理由など、起業家マインドを学ぶ機会にもつながっています。また、記事作成にあたっては、ローカルジャーナリストの田中輝美様と本宮理恵様(株式会社MYTURN)に学生への指導、監修に携わっていただいたことも特徴となっています。
起業家や創業者のお話を伺い、学生が何を感じたのか、是非ご覧ください。
取材先
ボンヌママンノブ
代表
上田幸治様
フランス料理で益田の人々を豊かに
益田でフランス料理店をやっている「上田幸治」というかっこいい人がいる。自分の仕事で少しでも益田が元気になればと日々、努力をしている。僕は、単純になんで今の職業をしているのか気になった。そして、その人の起業した経緯というより、その人の生き様を聞きたくなった。聞くと、その話はやっぱりかっこよかった。これからの生き方で迷っていた僕にはぴったりの話だった。その話のほんの一部を紹介する。
■事業内容について教えてください。
基本的に、フランス料理のレストランをやっています。19、20歳の頃に「益田でお店をやる。」と決めて、30歳までにカタチにすると決めて、10年、東京で修行して、目標通り、29歳のときにこのお店ができました。そして、僕はこのお店で開放的な空間で慌ただしい日々を忘れて、一度、日々の仕事をリセットして、ゆっくりしていってもらいたいっていうコンセプトで、今、フランス料理店をやっています。
■益田でフランス料理店を開く経緯までを教えてください。
19、20歳のころ、東京の調理学校にいた時に、1年間フランスに行ったんです。そこで入った定食屋が高級食材とかは出ないし、お皿は欠けてたりするお店だったんだけれども、そこのテラスで昼間から友達とワイン飲みながら喋っている時間がなによりも贅沢に思えて、その時に「東京でお店出して、勝負するんじゃなく、僕はこういう贅沢な時間が過ごせるお店がしたい」って思ったのがきっかけで、東京じゃなく故郷である益田のこの地に今の店を開くことになりました。
■そんな思いで開かれたお店ですが、大変なことは何でしたか?
オープンした当初は人が押し寄せたんです。でも3か月過ぎたころから来なくなっちゃって。当時お客さんから言われたのは、「パスタはないのか?ハンバーグはないのか?」って、それで、お客さんに合わせた方がいいのか、どうしたらいいのか困っていたときに妥協は仕方がないが、自分のフランス料理をやりたいという信念だけは曲げちゃいけないなって思って、フランス料理で堂々と勝負したんです。すると、お客さんが徐々に来てくれるようになりました。
■豪華寝台列車「TWILIGHTEXPRESS瑞風」との関わりについて教えてください。
軌道に乗り始めた2005年4月にお店が原因不明で全焼しているんです。当時、知り合いの方たちから支援されて人の温かみを感じたんです。それがきっかけでそれまでは外部から仕事を依頼されても全部断っていましたが、それが益田の人、食材のためになるんだったらって思って出かけるようになりました。最初は断っていた「瑞風」の依頼も自分が受けることによって少しでも益田の食材や生産者にスポットが当たって、益田が元気になればと思って引き受けました。
■会社概要
・創業年・・・ 2001 年
・会社名・・・ Restaurant BONNE-MAMAN NOBU
・代表・・・上田幸治
・所在地・・・益田市高津町 485-18
・業務内容
島根県益田市高津町の日本海を望む山陰線沿線にある白い壁に爽やかな青い屋根が特徴的なフランス料理店。また、春秋シーズンには月に1回ほどウエディングも行う。そして、オーナーである上田さんはお店のすぐそばの山陰本線を通る、JR西日本の豪華寝台列車「TWILIGHTEXPRESS瑞風」の車内で出される料理の監修も手掛けている。
・HP・・・ www.bonne-maman-nobu.com (外部サイト)
■取材後記
(島根県立大学)東大嵩
僕は、最初このレストランと「TWILIGHTEXPRESS瑞風」との関連に興味を持ち、取材に行きました。けれど、そこで聞けた内容は「瑞風」の話だけじゃなく、今の上田さんを形作っているとてもかっこよくドラマチックな人生の話でした。僕は人がいままでどういう道のりを歩んできたのか、どういう生き方をしているかにすごい興味があります。自分自身、思うのが人を形作っているのはその人が日々、経験してきたものの積み重ねなんだなということです。上田さんにとってフランスの定食屋でご飯を食べた経験でそれまでの価値観が180度変わり、益田でフレンチをやることにつながり、火事を経験したことで益田の人や食材のために動こうと、「瑞風」の仕事も引き受けることにつながっています。僕もこれまでそしてこれからの経験が5年後10年後の自分を形作るということを信じて生活を大事にしていきたいです。そのためのきっかけとなる良い取材でした。
お問い合わせ先
中小企業課
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