県内の起業に関心を持っている方等に向けて、県内起業家の魅力などを情報発信するため、今年度、島根大学法文学部の学生１０人と島根県立大学総合政策学部久保田典男研究室の学生１２人の計２２人の学生により、起業家や創業者を直接取材し記事作成を行う事業を実施しました。

　なお、この事業では、大学生が起業家や創業者への取材経験により、起業への想い、島根で起業する理由など、起業家マインドを学ぶ機会にもつながっています。また、記事作成にあたっては、ローカルジャーナリストの田中輝美様と本宮理恵様（株式会社ＭＹＴＵＲＮ）に学生への指導、監修に携わっていただいたことも特徴となっています。

　起業家や創業者のお話を伺い、学生が何を感じたのか、是非ご覧ください。

取材先

　株式会社ＣｏｃｏｒｏＲｉｂｂｏｎ

　代表取締役

　大川真美様

　社会のニーズの隙間と痒いところに手が届くサービスを提供するCocoroRibbon。３年目にしてすでに50を超える行政・企業と連携しています。メンバーは全員子育て中のママ。ママならではの視点から、子どもの未来のために地元企業や悩みを抱える子育てママをサポートしています。アウトソーシング事業やキャリアセミナーを精力的に行っていますが、どのような思いを持ってお仕事されているのか代表の大川真美さんに伺いました。

■経営理念を教えてください。
　共働き率の高い島根県だからこそ、お母さんの仕事の質の向上につなげたいと思っています。企業側とお母さん側で「働く」に関する考え方に違いがあるので、なかなか直接雇用だと難しいという現実があります。そこで私が間に入って、お互いのニーズをいい具合にして、成果という形でお返しできれば、企業も満足していただけます。経営理念には、結果的に子どもたちの生きる力が育つ地域社会づくりに貢献することを掲げています。

■起業されたきっかけは何ですか？

　働いた時間で評価する現在の会社制度に疑問を持ったのがきっかけです。保育士時代、毎日疲れているお母さんに子どもも影響されていることに気づき、子どもを応援したいならまずは親を変えなければ、と。

　また、営業職時代には、働く人のモチベーションを上げる手伝いをしたいと思ったことが、現在の事業内容に繋がっています。成果で評価される世の中だったらもっと子育て中のお母さんも働きやすいと思い、起業しました。

■将来ビジョンや今後の展望は？

　将来的には社員さんの研修や企業主導型の保育など、まだ島根では定着していない事業を始めようと思っています。さらに今後は若者のUターンにも目を向け、最終的にはキャリアスクールの校長先生になるのが夢です。

　キャリアスクールは自由選択性の学校で、子どもたちが自分でカリキュラムをつくり、社会勉強の場になる学校にしたいと思っています。子どもたちが自分で納得して高等教育を受けたいと思ってくれるような場所をつくりたいです。

■会社概要
創業年…2015年10月
会社名…株式会社CocoroRibbon
住所…〒690-0822島根県松江市下東川津町57-6
創業者…大川真美
事業内容

　主に二つ。一つは地元企業のサポートとして、業務のアウトソーシング。入力作業や、突発的に起きた仕事の請負、システム導入の提案などを通して地元企業の社員の残業時間を減らすのを助ける。もう一つは、キャリア事業として、子育てママに特化したキャリアセミナーを行い、社会進出を助ける。
HP…https://cocororibbon.jp（外部サイト）

■取材後記

（島根大学）盛山友歌

　私は最初、CocoroRibbonさんが何をされている会社なのかつかめませんでした。しかし、お話を伺っていく中で、同社の仕事は、今現在、社会が求めている最先端の事業なのだと思いました。働き手がほしい企業側と、少しの時間でも働きたいと思っている子育てママとの仲介役として、互いに有益な雇用関係を創出したり、自分らしく生きられるようにキャリアカウンセリングをしたり、地元就職が増えるように、社員の負担を減らしたりというように。

　また、今回取材に応じてくださった代表の大川さんは、とても明るく、多くの夢を持っておられる素敵な方でした。子どもの未来と地域の発展のために、何をしていけばよいのか、明確なビジョンを語っておられる姿は、まさに輝いて見えました。高校時代の同級生の自殺から、正しい道とは何か考えられ、様々な職を経験されたことが、今につながっているのだと感じました。そうした過去の気づきや引っかかりを手掛かりに、まったく新しいビジネスを作り出すことは容易なことではありませんが、私も今後の人生で、小さな引っかかりを大切にしていこうと思いました。