島根県水産技術センター研究報告第11号(2018年3月)
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報文
インピーダンスによるムシガレイ鮮度の非破壊測定(石原成嗣,竹谷万理,井岡久,清川智之)(PDF、1359KB)
沖合底びき網による漁獲物の品質向上を図る取り組みの一環として,電気インピーダンスを用いてムシガレイ鮮度の非破壊的で簡便な測定を行う事が可能であるか検討した.その結果,完全硬直前であれば硬直指数とインピーダンス比が強い相関を持つこと,完全硬直後も多変量解析による検量線の作成によって,ロット単位であればK値を推定できることを確認した.
浜田漁港における沖合底びき網漁獲物の高鮮度化に関する研究(岡本満・沖野晃・竹谷万理・井岡久)(PDF,2683KB)
島根県浜田漁港を基地とする沖合底びき網漁船のリシップ(再生工事)で実施される漁獲物の付加価値向上を支援するため,種々の調査試験を行った.リシップ前の乗船調査の結果に基づき,ムシガレイを指標としてリシップで導入された冷海水使用と2次選別の省略による高鮮度化を実証した.また,この高鮮度ムシガレイを原魚として,加工工程における低温管理を徹底することで,イノシン酸に富んだ塩干品の製造が可能であることを明らかにした.タイ類の冷却海水濃度による色調については,全海水の使用によって処理直後に赤色の低下が認められたが,希釈海水では赤色が強まる傾向が示唆された.高水温に暴露した活ウチワエビを用いて冷海水浸漬による活力の維持について検討したが,夏季における活魚化率の向上は難しいことが示唆された.
隠岐諸島におけるイワガキシングルシードの海面中間育成試験(佐々木正・佐藤勇介・近藤徹郎・常盤茂)(PDF,KB)
イワガキ養殖施設およびその近傍の複数個所において,シングルシード(1個ずつ個別に分離した種苗)の中間育成における基礎的なデータを取得するための飼育試験を実施した.種苗の成長や生残率は収容密度や地区によって異なったが,全体的に良好に推移し,10月の試験終了時は各試験区とも大部分の種苗が個別にロープに容易に固定することのできる殻高60mm以上となった.
資料
江の川中流域におけるアユ漁場診断調査(高橋勇夫・曽田一志・寺門弘悦・村山達朗・古谷尚大)(PDF,2651KB)
江の川中流域の河川環境を2015年9月に調査し,アユの生息場または漁場という観点から評価した.江の川中流域ではトロが卓越し,アユの生育に好適な早瀬や淵は少なく,カワニナの高密度分布や河床のアーマーコート化など不適な現象は少なくない.減水区間では生息環境の改善が望ましいが、全般的にアユが生息できないほどの環境悪化は認められず,遡上量が増えれば現状でも良好な漁場が形成されると考えられた.漁場面積は約285万m2で,生息期待量と適正放流量はそれぞれ,約220万尾,約370万尾と算定された.放流のみでの資源の維持は費用面から不可能であり,天然遡上を増やす取り組みが重要であると考えられた.
水深,水温ロガーを底曳網漁具に取り付けるためのハウジングと牽引力記録計用治具の製作(沖野晃・金元保之・河村進)(PDF,1,755KB)
底びき網の試験操業において水深・水温ロガーを底びき網漁具に取り付けるためのハウジングをステンレスで作成した.また,漁具の張力を測定する牽引力記録計を試験機に設置するための治具を作成した.これらの器具の仕様について資料として記載する.
石見部における2012年~2016年のばいかご漁業の調査結果(向井哲也・道根淳・古谷尚大)(PDF,1,316KB)
島根県西部の石見部におけるばいかご漁業について2012年~2016年の調査結果をとりまとめた.調査期間中の1隻あたりのエッチュウバイ漁獲量は横ばいであったが,CPUEは増加しており2014~2016年では過去最高水準となった.ただし本漁業によるエッチュウバイに対する推定漁獲率は40%以上とかなり高く,今後も資源状況に見合った漁獲管理が必要と考えられた.
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