島根県水産技術センター研究報告第9号
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報文
神西湖におけるヤマトシジミの成長(PDF,2,125KB)
向井哲也・勢村均・辻谷睦巳・若林英人
(要旨)神西湖において2009年から2013年まで毎月のヤマトシジミの成長を解析し、その成長を明らかにした。調査の結果、神西湖においてヤマトシジミは平均で生後1年で殻長12.2mm、生後2年で殻長22.0mmに成長していた。これは宍道湖におけるヤマトシジミの成長速度の2-3倍の速さであると考えられた。植物プランクトンの調査結果では神西湖では周年にわたり珪藻類が優先しており、神西湖のヤマトシジミの成長の速さの要因は餌料プランクトンの量および質が大きな要因であると考えられた。
資料
2014年の江の川におけるアユの産卵状況(PDF,1,843KB)
高橋勇夫・寺門弘悦・曽田一志・福井克也・沖野晃
(要旨)江の川における2014年のアユの産卵場の河床状態等を調査し、造成の必要性を検討した。谷住郷の瀬、長良の瀬及びセジリの瀬で少なくとも合計3,000m2程度の産卵可能面積が見込まれた。これに親魚量が少ないことを加味し、江川漁協とも協議のうえ造成は行わないと判断した。その後の産卵状況の調査から、谷住郷の瀬と長良の瀬で合計3,660m2で産着卵を確認し、事前調査の判断が妥当であったと考えられた。
江の川水系八戸川におけるアユ漁場診断調査(PDF,1,991KB)
高橋勇夫・寺門弘悦・曽田一志・村山達朗
(要旨)八戸川をアユの生息環境という視点で評価した。八戸ダム下流では、発電による減水、堰堤の遡上阻害等のアユが生息するうえでの深刻な問題を抱えている。現状ではアユが正常に成育できる環境にはなく、種苗放流による増殖も効果が薄いと判断された。生息期待量は、八戸ダム下流で約14.7万尾、ダム上流で19.5万尾と算定された。生息期待量を水面面積で除した平均密度は、ダム下流で0.55尾/m2、ダム上流で1.14尾/m2と見積もられた。
2004年-2013年のマダイ・ヒラメの放流効果調査結果(PDF,1,695KB)
向井哲也・沖野晃・小草正道・白藤拓
(要旨)島根県の2004年-2013年におけるマダイ・ヒラメの放流効果調査結果のとりまとめと解析を行った。市場調査によって、鼻孔連結(マダイ)と無眼側の黒化(ヒラメ)を指標に放流魚の判別を行い、マダイ・ヒラメの体長組成を把握した。これらを元に放流魚の年齢別漁獲尾数を算出し、その漁獲重量と回収率を推定した。マダイについては、全漁獲量に占める放流魚の割合は6.3%(2004-2013年平均)であり、回収率は1999年放流群-2006年放流群の平均で2.9%であった。ヒラメについては、全漁獲量に占める放流魚の割合は平均で5.5%(2004-2013年平均)で、放流魚の回収率は2001年放流群-2006年放流群の平均で0.9%であった。
島根県沿岸における藻場の状況と磯焼けに関する聞き取り調査(PDF,814KB)
吉田太輔
(要旨)島根県沿岸の磯焼け状況を把握するため、平成26年5月から7月に県内18地区の採介藻漁業者に聞き取りを行った。その結果、隠岐島後の北部を除く県内全域で平成元年以降に藻場が減少傾向にあることが確認された。また、平成25年夏に県西部でアラメ場の大量枯死が発生したが、原因として高水温により生育限界水温を超えたことによる枯死と考えられた。藻場減少原因の一つとして、藻場減少が確認され始めた平成元年頃以降から冬場の海水温が約1℃上昇していることなどから、植食性魚類やウニ類による食害圧の増加の可能性が示唆された。
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水産技術センター
島根県水産技術センター(代表) 〒697-0051 浜田市瀬戸ヶ島町 25-1 TEL.0855-22-1720 FAX.0855-23-2079 E-Mail: suigi@pref.shimane.lg.jp