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○作物名:ブドウ

○病害名:晩腐病


発生状況○概要
本病は雨媒伝染性の代表的な病害であるので,降雨の多いわが国では最も恐ろしい病害とされている。島根県でも以前からデラウェアで多発生していたが,とくに昭和46年には,県下の露地デラウェアで激発し,壊滅的被害を及ぼした。その後は,農薬だけでは防ぎきれないことなどにより,ハウス化が一層進み,また露地栽培でも有袋へと栽培様式が代わり,現在では発生が極めて少なくなっている。最近、Colletotrichumgloeosporioidesとは異なる種であるColletotrichumacutatumによる晩腐病の発生が確認された。病徴は同じであり、見分けられない。

○病徴と診断
果実のみに発生する。普通にはベレゾーン期以降の果実に発生し,はじめ淡褐色の点から墨がにじんだ湯に藻状,扇状に急速に広がって腐敗型病斑になる。成熟果では初めから赤褐色,円形でやや不明瞭な病斑となって腐敗する。果面はさめ肌状となって小黒点(分性胞子層)ができ,その上に鮭肉色,粘質の胞子塊を形成する。幼果のときでも一部黒色の小班点が現れ,のちにコルク化して,黒点型病斑となる。

○発生生態
病原菌は結果母枝の皮層組織や切り残した穂梗,巻ひげ内にに菌糸の形で冬を越す。5月になると,これらの上に胞子の形成が始まり,6〜7月の梅雨期に盛んとなる。胞子は雨滴とともに果実に達し,感染する。果房への感染は,露地デラウェアの場合,ジベレリン後期処理直後から成熟期にかけて起こる。幼果時に感染したものは,普通にはそのまま潜伏して,酸が減少し,pHが高くなる着色期になるのをまって発病する。成熟に感染したものはわずか3〜5日ののちに発病する。発病果の病斑の上には胞子が形成され,それが飛び散って次から次へと二次伝染する。
本病の発生は雨と非常に密接な関係があり,幼果期,とくにジベレリン後期処理後頃の多雨は一時伝染を,成熟期の多雨は二次伝染を多くする。棚が暗く,風通しの悪い園,地下水が高く水はけの悪い園,窒素肥料の多い園などで多発する。

 

 

外部リン日本植物病名データベース

 

 

成熟果の病徴(品種:左(巨峰)Colletotrichumgloeosporioides)、中、右(赤嶺)Colletotrichumacutatum)

成熟果の病徴(品種:巨峰)成熟果の病徴(品種:赤嶺)成熟果の病徴(品種:赤嶺)2

 

 

晩腐病菌(Colletotrichumacutatum):分生子(上段)と培養菌そう(左:培地表面、右:培地下面)
晩腐病分生子の写真
晩腐病の菌そうの写真1(培地表面)晩腐病の菌そうの写真1(培地下面)

 

 

晩腐病菌(Colletotrichumacutatum)接種による病徴再現
晩腐病の写真

 

 


ブドウ果実腐敗症状


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