報告第80号
(清井生徒指導推進室長)
報告第80号「いじめ問題への取組状況に関する緊急調査」結果についてご報告する。
文部科学省が行ったいじめ問題への取組状況に係る調査について、県内の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校における調査結果をご説明するものである。昨年6月に川崎市の中学校、10月に群馬県の小学校において児童生徒が自ら命を絶つという事件が起こったことを受けて、文部科学省は、11月にいじめの実態把握及びいじめ問題への取り組みについて通知した。その後、12月にいじめ問題への取組状況に関する緊急調査が実施された。11月の通知に対するその後の取組状況がどうであるかという調査である。この調査結果の速報値が1月20日に文部科学省から公表された。
各学校に対しては、3つの質問があった。1つ目は資料3の2の(1)アでいじめの問題への取組に対する点検についてであり、質問の内容は「貴校において、いじめの問題への取組について、点検項目を設け、定期的に点検していますか」というものであった。これに「いいえ」と回答した高等学校が62.8パーセント、特別支援学校が83.3パーセントと高い数字になった。この数字について、聞き取りあるいはファックス等での事後調査を行ったところ、設問の点検項目のとらえ方に相違があり、調査の結果、各学校では何らかの取り組みを行っているという状況であった。
「いいえ」と回答した内容には主なものが2つあった。資料の米印1「いじめに特化した形では行っていないが、学校評価でいじめに関連した事項を取り上げて点検を行っていた」というものと、米印2「文部科学省等の通知で示された点検項目以外に、自校で独自に点検項目を設定しなければならないと理解していた」というものである。項目を1つずつチェックシートにして点検したということではなく、高等学校では年に2回から3回、小・中学校においては任意で学校評価が行われているが、その中にはいじめに関する点検項目が含まれているということであった。また、文部科学省通知の点検項目には26項目があり、これを1つずつチェックしたわけではないが、これまでも教員として、あるいは学校として心得ておくべき点については、チェックを行ってきており、それ以上に項目を設けたチェックはしていなかったということであった。
2つ目はイでいじめの実態把握に関するアンケート調査についてであり、「全児童生徒を対象とした、いじめの実態把握に関するアンケート調査を行いましたか」というものである。小・中学校では、12月以降の実施予定を含めると、ほぼ全校で取り組まれていた。一方、高校においては半数近くの学校、特別支援学校においては91.7パーセントが実施する予定はないと回答していた。このことについて、高等学校においては、米印1に記載しているようにQ−Uテスト、CTテストあるいは生活に関するアンケート調査により実態把握を行っているということであり、特別支援学校においては、個々の児童生徒の状況によっては、アンケート調査は非常に難しいということもあるため、米印2に記載しているように、こまめに面談等を行って実態把握に努めていた。
3つ目はウでいじめの問題に関する校内研修についてであり、「11月までに校内研修を実施しましたか」というものである。高等学校では半数を超える学校が実施する予定はないと回答している。これについては、米印に記載しているように、いじめに特化した研修ではなく、人権同和研修あるいはネットいじめ研修の中でいじめに関する研修に取り組んでいるということであり、いずれにしても何らかの形で研修に取り組んでいた。
次に対応と今後の取り組みについてである。事後調査の結果を含めて広範囲にとらえると、何らかの形でいじめ問題に対する取り組みがなされている状況であったが、いじめ根絶のためには、これまで以上の取り組みが必要と考え、(2)アからエの取り組みを示しているところである。アに記載しているようにいじめの未然防止、早期発見、早期対応に努めるよう通知したところである。
今後の取り組みとして、イに記載しているように管理職や生徒指導主事を対象として実施しているいじめの未然防止についての研修を充実させることとしている。また、ウとして、現在モデル地区を指定してQ−Uテスト、いわゆる心理テストを行っているが、この事業を継続して実施することとしている。更にエとして、来年度には小学校5年生、中学校2年生、高等学校1年生全員にQ−Uテストを行い、各学校における児童生徒理解をより一層深め、いじめの早期発見、早期対応に努めていく所存である。まだまだ不十分な部分があるので、今後とも各学校においては、いじめ問題への取り組みをより一層推進していきたいと思っている。
(安藤委員)
今の説明を聞くと、文部科学省のアンケートの設問が非常に分かりにくかったということのようであるが、設問は資料に記載されているとおりの内容だったのか。
(清井生徒指導推進室長)
そのとおりである。この設問の意味を共通に理解することが非常に難しかったということである。
(安藤委員)
島根県のいじめの内容として、やはり今はネットが主流なのか。
(清井生徒指導推進室長)
1件ずつの内容を把握しているわけではないが、ネットいじめの件数は増えている状況である。
(安藤委員)
モデル地域指定事業では、Q−Uテスト以外にどのようなことを行うのか。
(清井生徒指導推進室長)
現在、浜田一中と出雲一中及びその校区の小学校で3年間をかけて事業を実施している。Q−Uテストについては、心理検査結果の利用の仕方が難しく、やはり研修が必要である。Q−Uテストを実施するだけではなく、結果をどう活かしていくかということも含めて、モデル地域で研究調査を行っているところである。
Q−Uテストは、各方面でその有効性が非常に周知されているところであるので、モデル地域の研究成果も活用しながら、来年度は先ほどご説明したように小学校5年生、中学校2年生、高等学校1年生全員にQ−Uテストを実施したいと考えている。
(渋川委員)
現場ではどのようなアンケート調査の項目を使っているのか。
(清井生徒指導推進室長)
いろいろな手引きにアンケート調査の項目のサンプルが掲載されているので、そのサンプルを基に各学校で実態に合う形で独自に作成しているというのが現状である。
高等学校については、サンプルが小・中学生向けの易しい表現を使っているものであったため、私たちで改めて高校生用のアンケートを作成し、1月20日に通知した。
いじめの問題への対応に関する私たちのスタンスは、生徒と直接面接することとアンケートの実施という両方をいじめの実態把握に有効なものと考え、これまでの研修等でも児童生徒の生活状況を細かに把握するようにと指導に努めてきた経緯がある。文部科学省の通知では、アンケートを非常に強調しているが、本県ではQ−Uテストや生活実態調査、あるいは面接を重視してきたというところで、このような数字が出たのではないかと思っている。
(渋川委員)
子どもの発達段階によって、いじめのとらえ方は違ってくると思う。指導する先生の側が子どもの発達というものを理解しながら、幼い頃から子どもたちが自分の気持ちを外に言えるような環境を作っていくことも考えていって欲しいと思う。
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