議決第37号
(立石高校教育課課長代理)
議決第37号島根県立高等学校等条例の一部改正についてお諮りする。
1番の提案理由であるが2点ある。1点目は、この春開校する県立宍道高等学校の授業料等の額、それから区分の見直しについてである。2点目は、政府が発表した高等学校の授業料等の実質無償化への対応のため、所要の改正を行うものである。
2番の条例の概要であるが、(1)は、従来の学年制の定時制課程の授業料について改定するものである。表の左側は改正前、右側は改正後である。定時制の授業料は、国の地財単価よりも低い金額で定時制は設定していたが、平成19年度の予算要求の際に段階的に地財単価に合わせるように査定を受けており、段階的に行っていくということで、2万8,800円を地財単価に合わせて3万2,400円に改定するものである。
(2)は、受講料の額及び区分の改正であるが、宍道高校の定時制、通信制の受講料について設定するものである。(1)の学年制は年額3万2,400円にしたが、宍道高校の場合、単位制を導入するので、受講する単位数に応じて設定する必要がある。今まで定時制には単位制はなかったので、左側は通信制課程の部分が挙がっているため直接の比較にはならないが、右側の定時制の課程(単位制による課程に限る)ということで、1単位につき1,620円である。定時制は1日当たり4時間で週5日の授業時間なので、1週間当たりで計算すると20単位習得できる。通常は、4年間で卒業することになるので3万2,400円を20単位で割ると1,620円になる計算である。
通信制の課程は、今まで複雑な計算をしており、2単位までが860円、3単位以上になると860円に2単位を超える1単位ごとに210円を加算した額ということで、科目によっては3単位のものや4単位のものがあるので、値段が変わってくることがある。通信制の課程についても地財単価に合わせるということで、通信制課程の地財単価は2万4,800円で、これは卒業するまでに74単位の決められた最低限の単位を取ると2万4,800円になるということで、単純に割り戻しをして、2万4,800円を74で割ると335円程度になり、他県の状況も参考にして330円が妥当ということで、1単位につき330円にしている。
(3)の聴講料の新設であるが、今までも聴講生は年間20人程度いた。通信制の科目だけ履修する者がいるが、今後、宍道高校について、聴講料を新設し、基本的には受講料と同じ金額で設定をしている。
(4)については、高等学校の授業料等の実質無償化に対応するための改正ということで、教育委員会は専攻科に在学する者が納付すべき授業料を除き、平成22年度以降に係る授業料又は受講料について、その納付を猶予することができることにしている。
資料9の2の1番で、高校授業料無償化法案の3条第1項、第2項を抜粋している。これは1月29日に閣議決定をされたものである。第3条第1項では、学校教育法第6条本文の規定にかかわらず、第6条本文というのは授業料を徴収できるとされているが、それにかかわらず公立高等学校については授業料を徴収しないものとするということで、ただし書き以降の特別な事由に該当する場合を除いて授業料の不徴収を義務づけることにされている。
ただし書き以降に書いてある例外的に徴収対象となる特別の事由の具体的内容というのは、政令や省令等で、規定する予定はないと国は言っており、その辺については各地方公共団体が任意に判断することになっている。
第3条第2項では国が不徴収ということで、授業料相当額を国費により負担する流れになるが、その算定方法について書いてある。交付額は、丸1授業料標準額、これは地財単価(全日制の場合11万8,800円)であるがこれに丸2生徒数を掛けて丸3調整率を掛けることになる。丸3調整率は、これまで各都道府県で授業料減免をしているが、その状況を見て勘案して定めるということで、調整率がいくらになるかは現時点ではわかっていない。現在検討されているということである。
参考に平成20年度の島根県の減免率が全日、定時制合わせて10.7%ということで、授業料全体は約19億円本来収入があるところではあるが、そのうちの約2億円が減免されて、約17億円が授業料として収入している状況である。
2番の条例の改正の考え方ということで、改正時期について書いているが、丸1から丸4で、4つの理由から2月議会、それから6月議会の2段階方式で条例を改正していくという方向で予定している。特に丸2で、法律案では特別の事由に該当する場合には例外的に授業料を徴収できる旨が規定されているが、現行条例の島根県立高等学校等条例の規定のままでは、生徒や保護者にとって、自分たちが徴収対象になるのかどうかわからない不安定な地位に置かれるので、混乱が生じないように改正しておく必要があるということで、2月議会ではまず暫定的な改正をして、6月議会で、法律が通った後に抜本的な条例改正を行う流れで考えている。ただし書き以降で、法律の成立が3月末頃を予定されており、2月議会の議決が先になることもあるので、細かいところまでは規定せずに、納付の猶予という形で、授業料の債権は留保したままで改正をしていくという方法をとることとしている。最終的には6月議会で整合性を図っていく流れになると思う。
(2)の2月議会における条例改正についてのポイントであるが授業料または受講料の納付を猶予することを、本則ではなくて附則に規定するということである。資料9の6の議案の4番で教育委員会は納付を猶予することができるということにしている。ただし、専攻科に在学する者が納付すべき授業料についてはこの限りではないということで、専攻科については法律の中で除くこととされているので、そのように規定している。
(2)に返るが、特別の事由に該当する場合はというところで、都道府県で徴収することができるとなっているが、その中で国費負担の対象外とされているのが、留年した生徒、それから学び直しの生徒が国費の算定外とされている。それについて徴収するかどうかは都道府県の判断に任される状況になるが、丸1、丸2のとおり留年した生徒、それから学び直しの生徒については、徴収せずに納付猶予の対処としたいということである。
理由として、丸1の留年した生徒で4点挙げているが、留年の実態を見ると、昔のように赤点をとって留年をするケースはほとんどなくて、例えば病欠、あるいは不登校で出席日数が足らないということで、進級できない場合がほとんどと聞いている。そうした弱者をねらい撃ちしたような徴収は、かえって社会的公正の観点から問題があるのではないかということ、それから、中途退学を促進しかねないおそれもあるので、不徴収が望ましいのではないかと考えている。
丸1の学び直しの生徒については、松江工業高校の定時制などで、例えば建築科を卒業した生徒が家業のために電気科の資格を取らないといけないという必要に迫られて学び直し、再入学する場合があるが、そういう場合に限っており、特に近年、2、3人、多いときに4人という限られた人数になっている。再入学の生徒についても徴収の対象とすべきではないということで考えている。
以上が2月議会の改正のポイントである。
資料9の4の(3)の6月議会における条例改正についてということで納付を猶予することにしているが、例えば特別の事由に当たる場合が新たに出てきた場合に、そういう生徒については徴収をしていく必要が出てくることになりかねないので、そうした場合にはさかのぼって徴収できるようにする必要がある。丸1の原則として授業料を徴収しないこととして、4月1日に遡及して授業料債権を放棄する。基本的には納付を猶予という形で、債権はまだ留保したままの形なので6月議会でそれを改正して4月にさかのぼって債権放棄して、徴収しないことを改めて規定する必要がある。
丸2で特別の事由に該当するものを、どういう場合に特別な事由として徴収するのかという部分を教育委員会規則で定めていく必要がある。
丸3で例外的に授業料を徴収する対象については、債権は留保したままであるので、4月1日まで遡及して所要額を徴収することになるのか、あるいは規則施行後になるのかということも改めて判断をしていくことになる。
参考までに、資料9の5に他県の状況一覧をまとめている。これは2月5日現在で他県が調査したものであるが2月議会と6月議会で半々になっている。この中には2月と6月両方の2段階方式も含まれている。中には国会の審議の状況を見ながら、知事専決で年度内に改正するところもある。6県はまだ未定で態度を保留している。
国費算定対象外の授業料、留年生、それから学び直しの生徒をどうするのかというところで、不徴収とするところが18都道府県、徴収するところが24都道府県、中には留年生と学び直しを区分しているところがある。未定のところは5県であった。
資料9の6及び9の7が議案、資料9の8及び9の9が新旧対照表である。
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