報告第86号
(大矢生涯学習課長)
報告第86号県内の公民館などの状況についてご報告する。
現在、公民館、実証!「地域力」醸成プログラムで、たくさんの方々から評価をいただいているところである。改めて公民館について理解を深めてもらいたいと思う。
公民館はいわゆる戦後の復興に根差して社会教育法が制定され、社会教育法に基づく施設である。住民の実際生活に即して行われる教育文化活動を支援するために設置されており、住民の教養の向上や健康の増進などを図り、生活文化の振興や社会福祉の増進に寄与する施設である。人々が自分の力で暮らしを切り拓く知恵と力を身につける場であり、また社会教育法の中では、職員の設置と職務も掲げられており、公民館職員がそうした人々の営みを援助するということで定められたものである。長い歴史を持った施設である。
2番目の公民館の事業について、学びを通して多種多様な事業が展開されている。資料に掲げている事業など様々な地域の課題に向かって公民館は取り組んでおり、また、公民館は青少年育成協議会であったり子育て支援センター、あるいは学校支援地域本部や放課後子ども教室であったり、社会福祉協議会、同和教育推進協議会、環境保全協議会、あるいは交通対策協議会など様々な地域の課題に対応する事務局機能も含めた事業の地域の拠点として役割を果たしている。そうした機能をイメージしたものが資料7の1にあるが、つどう、まなぶ、むすぶという3つの言葉で表現している。むすぶをつながるという言い方をする公民館も多いが、教育委員会の中に所属する公民館ということで、学ぶという学びを通した地域づくりであり、人づくり、あるいは地域活性化、地域振興に貢献をする団体である。教育長は千手観音という言葉で表現されているが、様々な課題を千本の手のように伸ばして、それを実施、実践をしているということである。
3番目の公民館の現状について、公民館は現在、すべての市町村にある。346館で、そのうち職員が配置されている公民館は292館である。ただし、社会教育法上の公民館だけではなく、この数年コミュニティセンター、交流センター、まちづくりセンターといった施設に徐々に変わっている実態もある。県内では292館の職員のいる公民館があるが、小学校区は252であるので小学校よりもより地域に密着した施設として、合併後の地域において気概を込めて最後のとりでとなる貴重な社会資源であるという自負を持っている。市町村合併や行財政対策により運営形態、所管部局、職員体制など様々な方法で多種多様な運営がなされている。例えば松江市の公民館は昭和40年の財政再建の準用団体となったときに、公設自主運営方式という形に変える中で、今までそれがうまく機能して発展してきている実態もある。
最近の動きとしては、21市町村のうち5市が違う形態をとったり、とろうとしているところである。出雲市は、平成18年からコミュニティセンターという形になり、これは地域振興部が所管をしている。益田市は二枚看板を掲げて、公民館と地区振興センターという形で経営企画部が所管している。大田市は今年度から従来の公民館がまちづくりセンターという形になり、総務部が所管し、そのキャップになる格好で従来の教育委員会の中で、7つのブロック公民館という形になっている。安来市は交流センターという形で、平成19年から市民生活部が所管をしている。雲南市は既に条例等も制定され、来年4月からは交流センターという形になると伺っている。
課題として、合併後の行財政改革であったり、各種行政サービスのレベルの調整の一環として、公民館の予算、人員の削減、そして公民館の再編・統合の動きがある。社会教育の見方からすると社会教育施設としての本来の姿であるそうした主体的な学習実践活動よりも、行政の出先機関的な役割が優先されることについて心配な面も持っている。
今後、支援のあり方としては、地域の課題解決に向けて住民を巻き込み、本来の主体的な学習・実践活動に結びつく役割を果たしていってほしいと思っている。そして、地域力を高めていく必要があると思っている。そのためには、実証!「地域力」醸成プログラムなどを通じ、今後も公民館の機能強化を支援していきたいと考えている。
別添「社会教育だより」の第2号を添付しており、公民館を特集している。また、「フォトしまね」の新年号では、公民館と「地域力」醸成プログラムが特集になって、県民の全戸配布をされる予定になっている。
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