報告第84号
(佐藤生徒指導推進室長)
報告第84号平成20年度児童生徒のいじめ・暴力行為等の状況についてご報告する。
11月30日に文部科学省の公表にあわせて本県分を公表した。資料5の1について、いじめの認知件数であるが、平成18年度からいじめの定義が変更になり、それまでは発生件数としてカウントしていたが、いじめを受ける子どもの立場で、より実態に即してアンケートや個別相談等で、いじめのサインを見逃すことのないように把握するため認知件数へ変更になった。そのような中で、平成19年度、平成20年度と小・中・高いずれも減少傾向にある。
資料5の3について、1の(5)のいじめの態様の中で、最も多いのが冷やかし、からかい、悪口等の不快なことを言われるというのが、292件中110件と40%弱を占めている。パソコン、携帯での誹謗中傷は平成19年度28件であったが12件と減少した。
資料5の1のいじめが減少傾向にある主な理由としては、資料に記載しているが、(2)、(4)のいじめ問題の本質を全職員で理解し、日常の児童生徒の人間関係の把握に努めたり、いじめを許さない学校、学級づくりを進めてきたことも成果の一つであると考えている。
暴力行為の発生件数については、資料5の2の上の棒グラフを見ると、このグラフは平成16年度からであるが、中学校の場合、この調査を開始した平成9年からの推移を見ると、平成10年の322件がピークで、それ以後減少傾向が見られる。高校は平成16年度の69件が最多でほぼ横ばい状態である。小学校については、平成17年度までで最も多かったのが平成16年度の47件である。平成18年度の105件、平成20年度の121件が飛び抜けて多くなっているのは、いずれも数人で何回も繰り返したことによるものである。例えば、平成18年度の105件は2人で42件、平成20年度の121件は2人で51件であった。そのような中でも、傾向としては全国の状況と同様に、小学生の低学年まで広がってきている。いわゆる低年齢化しているということである。
これは、一つに感情の言語化がうまくできず対人関係がうまくいかなかったり、言葉よりも先に手が出たり、自分の思いどおりにならないと、他人に対して安易に攻撃的な行為に及ぶといった傾向が見られる。
資料5の2の下のグラフの暴力行為形態別割合では、棒グラフの中の数字は件数であるが、小・中・高ともに生徒間での暴力の割合が大きく占めている。中学校は器物損壊も多くなっている。小・中・高、特別支援学校、それぞれ学校ごとに個々には課題を抱えている状況、あるいは苦戦をしたりという状況も見られるが、県内総じて落ちついて教育活動が展開していると考えている。数字の増減に一喜一憂することなく、資料5の2の上に掲げている小学校における今後の対応の中で、特に(4)の幼稚園等と小学校との連携を強化したり、道徳や各教科の授業の中でさらに体験的活動や部活動を通して、他人と意思疎通を図る能力や感情を抑える、我慢する力を育てたりすることによって、基本的な生活習慣や規範意識を醸成していきたいと考えている。
(山本委員)
生徒間暴力の中で、重傷になるような暴力行為があるのか。
(佐藤生徒指導推進室長)
何件かは病院で治療を受けたと聞いているが、幸いに本県の場合は大きな暴力行為はないと思う。
(渋川委員)
最近よく子どもの想像力の欠如ということを聞くが、例えば本を読んでその情景を浮かべるとか、歌を聞いて自分なりに解釈をしてその情景を浮かべるとか、そういうことが欠落していると思う。命がリセットできるということにつながるものがあると思うので低学年から想像力を豊かにして、相手の気持ちがわかるとか、この程度だったらいいけど、それ以上いったらいけないということを自分がわかる、限度を本人が知る経験を小さいときからすることが必要だと思うので、先生にもそのような対応をしてもらいたいと思う。
(安藤委員)
学校の取り組みのところで、言語活動などの充実とあるが、何か計画してやっているのか。
(秋利義務教育課長)
感性、情緒を育てるということでは、読書活動も大事であるし、道徳教育あるいは体験活動を通してそれを進めていくことも大きなことだろうと思っている。
学校のカリキュラムの中では、例えば総合的な学習の時間で外部の人と出会って話をしたり、あるいはインタビューをしたりというようなことも経験しながらやっている。それからもう一つは、コミュニケーション力を育てるために、例えばゲーム的なことをやりながらコミュニケーション力を育てたり、あるいは劇団の人を学校に呼んで実際にコミュニケーションの仕方等を体験してみることも各学校では取り組んでいるということで、その各学校で課題としている部分がそれぞれ違うので、その学校で一番必要だと思われる部分をそれぞれ選択をしてカリキュラムの中に取り入れている。
(石井委員)
いじめとか暴力行為が実際に起きるときに、学校の規模とか学校の統合が一つの要因になるのか。
(佐藤生徒指導推進室長)
例えば中学校の校区が小学校の数が多い、あるいは小学校の入ってくる幼稚園、保育所の数が多いためにそれぞれの育ってきた、あるいは指導されてきたことも若干の差があるというところで、小学校で苦労されている話は聞いているが、学校規模とは余り関係ないと分析している。
(石井委員)
いじめの様態のところで、2番目に多かった無視、仲間はずれにするというのは減少傾向にあるのか。
(佐藤生徒指導推進室長)
平成18年度は750分の144、平成19年度が492分の87、平成20年度が292分の56という数字で、分母が平成18年度、平成19年度と多いが、率としては同じような率になると思う。全体的に数字的には少なくなっている現状である。
(北島委員長)
低年齢に暴力行為が移ってきているというのが気になるところである。子どもは年齢が小さいほど素直さが多いと思う。家庭がドメスティック・バイオレンスがあったり、夫婦が不仲だとか、じいさんばあさんと親の世代がしっくりいかないとか、そういうのが透けて見える気がする。そういうことを見て子どももそういった行為に走ったりしているような感覚を受ける。
できるだけ低年齢、幼稚園も含めて、しっかり教育を強化していく必要があるだろうし、子どもが小さいときは親も出てくるので、親に対してしっかり教育をしていくといいのではないかという感想を持った。いずれにしても、根絶というのは難しいかもしれないが色々なことで配慮をしながら限りなくゼロに近いような件数に持っていければと思う。
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