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報告第28号

 

(若槻世界遺産室長)

 報告第28号世界遺産の範囲の軽微な変更についてご報告する。

 石見銀山遺跡が世界遺産に登録されてから2年になる。登録活動をするときに調査研究を重ね文化庁等とも協議を進めて範囲を決めたわけであるが、その後の調査研究が進む中で、広げるべきものについては広げていき、世界遺産としてより良く保護していくということで、今回、街道と伝統的建造物群保存地区、いわゆる町並み保存地区の合計3カ所について登録の範囲を変更するものである。

 この登録の手続についてはユネスコにある世界遺産委員会に申請し、通常の場合は、軽微な変更を挙げてくる各国の世界遺産の登録地もかなりあるので、世界遺産委員会の中において新規の登録とともに軽微な変更についても審査される。ただし、今回の軽微な変更については、範囲としても極端にこれまでの登録の性格を変えるようなものではないので形式的な審査で終わるのではないのかと考えている。

 今回の軽微な変更の内容についてであるが、石見銀山遺跡は、鉱山とその鉱山町、いわゆる「柵内」と言っている今の大森町を中心とした仙ノ山周辺の山間部の町と鉱山地区、それから港、その港を結ぶ街道、その街道の周辺に点在する城跡で構成されているが、資料5の2のとおり街道部分については青い線の部分が今回追加する部分である。

 なお、登録するときには文化財保護法に基づき史跡指定等の手続を踏み、国の史跡になったものが世界遺産に登録される手順になるが、この街道については、既に昨年の段階で国の史跡に指定されている。

 大森銀山の伝統的建造物群保存地区は、今までは町の部分だけであったので、周辺の環境と一体的に保存する必要があるということで山林の部分も加え、資料5の3のとおり赤い部分を加えて拡大するものである。なお、既に一昨年の12月の段階で国の審議を通っている。

 温泉津の伝統的建造物群保存地区は温泉街を含んでおり、これまで海岸部分については除いていたが、海岸部分を加えて拡大するものである。国の選定はまだ受けていないので、現在この作業を進めており、国に申請し、その決定を待って選定を受ける予定にしている。

 現在442ヘクタールあるが、この拡大により575ヘクタールになる。日本で世界遺産登録されている14カ所のうち11カ所が文化遺産として登録されているが、文化遺産の中で3番目に広い範囲ということになる。

 今後のスケジュールは、温泉津伝建の選定を進める一方で、軽微な変更の申請書の作成、提出の作業を進めていくことになる。関係省庁連絡会議という国の会議が2回あり、これは文部科学省、環境省、外務省などで開催される最終的な国の審議機関である。2回目の関係省庁連絡会議で了承を受けたものがユネスコに提出されることになる。現在の計画では今年12月に伝統的建造物群保存地区が選定され、来年1月に軽微な変更申請書をユネスコへ提出し、順調にいけば来年6月に世界遺産委員会で審議、承認になる見込みである。

 

 


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