議決第27号
○佐藤生徒指導推進室長
議決第27号公立学校における携帯電話の取扱いに関する方針についてお諮りする。
私たちの日常の営みは、親、大人から子どもに伝承していく、教え伝えていくというものがほとんどではないかと思うが、携帯電話に関しては、電話機能のみならず、いろいろな機能が搭載されており、親が子どもにというよりも子どもが親に教えている場面が多々ある。このような状況下、親がわからないところで問題が発生し、子どもが様々な弊害やトラブルに巻き込まれている昨今である。他県ではネットによるいじめから自殺に発展するケースも見られるようになっている。携帯電話やインターネットなどの情報機器を扱う上での情報モラル・リテラシー教育の啓発については、様々な取り組みを通じて逐次行っているところだが、携帯電話の学校における取扱いについて県教委としての方針を示す必要がある。
これまでは市町村、教育委員会、各学校が独自に、その取扱いについて校則に明示したり学校の方針を保護者に周知するなどして指導に当たってきている。
資料2の4ページをご覧いただきたい。国及び県教委の指導の経緯についてである。左側、文部科学省のこれまでの通知等の経緯であるが、昨年7月25日に(1)から(5)までの内容について通知があった。
(2)に、学校における携帯電話の取扱いに関する方針の明確化についてとあるが、学校に持ってきた場合は教員が預かり、帰るときに渡すという例を示して明確化しなさいというものであった。12月に教育再生懇話会で小・中学校への原則持ち込み禁止が発表され、それを受けた形で、明日、全国指導主事会で方針が示されると聞いている。本県では昨年2月5日に新聞等で、3部局合同メッセージの啓発を行った。以下様々な取り組みを行っているが、この2月には教育しまねに携帯電話関連の特集記事を掲載し、月末までに携帯トラブルの対応マニュアルをホームページに掲載する予定である。
2番の他府県の状況についてであるが、現在までに小・中学校への持ち込み禁止の方針を示している府県として、資料に記載した4県に三重県、横浜市、川崎市が現在加わっている。大阪府、栃木県、埼玉県、和歌山県は、高校については使用禁止となっている。また、中四国地域については記載したような状況である。
2の5ページをご覧いただきたい。本県においては、「原則禁止」の小学校が68.4%で、「原則禁止していない」が31.6%である。島根県では中山間地の小学校、人数の少ない学校等がある。また、携帯電話に関して、こういったルールを決めていなくても持ってこないという学校もあり、そういった学校も含めて31.6%であるので、おおむね100%に近い学校で原則禁止だと考えている。中学校については、「原則禁止」が100%である。高等学校については、「原則禁止」が35%、「原則禁止はしていないが校内禁止」が51%である。「授業中禁止」が14%であるが、これは定時制高校で雇用主との緊急連絡用にやむなく許可しているというものであり、できれば休憩中も禁止にするよう、段階を追って指導している状況である。このように文科省の通知を受けるまでもなく、本県の実態は、市町村及び各学校で実情を考慮した形で内発的に取り組んでもらっている。
県としての指針を示すとすれば、2の2ページ、2の3ページに通知文の例を示しているが、小学校、中学校においては「学校への持ち込みは原則禁止」することが望ましいと考えている。そして、高等学校においては「始業時から終業時まで、学校における使用は禁止」するべきと考えている。これは、各学校が少なくとも守ってほしい最低限の規制を示しており、公私を問わずすべての学校で実効ある取り組みとするために守ってほしいという願いを込めている。この問題について教職員間あるいは保護者を交えて協議を重ね、各学校には既に決められたルールがある。これまでの指導経過を踏まえ、生徒への指導について積極的に取り組んでもらいたいと考えている。
また、携帯電話利用の様々なトラブルや弊害といった問題は、携帯電話を持たない、あるいは学校に持ち込まないだけでは解決できない。通知文にあわせ2の6ページの資料をつけて各教育委員会、学校に通知し、指導の徹底を図っていきたいと考えている。
○北島委員
2年ほど前の中国5県の教育委員全員協議会において、文科省に対して「携帯電話については使用を制限すべき」という提言を出したと記憶している。それがようやく少しずつ形になってきたなという気がしている。私個人としては、小・中学生から携帯電話を学校に持ってくる必要はないと思っている。学校以外で、普段の生活のときには使うことになるのだろうが、一つの指針として、こうしてきちんと示すことは取り組みの第一歩ではないかと思う。
それからやはり、2の6ページにあるように、利用方法をきちんと教えるべきだと思う。例えば中学校であれば、1年の最初にしっかり教え、徹底していくとよいと思う。
○渋川委員
私も身近に、小学校1年生で携帯電話を持っている子を知っている。その家庭は父子家庭ということもあり、連絡用に使っているのだと思うので、制限した形での利用であればあまり影響はないと思う。ただ、そうして小学校1年生の子どもが持つような状況であり、どんな危険があるのかを親も気付いていない面があるので、保護者に向けた教育が必要だと思う。
○山根委員長
児童生徒及び保護者への周知は、市町村教育委員会と各学校で適切にやっていただかなければならないが、どのように徹底するか。
○佐藤室長
この問題については、昨年暮れの市町村教育長会議でも、皆さんが喫緊の課題としてとらえており、各市町村においてもどのような方針を出すべきかということも考えていただいている。県が方針を示すことについて、その趣旨は十分に理解いただけると思う。
県立学校についても2月2日に教頭会、19日に生徒指導協議会理事会、23日頃に校長会等があるので、それぞれの場で周知徹底を図っていきたい。
○山根委員長
その件についてはよろしくお願いする。先般調査した段階で、持ち込み禁止ということについて保護者から「それでは困る」といった声はないか。
○佐藤室長
特に小・中学校については、ほとんどの学校が自ら持ち込み禁止にしている現状があるので、問題はないと思う。下校時の安全のために必要だというものについては、特例として各学校で対応するようお願いしたいと考えている。
○北島委員
今のことに関して、反対は必ずあると思う。だが、反対があっても妥協しないで、禁止を徹底するべきである。例外を認めるとしても、誰が聞いても納得できるような理由ならば認める、という形にして、なし崩しにならないようにしてほしい。その辺りは現場の先生方がしっかりした覚悟をもってやっていただきたい。
○藤原教育長
2の5ページの調査票を見ていただくとわかるように、各学校では現時点で既に自発的にこうした取扱いをしている。学校で自主的にやっていることについて、教育委員会が追認することによって、言わばバックボーンを与えていくことになるのではないかと思っている。
○山根委員長
携帯電話を持ってきたときの対応は実際どうしているのか。先生方の対応が難しいと思うが、どのような対応をすればよいものだろうか。
○佐藤室長
高校での自分の経験では、例えばその学校では持ってきてもよいが始業時から終業時までは電源を切るようにというルールであった。授業中に携帯電話が鳴ったときには、授業担当者が携帯電話をいったん預かるというルールにしていた。学校によっていろいろなルールがある。そのルールについては、こちらから指示するのではなく、学校の判断で当たっていただきたいと思う。
○山根委員長
高校では問題ないかもしれないが、小学校や中学校では学校の自主判断に任せると対応がまちまちになり、微妙な問題となるのではないか。
○石井委員
以前は、保護者は携帯電話というのは通話機能のことしか気にしていなかったと思うが、最近は様々な問題が明らかにあってきており、認識はかなり変わってきていると思う。こうして適切な時期にこういった文書が出ると、保護者も対応について考えると思うので、学校へきちんとルールを作るようにという指示をして、その後の具体的な対応についてはそれぞれの学校で状況を見ながらされたらよいと思う。
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