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報告第73号

(卜部文化財課長)

報告第73号遺跡の取扱い(松江城下町遺跡)について御報告する。

 松江市歴史資料館(仮称)整備事業に係る松江城下町遺跡の発掘調査が終了したことに伴い、松江市教育委員会から別紙1のとおり遺跡の取扱いについて協議があり、県教育委員会としては別紙2のとおり回答したので報告する。

 まず、別紙1をご覧いただきたい。12月8日付けで松江市教育委員会から協議があった。調査が終了し、遺跡そのものは松江城下町の歴史を解明する上で貴重な資料を提供する遺跡として位置づけることができる。また、これまで8回にわたる現地見学会を実施し、専門家の調査、指導を受ける中で様々な成果を得ることができた。今回検出された最終遺構面について、工事実施に際してあらかじめ22センチの保護盛土を設け、極力地下保存することとしたということである。調査成果については、遺構の一部を移設展示するとともに、CGやビデオ等最新の技術を使って分かりやすい展示となるよう努める。また、調査報告会やシンポジウム等を通じて市民の理解を得ていくという内容で、歴史資料館の建設を認めたいという意見であった。

 それに対して、県教育委員会として12月11日付けで回答している。1歴史資料館の下に保存される遺構や現状保存区域については、工事に際して影響が出ないように十分配慮すること。2遺跡の調査成果については、市民の関心も高いことから、種々工夫をしながら広く展示等の活用をすること、以上2つの意見をつけて回答を申し上げた。

 この協議の経過については、別紙3をご覧いただきたい。平成18年度から調査が始まり、18年度の調査については平成19年3月30日付けで、「工事をされてもやむを得ない」と回答している。平成19年、20年度の調査については、先ほど申し上げたように意見を付け、12月11日に「やむを得ない」と回答したところである。

 別紙4は発掘調査成果のダイジェストで、最終遺構面がどのような形であったかを示している。

 それから、別紙5であるが、赤い線で囲っている範囲が事業地である。このうち水色で囲っているところに建物が建ち、その範囲の中で緑色の部分が、実際には建物の下になるが遺構が保存されている部分である。白いところはタイルや地下の掘り込み等で覆われている部分である。大体7割程度が残るのではないかと考えている。

 最後に、別紙6をご覧いただきたい。これが松江市が示した展示実施図であり、遺構を切り取って見せる部分やCGで松江の城下町を紹介する部分等が設けられるということである。

(北島委員)

 やむを得ないということだろうが、できれば事前の協議がもっと慎重にできなかったのか、という気がする。今後こういうことがあるときは、関連の団体と十分に話をしながら進めるようにしてもらいたい。

(卜部文化財課長)

 4ページの2に法律上の規定を載せている。文化財保護法97条に、遺跡を発見したときは遅滞なくその旨を文化庁長官に通知することという規定がある。そして、97条第4項に、私どもが遺跡の保護上必要な勧告をすることができる、となっている。ただ、この勧告は軽微な内容に限られており、事業をやめなさいというようなことは言えない。今回の取扱い協議は法律に規定された権限に基づくものではなく、任意の手続として県教育委員会から市教育委員会に対して依頼したものである。委員がおっしゃるように、我々としてもこのような問題が頻発しないよう、従来から事前の説明を各市町村教育委員会にお願いしているところである。

(山根委員長)

 関連でお尋ねするが、遺跡を発見したときには県ではなく直接文化庁へ届けなければならないのか。

(卜部文化財課長)

 埋蔵文化財の取扱いそのものが県に権利委任されている。よって、発見したときも市町村教育委員会あるいは発見者から島根県教育委員会に届出が出される。

(山根委員長)

 そうすると、県から工事をストップするような勧告をすることが可能だということか。

(卜部文化財課長)

 程度問題もある。基本的には、発掘調査の指示程度の軽微な内容しか言えないことになっている。国指定級の遺跡であれば、別の法律で事業をストップさせることもできる。今回のようなケースでは、事業をとめることはできない。

 いずれにしろ、遺跡は地元市町村が管理するものであるので、遺跡を残すというところから以後の管理まで、市町村の理解、協力が不可欠である。

 


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