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報告第70号

(音田総務課長)

 報告第70号平成21年度当初予算要求の概要について御報告する。

 現在は要求段階である。全体の状況であるが、総額は、平成20年度当初が884億円余であったが、平成21年度の当初予算要求では890億円余であり、比較増減で5億8,900万円の増要求をしている。

 内訳としては、事業費が平成20年度119億5,900万円に対して平成21年度は146億3,800万円で、26億7,900万円の増である。22.4%の増になるがこの主な原因は、特に施設整備が今、ピークに差しかかりつつあるということであり、ここ3年ばかりはこういう状況である。

 職員給与費であるが、約209億円の減額である。これは20年度の当初予算と比べているが、職員給与費の中に共済組合法ができる以前の恩給に財源負担している部分があり、その負担率が下がったためにこれだけの差が出てきている状況である。実質的には、既に9月に当初予算を減額しているので、それと比較すると大体20年度と同額ぐらいになっている。

 主要事業の概要であるが、まず高等学校の校舎等の整備事業である。28億2,700万円要求している。

 内訳は、松江工業高等学校の全面改築である。平成20年から実施設計をして、21年度は工事に着手していく。完成は平成23年度、総事業費が52億円である。

 次に、横田高等学校の校舎改築。これは管理教室棟1棟であるが、平成21年度は設計かつ建設工事にも着手していきたい。23年の完成を目途にしている。総事業費は14億円である。

 それから、今話題の耐震対策の県立学校分であるが、7億1,600万円である。平成21年度は耐震補強工事、耐震診断等を実施する計画である。

 次に、4番、5番、松江養護学校及び出雲養護学校の高等部の分教室設置である。それぞれ安来高校と邇摩高校の教室を利用して分教室を設置するというものであり、今年度、教室の整備をしているが、来年度は実習棟等を整備するものである。

 1の2ページをご覧いただきたい。大東高校の校舎改築である。大東高校の校舎の一部に耐震性能が極めて低いところがあるので、一時耐震補強をしつつ、一部の改築を行うものである。21年度は、設計と耐震診断を行うことにしている。次に、7番が、県立学校の地上デジタル放送設備整備事業である。これはテレビを買うわけではなく、建物に附属する設備の更新をしていく。平成21年、22年で総事業費は大体5,000万円を考えている。

 次に、学校再編関連の施設整備である。

 一つは、学習時間選択制高等学校東部独立校であるが、既に、現場の造成が終わり、設計も終わっているので、平成21年は建築を行う。総事業費は30億円を予定している。西部の拠点校についても測量等を開始することにしている。

 益田翔陽高校については、今まで実習棟などを整備してきたが、最終年度となる21年度は測量実習棟を整備し、すべての整備が完了する。これは再編に伴って整備してきたものである。

 次に、「働くことを学ぼう」推進事業である。

 平成19年度までキャリア教育として進めてきたが、20年度から拡充して、「働くことを学ぼう」推進事業として取り組んでいる。高校生の職業意識の醸成、県内就職の促進等を進めているが、事業内容としては、職業意識の醸成として2年生を対象にインターンシップ事業を行っている。また、1年生、2年生を対象に企業見学事業を行っている。職業意識啓発セミナーは生徒と保護者を対象にしてやっているものである。

 1の3ページであるが、県内就職の促進として、学校企業連絡会を東部と西部で行っている。就職生企業説明会は生徒と保護者が参加するものである。進路指導の代替講師の配置というのは、進路指導の先生が多忙な部分に同じ教科の代替講師を充てることで、進路指導を十分やってもらうという仕組みである。

 次に地域の担い手の育成であるが、地域産業の担い手育成事業として現場実習などを行い人材育成を行っている。また、産学官連携による課題研究事業は、地元企業に生徒の課題研究へパートナーとして入ってもらうものである。

 それから、学力向上対策事業7,200万円である。これは、学力調査の一斉実施を行っていてその部分の経費が大きいわけであるが、対象はそちらに書いてあるとおりである。この学力調査結果を踏まえ、より効果的な学力向上対策を実施する。小・中学校分の中では、学習環境の確立に向けた実践事業として、業者のプリント配信システムなどがある。また、人材面での各種事業がある。高等学校分では、新たに立ち上げたものがいくつかあるが、夢実現進学チャレンジセミナーは、特に医者や弁護士、高度な研究技術者等を目指し、難関大学を志望する生徒に対してセミナーを開催するものである。問題作成力要請事業は、問題作成を通じて教員の資質向上を図るものである。

 次に、いじめ・不登校対策事業、2億3,300万円である。

 不登校対策推進事業では、深刻化するいじめ、不登校の課題に対処するために、各種事業を実施している。1教育支援センター及び適応指導教室であるが、不登校の児童生徒に集団生活や学習の場を提供しているものである。11市町で実施する予定にしている。2心のかけ橋支援事業は、学校までは行けない児童生徒に対して一定期間居場所を提供しながら、少しずつ外へ出る訓練をするという事業である。21市町村で実施予定である。

 それから、悩みの相談事業であるが、学校では、あらゆる教育活動において児童生徒一人ひとりの心身の状況を把握して、きめ細やかな対応がとれるよう、教育相談体制を充実するため、スクールカウンセラーの配置事業を行っている。これは国3分の1の国庫補助事業であるが、臨床心理士などのスクールカウンセラーを小中高233校に配置し、カウンセリングする。

 続いて、1の4ページをご覧いただきたい。こころ・発達・教育相談事業で、医療と連携した教育相談体制を構築している。これは平成20年から実施している。

 学校図書館支援事業は、新規の事業である。新聞でも取り上げられているので御存じかと思うが、小・中学校の学校図書館の充実と活性化を図るため、学校司書等の配置支援や司書教諭の養成強化等を行う。1学校司書等の配置事業では、すべての小・中学校に学校司書が配置されるよう、市町村に対して交付金を交付する。司書教諭養成事業では、司書教諭の全校配置・発令を目指して養成計画に基づく講習会を実施する。21年度から5年間取り組み、全校配置を進めていく。

 それから、県立図書館機能強化事業であるが、県内すべての公立小・中学校における学校図書館活用教育を推進するために、県立図書館の使命である学校図書館支援機能や人材養成機能を強化をする。小・中学校向けの団体貸出を強化とあるが、図書のパッケージを県立図書館にいくつか用意し、一括配備して、団体貸し出しを強化する。また、先ほどの学校図書館支援事業により学校司書が配置されるわけであるが、学校司書等の人材養成研修も県立図書館の専任司書が行う。

 次に、新学習指導要領実施のための非常勤講師の配置事業が2億3,600万円である。国3分の1の事業である。新学習指導要領は、小学校が平成23年度、中学校が平成24年度に完全実施となる。21年度は、新学習指導要領の先行実施に伴う授業時数の増等に対応するため、非常勤講師を配置する。小・中学校の授業時数増への対応と、基本3教科への授業時数増に伴う少人数指導等への対応で、非常勤講師104人を要求しているところである。

 次に、1の5ページである。小学校低学年の多人数学級支援事業であるが、クラスサポート事業と30人学級編制事業、これらは一体で、どちらかを選択する形になっている。小学校1年生及び2年生の児童数が31人以上の学校について、学校の実態等を踏まえて30人学級編制又はスクールサポート事業のどちらかを選択してもらう。来年はスクールサポート事業で64学級、30人学級編制で67学級を予定をしている。

 次に、中学校クラスサポート事業であるが、不登校や問題行動が急増する中1ギャップに対応するため、中学校1年生を対象に学習面、生活指導面からきめ細かい支援を行う。大規模校に非常勤講師を配置するが、2学級に1人で、全体で40人を予定をしている。

 続いて、特別な支援のための非常勤講師配置事業、にこにこサポート事業であるが、通常の学級に学習障害や注意欠陥多動性障害など特別な支援を要する児童が在籍しており、特に対応が困難な小学校を対象に、非常勤講師を配置する。こちらは70人を予定している。

 次に、学びいきいきサポート事業である。不適応、不登校、学習不振、日本語指導等特別な支援を要する児童生徒への対応として、自学教室等を設置して個別に指導等を行う必要のある小・中学校、又は司書教諭を中心として学校図書館の活用の充実を図ろうとする小・中学校のうち、特に必要がある学校に非常勤講師62人を配置するものである。これは3分の1が国の補助である。

 次に、実証!「地域力」醸成プログラムである。公民館が培ってきた「地域力」醸成事業のノウハウを、モデル公民館を選定して実証し、「地域力」の重要性について世論喚起していくというものである。平成19年度は12公民館、平成20年度も12公民館を選定している。地域の課題を掘り下げ、その課題に向けた学習実践活動に地域住民を巻き込んでいく仕組みづくりに取り組んでいる。例えば19年度指定をした城北公民館の場合だと、城下町の成り立ちから現代の課題まで学ぶことから実践を進めている。

 次に、1の6ページ、ふるさと教育推進事業である。これは、ふるさとに愛着と誇りを持つ心豊かな子どもをはぐくむため、地域を知る、地域で学ぶということであり、市町村に交付金を交付したり、あるいは地域の人材養成研修としてボランティア等を対象とする研修を実施したりしている。

 続いて、学校支援地域本部事業である。今年から始まった事業であり、国10分の10の事業である。学校と地域の連携協力を構築するため、地域を挙げて学校を支援する機運を醸成するとともに、ボランティア活動の掘り起こしを目指す。専任コーディネーターを配置したり、市町村に実行委員会を設置したりしながら、地域ぐるみで学校運営を支えてもらうという仕組みづくりである。例えば部活動の指導者支援や、校内の環境整備支援、登下校時の安全支援等、いろいろなボランティアを設置して学校を支援する仕組みづくりを行う。

 続いて、放課後子どもプラン事業が9,200万円である。放課後や休日に公民館や学校の余裕教室等を活用して、年齢の異なる子どもたちが体験、交流する場を提供している。県としては、市町村の計画策定や事業実施を支援していく、あるいは指導員の研究、ボランティアの養成等を支援していく。この事業は国、県、市町村がそれぞれ3分の1ずつ持ち出して進めているところである。

 最後に1の7ページであるが、未来へ引き継ぐ石見銀山保全事業が1億6,400万円である。世界遺産石見銀山遺跡を適切に管理し、未来へ継承していくため、調査研究と保存整備を柱として事業を実施している。

 1世界遺産総合調査研究事業では、基礎調査研究、客員研究員との協働によるテーマ別調査研究、シンポジウム開催などを計画している。2世界遺産保存整備事業としては、大田市が策定している遺跡整備の5カ年計画をサポートする。また、世界遺産になり、特にゴールデンウイーク等に来訪者が急増しているため、案内などの対策について支援を行う。拠点施設整備、運営補助としては、石見銀山世界遺産センターの運営費を補助する。また、大田市が石見銀山基金造成に取り組んでいる。これは住民団体が実施する遺跡の保存活動等に対して基金を使って活動支援していくというものである。それに対して、県も拠出する。

 以上のような事業を来年度計画している。

(安藤委員)

 施設整備で22.4%増加という説明だったが、その他の事業費でどのようなところが増加しているかお聞きしたい。

(音田総務課長)

 「働くことを学ぼう」推進事業のうち、特に3の地域の担い手育成の中の産学官連携による課題研究事業に予算を増やしている。

 また、学力向上対策事業高等学校分の夢実現進学チャレンジセミナー、問題作成力養成事業、教科リーダー養成事業、「チームしまね」進学対策事業について、額はそう大きくはないが、新規で取り組む。

 また、1の4ページに記載している学校図書館及び県立図書館の関係はすべて新規事業で増要求である。

 さらに、新学習指導要領の関係事業もすべて新たに増要求するものである。また、学びいきいきサポート事業も増要求している。

それと、「地域力」醸成についても19年度から毎年度約10箇所を選定しており、3年目となるので年度の積み重ねにより増えている。また、学校支援地域本部事業も今年からの新たな事業である。

(山根委員長)

関連でお尋ねするが、校舎等改築と学校再編の事業で50億円程度の事業費となっているが、全体の増額は26億円である。ということは20年度で終了する20億円くらいの事業があるということか。

(平尾教育施設課長)

 大きいものとしては、大田の屋内運動場整備が今年度で終了する。おおよそ10億円の設備費である。

(北島委員)

 新学習指導要領実施のための非常勤講師配置事業について、現在の教師ではまかないきれいないので非常勤を雇わないと対応できないということか。

(秋利義務教育課長)

 これは国の事業であり、3分の1を国が補助し、3分の2を県が負担するというものである。新学習指導要領への移行期間に、来年度から1学級ごとに授業時数を1時間ずつ増加する。よって、24学級あるところでは、授業時数が24時間増えるということである。そうすると、そこに1人非常勤講師を置いて、24時間分の授業時数を持ってもらうという形である。今、文科省は21、22年度と、移行期間は非常勤講師で対応するが、小学校の場合23年度からは定数改善したいと思っているようである。移行期間中の暫定的な措置というように文科省は説明しているところである。

(北島委員)

 最終的にはその非常勤講師分が定数増となるわけか。

(秋利義務教育課長)

 実際はどうなるか分からないが、現在の予定としてはそう聞いている。

(山根委員長)

いろいろな事業で非常勤講師がカウントされているが、21年度に純増するもの、新たに雇用する数はどれくらいになるか。

(秋利義務教育課長)

 新学習指導要領実施のための非常勤講師が104人である。それから学びいきいきサポートで62人である。現在40人雇用しているので、22人増える。合わせて126人が増加する。

(山根委員長)

 司書についての予算があったが、学校図書館には司書の配置義務があるのか。また、司書の資格は国家資格か。

(秋利義務教育課長)

 学校司書は、置かなければならないということではない。ただ、市町村によってはすべての学校に司書を置いているところもあり、読書活動や学習指導に効果をあげている。よって、学校司書を置くことによって図書館教育をより活性化しようという意図である。

 2点目の資格については、学校司書の場合、図書館司書とは異なり、特に司書資格を要するものではない。司書の資格がある方がよいとは考えているが、すべて有資格者を雇用するということは難しいので、資格がない方も配置している。


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