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報告第61号

(河原高校教育課長)

 報告第61号水産練習船「わかしまね」にかかる今後の対応について御報告する。この件については前回も報告したが、その後の状況等を報告する。

 まず、1番の生徒の状況だが、衝突直後は動揺が見られたが、スクールカウンセラーを派遣して対応しており、安定を取り戻してきている。なお、今後も引き続き必要に応じてスクールカウンセラー等の対応をしていきたい。それから、(2)船体の引き揚げであるが、沈んだ箇所が航路上で他の船舶の運行の支障になるということ、また、最終的には船体の修繕をしないという判断になったわけであるが、この時点では再活用も考慮し、急いで判断する必要があった関係上、10月10日に約6,900万円で業者に発注し、28日に船体引き揚げ、30日に最寄りのドックである福島造船へ曳航し、11月1日に福島造船の入り口へ引き揚げ、船体を確認した。私どもも出かけて船体を確認している。

 事故原因については、海上保安部において捜査続行中であり、まだ特定されていない。また、並行して海難審判所の事情聴取や調査も行われている。これらを通じて最終的に事故原因が究明される。

 2番、「わかしまね」の取り扱いであるが、専門家によれば、沈没した船を引き揚げると急速にさび等が発生するため、修繕を行う場合は引き揚げ後速やかに始めないといけないという理由から、直ちに判断する必要があった。「わかしまね」は平成18年3月に、当時6億2,900万円で建造しているが、修繕に最低5億円かかるという話であった。また、船体に横からぶつかられたためにゆがみが見られ、20日間ほど水の中にいたため、修繕しても将来的に故障などが発生するおそれが否定できないという専門家の意見もあった。したがって、金をかければ沈没前の状況に戻るが、新船を建造する場合よりも高いかもしれないという話であった。さらに、直しても我々が予定する耐用年数である15、6年間使用できるとは限らないとの見解であった。以上の点から、最終的に修繕は行わず、やむを得ず廃船という判断をしたところである。

 (2)その他として、今後こういったことがないよう、事故原因が判明した時点で再発防止に向けた取り組みをしていきたい。それから、まだ原因や責任の割合が明らかになっていないが、それらが判明した時点で事故の相手方や保険会社との折衝を行っていく。なお、保険金額については、最高5億6,000万円まで出るということであるが、これも今後、交渉等の中で最終的に決定していく。なお、廃船という判断を行ったので、現在は売却に向け準備している段階である。

 5の2ページをご覧いただきたい。「わかしまね」で予定されていた今年度の実習については、隠岐水産高校で2つのコースの実習が残っているわけであるが、これらについてはもう1隻の大型練習船「神海丸」で行う。現在、神海丸はハワイへマグロ実習に出かけているが、今月末に帰ってくる予定である。3学期にも専攻科生と浜田水産高校の生徒でハワイ沖へマグロ実習に出かける予定にしていたが、計画を変更し、近海で、2にあるとおり2通りの航海を行う。1つは1月8日から3月7日まで隠岐水産高校のエンジニアコース、次に2月25日から3月24日までテクノコース2年生である。このような形で残っていた実習はすべて今年度内に終わるようにしたい。

 なお、4番、来年度以降の生徒の実習については、鳥取県から練習船の貸し出しについて申し出をいただいており、現在調整中である。船をお借りし、来年度の実習がすべてできるよう、調整している段階である。

 その後については、水産高校の実習が適切に行われることが最も大切であるので、そのことを基本に置き、鳥取県等の他県から船を借りる、いわゆる用船というが、そういったことや、あるいは新船建造といったことについて幅広く検討し、できるだけ早期に結論を出したいと考えている。

(北島委員)

 人的被害がなかったのが何よりであり、廃船についても致し方ないということで了承する。ただ、遠洋マグロ実習から近海実習に変更するということだったが、単位として認められるのか。

(河原高校教育課長)

 単位認定は必ずしも遠洋実習でなければならないわけではない。専攻科の生徒は3級海技士の資格を取る必要があるわけだが、これを取るためには1度実習で日付変更線を越える必要がある。専攻科生は既にこれを終えているので、近海でも問題はない。

(北島委員)

 資格については了解したが、遠洋実習から近海実習に変わることで就職への影響はないか。

(河原高校教育課長)

 就職に当たって最も重要なのは海技士の資格なので、実習変更が直接就職に影響することはない。

(石井委員)

 従来実習はいつ頃の時期にやっていたのか。資格取得のためやむを得ないのかもしれないが、今後1月から3月に冬の日本海で実習というのは非常に大変な気がするのだが、緩和策は取れないのだろうか。

(河原高校教育課長)

 資格取得のためには、日数を短くすることは難しい。ただ、冬の日本海は非常に荒れるということがあるので、行き先については神海丸が帰った時点で船長と相談の上考えていきたい。また、3(2)2で括弧書きしている期間、2月25日から3月7日については、外海に出るのではなく係留した船の中で実習を行う。

(山根委員長)

 鳥取が船の貸し出しを申し出ているということは、鳥取は余裕があるということか。また、今後検討するときに、県単独で建造するのではなく例えば鳥取県と共有するということは考えられないか。

(河原高校教育課長)

 1点目の御質問については、鳥取県の船と本県の船は全く構造が異なっている。本県はマグロ実習やイカ釣り実習などの漁労実習ができるような構造の船であり、鳥取県の船はマグロやイカ釣りの装備はなく、どちらかというと航海実習用、また、県民の船という趣旨が強い。よって、鳥取県の船は子どもたちから高校生等に様々な面で利用されているが、高校の研修を中止して貸し出すということも計画されており、かなり無理をしてお貸しいただく格好になると思う。その辺りは現在調整中である。

 また、2点目の質問について、全国では山口、長崎、福岡の3県で共同運航を始められたようである。鳥取県も既にいろいろな計画がある中で、共同運航ということが果たして可能かどうか、現時点ではわからない。今後一案として検討したい。

 


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