議決第10号
(音田総務課長)
議決第10号教育委員会の点検・評価(案)及び島根県総合教育審議会の意見聴取についてお諮りする。
平成19年6月にいわゆる教育三法が改正され、地教行法も改正されたところである。平成20年4月1日施行であり、下にゴシックで地教行法の27条を掲げているが、各教育委員会は、毎年その権限に属する事務の管理及び執行の状況について点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を議会に提出するとともに、公表しなければならないということになった。
この点検・評価と報告については、平成19年度に改訂したしまね教育ビジョン21をもとに点検・評価を行い、報告書を議会に提出したいと考えている。まずこの点について、このような資料としてよいかということが1点である。それはまた後ほど説明する。
もう1点は、27条2項であるが、教育委員会は、前項の点検及び評価を行うに当たって、教育に関し学識経験を有する者の知見の活用を図るものとするということである。その下に、「県教育委員会では、総合教育審議会の意見を得て、この点検・評価を実施して報告書にまとめました」としてあるが、つまり総合教育審議会に諮ることをもって学識経験を有する知見の活用とさせていただきたいというのが2点目である。
2の点検・評価の構成ということであるが、このビジョンを使って点検・評価をしたということであり、まず項目的には点検・評価の対象をしまね教育ビジョンの第2章、各論をもとに6つの施策ごとに点検・評価をするということである。
2ページ目をご覧いただくと、その一覧表が載せてある。
1ページ目に戻って、取組の基本的な考え方についてはしまね教育ビジョン21から各施策の具体的取組ごとに基本的な考え方を転記している。4ページ以降にそれぞれ記載してある。また、平成19年度の取組の概要を記載するということであり、これも4ページから記載している。あわせて数値目標の項目を、3ページに一括して載せているが、各施策ごとに再掲しているのでご覧いただきたい。そして最後に、評価と今後の対応について記載するという流れにしている。
その他、このビジョンでは書き切れない部分、管理と執行の状況として、この点検・評価表の26ページから29ページまで、組織等の状況を載せている。あわせて、例えば文化財行政や施設整備といった部分だが、ビジョンにはないので、これらについては別途議会に提出する予算執行の実績並びに主要施策の成果とあわせて点検・評価を行ったという形で補完し、これらの点検・評価ということにしたい。19年度分はまだできていないのでつけていないが、でき次第皆さんに見ていただきたいと思っている。
2ページをご覧いただきたい。2ページには点検・評価の項目を載せている。全体が重要な施策であるが、新しい取組である施策や事業のみ要点を説明する。施策1では生活習慣の改善について、次は学力の向上、3つ目は読書活動、5で学校・地域・家庭の連携協力による教育力の充実、6で特別支援教育、この5点でどのように評価し、対応しようとしているかということを報告したい。ついては、4ページをご覧いただきたい。
まず、施策1、心身の健康を大切にした教育の推進であるが、19年度から保健体育課内に健康づくり推進室を設置して取り組んでいるところである。(ア)望ましい生活習慣の確立という部分であるが、19年度の取組の概要として、生活習慣の改善を図るため、生活習慣改善フォーラムを益田市、松江市の2会場で実施した。2点目は、保育所、幼稚園、小・中学校の全教職員及び県立学校に生活習慣改善実践事例集を配布して、学校での活用とあわせて家庭への啓発を働きかけたという取組について記載している。
(イ)食育の充実であるが、3段目、小学校の「食の学習ノート」活用率が98.8%ということで、大いに活用していただいているという状況である。それから、4行目の最後、「朝食を毎日とる児童生徒の割合」も、小・中学校とも90%を越えている。施策1については、7ページに全体の評価、今後の対応ということで全体を総括している。学校における「食に関する指導」を含む健康教育の充実により、子どもの生活習慣は改善方向にあると言える。今後は、家庭や地域との連携をより一層深めながら取組を推進する必要があるということである。
次に、8ページ、学力の向上についてである。施策2(1)(ア)一人一人を支援する指導の充実ということで、平成19年度は調べ学習など、どの教科でも学校図書館を使った学習を取り入れ、課題に応じた資料の集め方なども含め、思考力、表現力、判断力や学ぶ意欲を育てた。また、30人学級編制事業やスクールサポート事業により、児童一人一人に応じたきめ細かな指導を行うことによって、基礎基本の確実な定着や個性を生かした特色ある教育の充実を図った。それから、県で行っている学力調査、そして全国の学力調査等の結果の活用により学習習慣の定着及び学習意欲の向上が図られているという状況である。
(イ)の家庭での学習習慣の確立であるが、県の学力調査の結果、自分自身による学習時間については、18年度との比較では、小学校3年生から中学校3年生で、平日、休日とも学習時間30分以下の割合が下がってきており、1時間30分以上の割合が上がってきている、学習時間が長くなってきているという状況である。それから9ページ目であるが、家庭での学習の支援ということも含めて、平成19年度から「確かな学力向上のための環境構築事業」において「学習プリント配信システム」を導入し、各学校に周知している。次第にこのシステムを有効に活用する学校が増えてきているが、まだ活用されてないところもあるので今後の課題ということである。
それから、幼保小中高が連携した学習指導の推進では、幼児教育から中等教育段階まで一貫した学習指導、生活指導、進路指導ということで、各種連絡会や合同研修会などが開催されている。それから、授業力向上のための研修だが、平成19年度の取組は、島根県検証改善委員会において学習指導の事例を作成し、授業改善が図られるようにした。また、18年度に引き続いて授業力向上セミナーを実施した。10ページをご覧いただくと、本県を代表するスーパーティーチャーを養成するために、県立高校に勤務する中堅教員を県外の優れた教員のもとや予備校の実施する研修に派遣して教科の指導力向上を図るという取組を行っている。
施策2の評価が11ページである。各学校において、全国学力・学習状況調査や島根県学力調査の結果を踏まえ、自校の学習指導に関する分析や検証を行って改善に努めているが、さらに研修の充実を図っていく必要がある。また、学習プリント配信システムを有効に活用していくよう取組を進めていきたい。また、幼小連携講座を小学校の教員を含めた講座に拡大していく取組をしているところである。
次に、12ページの読書活動についてである。(ア)読書習慣の確立であるが、読書習慣は主に学校の朝読書を通じて身に付きつつある。学校図書館の充実のために、小・中学校352校のうち12学級以上のすべての学校に司書教諭を配置している。また、市町村においては学校司書が29校において配置されている。さらに学校図書館ボランティアによる読み聞かせや図書資料の整理、貸出などの活動を行ってる学校が243校ある。
14ページ、施策3の読書の関係の評価と対応であるが、学校での読書習慣は根づきつつあるが、家庭での読書習慣が少ないという状況が見られる。公立図書館、地域、家庭とも連携して、家庭での読書習慣の確立に取り組んでいく必要があるということ、また学校図書館を活用した学習の取組を広く紹介し、啓発を行っていくこととしている。
次に18ページをご覧いただきたい。学校・家庭・地域の連携協力による教育力の充実である。ふるさと教育の推進ということで、すべての公立小・中学校の全学年において、総合的な時間を使って年間35時間以上ふるさと教育が実施された。児童生徒は、地域の「ひと・もの・こと」に関心を持ち、これまでとは違った視点でふるさとを見ることができるようになって、意欲的に学習に取り組む姿勢も見られた。学校においては、地域の資源を生かした特色ある教育活動が展開されるようになってきている。地域では、学校を身近に感じ、より多くの人が学校に関わるようになったという評価である。
それから、放課後の子どもの居場所づくりの推進である。放課後子どもプランの策定を市町村に働きかけている。また、研修等も行いながら進めてきているところである。19ページ(ウ)の公民館活動の充実による「地域力」醸成であるが、平成19年度企画プレゼンテーション大会参加24件中、モデル公民館採択が12件である。県内の各地域においてモデル的な取組を実践し、新聞や広報紙で紹介されている。このことによって公民館の存在、役割について再認識する動きや、地域住民が公民館を活用した課題解決の場も広がってきている。
20ページにその評価と対応を記載している。子どもたちがふるさと島根に愛着と誇りを持ち、地域に主体的に参画する力を育むため、開かれた学校づくりの取組、学校を地域が支援する取組、地域と学校を結びつける人材の育成など、引き続き一層推進する必要がある。それから、ふるさと教育の方法論に関する事例収集、分析を進めて教育現場へ還元し、地域の指導者、ボランティア等の人材発掘を円滑に進めるため、人材バンクの機能を担っている公民館活動との連携を強化していく。それから4つ目、「実証!「地域力」醸成プログラム事業」は事業創設から間もないため、具体的成果を生み出す途上にあるが、地域の教育力の基盤となる「地域力」醸成の気運を高める事業として推進していく。
それから、最後に23ページの特別支援教育については、平成19年3月に盲・聾・養護学校から特別支援学校へと制度が変わり、基本計画を作っている。
(ア)一人一人の教育的ニーズに応じた指導の充実について、3行目であるが、すべての小・中・高等学校及び特別支援学校に校内委員会を設置して体制整備を完了した。該当の児童生徒がいない学校についても、すべての学校で校内委員会を設置した。さらにその相談窓口となる、特別支援教育コーディネーターの指名を進めている。また、これらを支援するために各教育事務所ごとに専門家チームや巡回相談員を置いて指導している。
また、社会的・職業的自立の促進という面では、進路開拓などのための協議会や懇談会の開催により、各特別支援学校の関係機関と連携しながら生徒の現場実習や進路開拓を行った。
それから、そもそも制度の趣旨の一つである特別支援学校がセンター的機能を担うという部分であるが、特別支援学校は特別支援教育の専門機関として、障害のある子どもへの総合的な支援について地域のセンター的な役割を果たしていくことが求められている。このことについては、特別支援学校から小・中学校の要請に応じて学校に出向いて、特別支援学級や通常の学級の担任などに対して助言を行った。また、特別支援学校の教員が必要に応じて、各学校に設置されている校内委員会の協議や校内研修会の講師を務めることにより、教員の資質向上と支援体制の整備を図った。
評価と今後の対応であるが、今後、体制が未整備な幼稚園について校内委員会の設置、体制の整備を促進していく。また、発達障害に対し、医療と連携した専門的な立場からの指導、助言を行うことが課題であるということで、平成20年度からこころの医療センター若松分校に相談窓口が設置された。これは19年度の評価であるので、こういう課題があるということも書いている。特別支援学校における進路指導については、今後新たな職場の訪問や現場実習先の開拓を積極的に進めていくこととしている。
26ページからは、先ほど申し上げたように、学校数や教員数など学校の概要を掲げている。これについては19年度と20年度を比較して載せているので、後ほどご覧いただきたい。27ページから29ページは、20年度分の教育委員会の組織改正を載せている。28、29ページはその新旧対照である。
以上、このような案で点検・評価させていただきたいということと、県の総合審議会に意見聴取をしたいということでよろしくお願いしたい。
(山根委員)
施策1から5までは「評価、今後の対応」欄に成果についての記述がなく、ここだけ読むと今後の課題ばかりが掲げてあるように見える。表現の仕方を工夫してはどうか。
(音田総務課長)
肯定的な文と、今後の課題を述べた文を切り離すなど、表現方法を整理し直すこととする。
(七五三委員)
教育に関して学識経験を有する者の知見の活用を図るということは、学識経験者に諮り、評価してもらいなさいと、こういう意味か。
(音田総務課長)
25日に総合教育審議会を開催して、内容について意見聴取を行う。
(七五三委員)
地方教育行政は地方教育委員会に任せているとするならば、学識経験者の知見を活用するかどうかも含め、教育委員会の点検・評価の手法、議会への提案の仕方など、地方教育委員会が決めるべきことだと感じる。
(山根委員)
今回の点検・評価は教育ビジョンについてのみとなっているが、法律が本来求めているのは組織運営や定員管理を含めた点検なのか。この法律の求めている範囲というのはどの辺りなのか。
(音田総務課長)
その辺りの解釈については、文科省は特に指定せずそれぞれの自治体に任せるということになっているが、管理という部分では最後の方にページを加えて補完する形にしている。今後議会や住民の皆さんから、もっとこういうふうに充実したらどうかという意見も当然あろうと思うが、初回については、私どもは教育ビジョンというものを策定しているので、これをベースに点検・評価をさせていただくということにさせていただきたい。
(藤原教育長)
山根委員がおっしゃるように、法ではすべての事務を点検・評価するという趣旨である。現実的なところで、この趣旨を最大限生かすとすれば、本県では教育ビジョンをつくって教育を行っているので、これをもって主要な施策の点検・評価としたい。それだけでは表現し切れない部分については、26ページ以下のところで現在の状況の概要あるいはそれを執行するための組織の状況について記載している。さらに、主要施策の予算執行の実績及び主要施策の成果も提出し、これによって補完する。
(七五三委員)
若干余談になるが、資料を見ていたら一点気になることがあるので、私の意見を申し上げておく。25ページに教育長に委任することができない事項が書いてある。第2項第2号、教育委員会規則その他教育委員会の定める規程の制定又は改廃に関することは、教育長には委任できないということが法律改正の中で明らかになった。よって、教育長専決で規則を制定する、あるいは臨時代理で制定する行為というのは、この法律に関する限りはなじまないという感じがする。今後教育委員会の事務規程を制定するときはそのことを十分勘案をされた規程を作っていただきたい。
教育長に権限委任を受けてすることと、委員会という組織が自ら規則あるいは規程を制定する行為というのはおのずから権限が違うわけで、そのことが法律の上で認定してあるのだから、今後参照していただきたい。
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