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報告第28号

(河原高校教育課長)

 報告第28号県立学校県費外会計の調査結果についてご報告する。

 川本高校の事案を受けて、6月9日から7月29日までの間に、すべての県立学校、本校、分校、全日制、定時制別と特別支援学校、あわせて56校の県費外会計の処理状況について調査点検を行った。具体的には、総務課と高校教育課で2人1組で学校まで出かけ、点検を行った。

 結論は、4の1ページの2番にあるとおり、既に明らかになった川本・島根中央高校の事案、浜田水産高校の事案を除き、不正支出はなかったということである。

 県費外会計の状況等について説明をさせていただく。3番に書いてあるように、高等学校42校で学校徴収金が506、団体会計429である。学校徴収金というのは、受益者負担の原則により、教育活動に必要な実費等を集めるものである。例えば学年学級費という形で遠足代金を集めるとか、全員共通な教材を買うとか、生徒会費等について集めているものである。それからもう一つ、団体会計は、PTAであるとか同窓会、後援会といった学校経営と関わりが深い団体から委任を受けて学校が管理する会計である。特別支援学校の場合は12校であるが、学校徴収金が635ということで非常に大きな数字になっている。これは、大規模高校では、例えば8クラスの320人が同じ金額で、1つの会計となるのに対して、特別支援学校の場合は、すべてではないが、子供の実態に応じた形で集める。例えば同じクラスにいても、Aという子供はこういったものが必要である、Bという子はまた別のものが必要であるということで、これが1人ずつの会計になっている。したがって、非常に大きな会計数になるということである。それから、団体会計については、特別支援学校は55会計である。合計して学校徴収金は1,141会計、団体会計は484会計ということであった。

 詳細については4の2ページ以降をご覧いただきたい。学年学級費及び教材費及び部費を除くすべてのものについてチェック、照合を行ったが、先ほど言ったあわせて1,500以上の会計についてすべてこちらから出かけてチェックということは難しいので、学年学級費、教材費等についてはサンプルチェックするとともに、校長等に悉皆の点検をさせた。また部費についても膨大な数になるので、校長に点検を指示して報告をさせた。

 続いて、4の3ページをご覧いただきたい。会計の処理状況であるが、最初も申し上げたように、不正支出はなかったが、既に策定している取扱要綱に不適合なものがあったということである。4の3ページに代表的なものを5つ載せている。

 1つが、団体会計について、団体と学校の間で文書が交わされていないということで、委任関係が不明確である。PTA等については、PTAの会則等に書いてある場合もあるし、書いてない場合もある。あるいは同窓会等になると、そういったことがほとんどないというのが実態である。

 それから、2つ目として、校長等による定期点検、残高と現金出納簿の照合が、実態としてはほとんど行われていないということである。ただし、残高と出納簿の照合ということはここに書いてあるとおりであるが、現金出納簿により、予算の執行状況を年度中途に校長の方でチェックしている学校はかなりある。特に特別支援学校については、先ほど申し上げた個人の会計等については、学期ごとに教頭あるいは校長がチェックを行っているという状況である。

 それから、3つ目として、通帳と印鑑は別管理しなければならないが、同一人が管理している事例が多い。これについても、特別支援学校でそういった割合が非常に高くなっている。これは、先ほど申し上げたように小規模の会計、場合によっては個人ごとの会計が多く、支出についても何十円から何百円という少額の支出が多いためだと考えられる。

 それから、4番目であるが、監査について、高校で2割、特別支援学校で3割の会計で監査が行われていない。特に学校徴収金については、教職員による監査にとどまり、代表、保護者による監査が行われていない事例が多く見られた。例えば高等学校の学校徴収金の場合だと、監査は校長による監査も含めると78%が実施されているが、保護者による監査ということになると、全体の45%、半分ほどである。なお、団体会計については、監査実施率は若干高い。

 それから、5番目として文書による支出決裁だが、高校では8割を超えるものが実施されているが、先ほどと同様の理由で、特別支援学校の場合には非常に細かい支出等があるため、低い状況にあるということである。一番下の、学校徴収金会計の文書決裁実施率が7%となっているが、先ほど申し上げたように定期的に校長の方で処理状況を報告、あるいはチェックをしているものが82%ある。

 続いて4の4ページで、その他改善を要する事項であるが、学校徴収金会計と団体会計が明確に区分されていないという事例があった。例えば同窓会費や卒業記念品については本来は同窓会であれば同窓会という団体の会計、卒業記念品ということになるとPTAという団体の会計ということになろうかと思うが、そういったものを学校徴収金として集めているというような事例である。

 それから、2つ目として、必要以上に会計が細分化され、似たような目的のものが複数あって非常にわかりづらい状況になっているというケースもあった。具体的な例を申し上げると、部活動の遠征費として、中国大会用の会計もあり、また別に全国大会用の会計もあるというように、非常に数が多くなっているということがあった。

 それから、3つ目として、団体会計の団体が解散して、誰が管理するのかということが不明になっている会計、あるいは休眠状態になってここ数年間出し入れが全くないというようなものがある。例えば50周年行事のために実行委員会が集めたが、その行事が終わった後に実行委員会が解散しており、その会計の主体が誰なのかということが不明になっているものがあるということである。

 6番目として今後の改善である。既に今までのことを踏まえて、独自に改善を始めている学校もあるが、今後、県教委として、1つ目に要綱の改正を考えている。先ほど申し上げたような問題点を踏まえて、9月をめどに要綱を改正したいと考えている。具体的にはそちらに方向性を載せている。これらは、実際に行うのは学校であるので、学校の校長、事務長、保護者の代表の方、こういった方々の意見を聞いて最終的な案を作っていきたいと考えている。

 それから、(2)で今後のことであるが、今回すべての学校を点検したところ、平成17年度に作った要綱が必ずしも守られていなかったという実態があったので、来年度からも引き続き県教委から学校の方へ調査点検に行きたいと考えている。ただ、物理的な問題等もあるので、来年度は全体の3分の1、どこかの学校へ出かけるという形でやっていきたいと考えている。いずれにしても、こういったことが今後ないようにしていきたい。

(山根委員)

 2点確認したい。1つは、この不正支出は川本と浜田水産であったわけだが、その後の処理はどうなっているかということ。それから、県教育委員会の事務局が3分の1程度の学校に毎年度出向いて調査をすると言われた。それはまことにいいことだが、逆に言うと教育委員会のスタッフは相当負担になるのではないか。本来学校長の責任で自主的に管理すべきことで、いちいち教育委員会が出向いて調査するというのはどうなのか。牽制のために何校か、年間3校とか4校を抜き打ち的にチェックするということならいいが、今の案では相当負担になるのではないか。

(稲垣教育次長)

 浜田水産と川本高校の件について、その後どうなったかということについてだが、両方とも当事者については既に懲戒免職になっている。

 まず、浜田水産については遊興費に使ってしまったわけだが、この分については全額返済している。

 川本高校については、その後、前事務長に再三会って返済をするように求めているが、本人自身が多重債務の状態になっており、現在失業中ということであり、返済の方策が見つからないという状況にある。そこで、このまま穴のあいたままであると現場の学校教育活動に支障が出かねないという事態になっており、教育委員会としても前事務長に対する使用者責任もあるので、9月議会において損害額について立替補填をする議案を提出させていただきたく、現在調整を図っているところである。なお、これも実損害額については、あくまでも立替補填ということであるので、本人に対しては債務履行ということは今後とも追求していかなければいけないと考えているところである。なお、これに関連して、当時の2人の校長先生、既にお2人とも退職なさっているが、自分たちも道義的な責任を感じているので、いくらか負担をしたいという申し出もいただいている。これについても並行して協議を行っている。

(河原高校教育課長)

 県教委でチェックするのは大変な負担ではないか、本来は学校でやるべきではないかということであったが、我々もどちらがいいかということについて検討を行った。その上で県教委によるチェックを行うこととしたのは、1つには今回調査したところ、17年度に作った要綱が、こちらの今までの説明の仕方等にも問題があったと思うが、徹底していなかったという反省がある。そこで、まずは要綱を各学校へ徹底させ、全県統一する必要があろうという考えによる。県教委の負担がないかということについては、当然負担はあるが、3分の1となると17、8校であり、仮に5組つくれば1組が2校ないし3校ということで、これは何とかできるのではないかと考えている。

 なお、これを将来的にずっと続けるということではない。とりあえず、まず県教委によるチェックをして、全県が統一した考え方できちんとできるようになれば、あとは、前にも話があったような学校同士のチェック等、いい方法があればまた別の方法でやっていけたらと考えている。

(七五三委員)

 学校徴収金等の取扱要綱を改正されるということだが、会計処理のあり方を十分考えて、例えば現金出納簿の中でいくつかの会計を集約して、科目処理をしながらやれるというようなところまで踏み込んで要綱を作ってほしい。学校も処理がしやすく、担当者も事務処理が楽になり、能率的で正確なものができる方法をぜひ考えていただきたい。

 本来、県の教育委員会の事務局職員はこれらの会計調査のために仕事をしているのではないはずで、もっとやらなければいけないことがあるのだから、その辺りはぜひ十分に研究し、要綱を改正していただきたいと思う。

 


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