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報告第7号

(音田総務課長)

 報告第7号PTA会費等の不正支出に係る職員の処分についてご報告する。

 当事者は、島根県立島根中央高等学校、川本高等学校の前事務長、堀田実夫、56歳である。在職期間は、平成17年4月1日から平成20年3月31日、3年であった。4月1日付で監査委員事務局に異動している。

 概要だが、平成17年5月から事務長が管理しているPTA等の預貯金通帳10通より、65回にわたって1回当たり5万円から200万円を引き出して生活費等に充てた。使途不明金の総額が2,163万4,192円、うち入金額が525万7,003円、残額、差し引きは1,637万7,189円である。

 経緯であるが、4月28日に、PTA監事による平成19年度PTA会計監査において決算残高に比し預貯金の残高が不足していることについて指摘があった。翌29日、前事務長が校長に不正支出について申し出た。4月30日、県教育委員会が学校に出向いて調査を行い、不正事実を確認した。5月1日には、学校からPTA役員等に事実関係の説明をした。その後、県教委による調査により、当初申し出の会計以外にも使途不明金があることが判明した。合計10口座で、先ほど概要で説明したとおりである。本人は、5月2日に総務部付に異動となり、5月9日には、知事部局において懲戒免職処分となった。同日、川本警察署へ告発を前提として通報をしたところである。

 この不正支出の方法と使途であるが、前事務長は校長の決裁を受けぬまま、自らが管理する通帳と銀行届け出印を使用し、勝手にPTA会費通帳等から払い出しを繰り返した。払い出した現金は、本人は生活費の補てんや借金の返済等に充てたと申し述べている。

 今後の対応としては、前事務長は使途不明金を返済すると申しており、その履行を強く求めていく。また、再発防止のために、全県立学校における学校徴収金等の取り扱いについて現在点検を実施している。まず、県立学校において自主点検を実施するよう教育監から各校長に指示した。また、各県立学校を対象に県費外会計の処理状況調査を現在実施しており、文書調査の集計を5月末までに行うことにしている。それを受けて現地でも確認をしていきたいと考えている。

 実損額の補てん問題については、学校、保護者、卒業生関係者などで構成する「対策委員会」が5月10日のPTA総会で設置承認され、今後設置される予定である。この委員会と対応を検討していきたいと考えている。

(山根委員)

 学校と保護者、卒業生で対策委員会がが設置されるということだが、いずれにして会計にも穴があいている状態である。県職員が管理したことから発生した今回の場合、県としての責任をどう考えるのか。せっかく浄財を集めたところへ穴があいて、学校と保護者で対策を協議しなさいというのはいささかおかしいのではないか。例えば県が立てかえるなり、幾らかの補てんをする責任があるのではないかと思うがどうか。

 それともう一つは、そもそも部活の助成金など、ものによっては必ずしも学校なり先生なり事務長が管理するのが適切なのかどうか。これはしかるべき学校の後援組織なり保護者会なりPTAの組織があるわけであるので、そういった金の管理というものはそもそもそういうところでやって、学校としてはノータッチにするということがいいのではないかと思うが、以上2点についてどのようなお考えか。

(音田総務課長)

 県費外関係は幅広い性格を持っており、学校が徴収するものから、卒業生の皆さんが寄附をしていただいて当面は使わないもの等いろいろなものがある。それらの所有と管理をどうすべきかと言われると、整理しなければならないところがあると思う。その上で、今おっしゃったように、管理責任ということは当然検討すべき課題になると思っている。ただ、今はそういう調査を始めたところであり、その調査の結果で整理をしていかなければならないと思う。

 2点目については、今調査をしているところであり、全体の経理の状況が明らかになってくると思うので、本当にその会計が学校が委任を受けて管理するのが適切かどうかということも含め、検討が必要だと考えている。

(山根委員)

 部活などは早速もう財政的な支援をする必要が発生するにもかかわらず、あるべき財源がないわけだが、それは保護者の皆さん、PTAの皆さん、立てかえなさいというのは余りにも酷だ。まず県が1,600万、原状復帰の資金の穴埋めは予算措置して補てんをすると、一時的に、その上で本人の弁済とか、物によっては関係者が分担割合をすることでいいのではないか。罪のない子供の対外的試合の財政に穴があいて、ないからやめるというわけにいかない。しかも、それはかつて県職員だった事務長の不正によるものだから、そういう意味で、一時的な補てん、あるいは全面的な補てんの道義的な責任があるのではないかと私は思う。

(七五三委員)

 山根委員がおっしゃるような、そういうことは当然考えなければならない問題だが、実際に調査をして、現地の意見を十分聞いてみないとその辺りはわからないのではないか。

 それから、その前段で、山根委員がおっしゃったように、大体10の会計を全くずさんなことで任せておくということ自体が大変な誤りだと思う。経理をどういう責任を持ってやらせているのかということをもう一度委員会としては精査をして、正しい支出ができるようなことを考えていかねばならない。

 だから、そういう点では、本当はそれぞれの後援会なり何かがあれば、そこの事務局が経理を担当するのが一番いいのである。ところが、それでは保護者の方も煩雑なので、学校を信用して、会計を任せていたところ、たまたまこういう大変な不祥事が起きたわけだ。今後県として指導する場合には、必ず何人かの目を通し、手を経なければ出金ができないようなやり方を構築しなければいけない。

 県が県民の税金でそれを弁済しなければならないということになると、逆に、今度はそれに対応する訴訟が起きたときに、県はそれを受けて立つだけの論拠があるかと言えば、それはなかなか大変だと思う。

(山根委員)

 県費を使ったことに対する訴訟が起こるかもわからないが、使わなかったことに対する雇用主としての県への訴訟が起こる可能性もあるのではないか。

(北島委員長)

 細かいいきさつがどうなるかはわからないが、我々が心配しているところはわかっていただけるのではないか。せっかく子供たちのために一生懸命保護者や周りの人が出していたお金が取られっ放しになって、子供たちのために還元できないというところに問題があろうかと思うので、その辺りは県もやはり考えるべきではないか。

(稲垣教育次長)

 少し補足をさせていただくが、まず、通常のPTA会費あるいは教育活動を支援するような、毎年経常的に必要なものには最初は手をつけていなかったわけである。部活動振興や何周年記念事業等の余りを学校に預けられて、何年間も資金が動いてなかったような、そういった会計に手をつけて使っていた。ところが、19年度になると、PTA会費などにも手をつけ、基金も枯渇してしまったものだから、いよいよ預かっている会計の中で回しができなくて、親戚縁者から金を集めてそれでとりあえず補てんしたということであり、当座のPTA活動など、教育活動も含めてだが、直接的な影響はないというふうに今のところでは学校からは話を聞いている。ただ、例えば野球部が全国大会に行くとか、あるいは吹奏楽が大きな大会に出るとかということになったときに、本来あるべき臨時的な需要に対応するための基金が枯渇しているので、そのときには問題が出てくるということがある。

 それから、ただいま御指摘のあったような事柄については、私ども非常によくよくわかるわけで、何とかいい方法がないかということを考えるわけだが、七五三委員がおっしゃったように、これは県費、いわゆる税金で補てんするという趣旨のものとはニュアンスが違うものであるから、もう少し勉強していかなければいけないというふうに思っているところである。

 一方では、民事事件としての対応をどうするかということだが、では一体誰が被害者なのかと。大きく見るともちろん生徒であるが、ただ、直接的にだれが被害者なのか、PTAなのか、あるいは卒業生会なのか、あるいはその他大勢の方々なのか、その辺りが手をつけた通帳、資金によってそれぞれ違うので、もう少し詰めて直接的な被害者は誰なのか、それによって場合によっては被害届という形でやっていかなければならないだろうし、というような作業もしているところである。

 いずれにしても、使用者責任としての県の立場というものもあるので、もう少し時間をいただいて、勉強していかなければならないと思っているところである。

(山根委員)

 私は、県が最終的な損失補てんを県費ですべきだと言っているわけではない。本人の弁済がはっきりするまで、県の責任でとりあえず補充をした上で、推移を見守っていくというのが筋ではないか。その上で、最終的に本人が全額返せば、金の面ではよいが、仮にこれから一文も入らなかった場合は必ず再燃する問題である。それまでの間、何年かかるかわからないので、支障のないように、やはり立てかえる姿勢を示すべきでないかという意味である。

(音田総務課長)

 今、御意見いただいたことも含めて、我々も考えていかなければならないと思っているが、その前にもう少し整理すべきことがあるので、まだそこまでの結論に至っていないということで御理解いただきたい。


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